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Tag [新作レビュー] [読み切り/短編] 2010.07.22
1102940343.jpg桃生有希「修恋」


もっとちゃんとあたしのこと
ひとりの女の子として見てほしいよ



■女子校という環境の中、女を捨てた女子高生は、修学旅行先で出会った男子校の生徒に一目惚れ。偶然が重なれば、イヤでも人は気にしてしまうわけで…。北海道では、元カレと今カノのラブラブ模様を目の前で見せつけられる、地獄の班行動に、元カノが悶絶。鎌倉では、スッピンをひた隠しにしている、化粧美人が罪悪感に苛まれ。東京では、自分に勇気をくれたメル友に、思い切って会う約束を…。修学旅行で恋しよう…!

 桃生有希先生の初単行本でございます。修学旅行での恋をテーマに描いた、読切りを4篇収録。修学旅行での恋というと、みなさんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。旅行先で出会って、恋に落ちる……クラスの気になるあの子と、旅行きっかけで急接近……既に付き合っている相手と、旅行によってさらに仲は深まり……。色々と、思い浮かべるものはあるでしょうが、この作品では、それらの恋を一通りカバー。旅行先での出会い、接近、そして決別など、様々な恋愛イベントが、修学旅行というパッケージの中に落とし込まれていきます。


修恋
ちゃんと修学旅行先の名物も使う。こちらは住吉大社のおもかる石。


 帯には「編集長推薦本」の文字が。編集長って、販促効果あるのだろうか…などと疑問に思いつつ読んだ本作。なんとも青春色の強い、恋愛一本の少女マンガらしい内容になっています。デザート掲載ということですが、どちらかというと別フレのほうがよりしっくり来そうな印象がある一冊です。一話目は、修学旅行先にて出会いそのままくっつくという話なのですが、時間とページが限られているためか詰め込み気味で、ちょっと展開早めに感じてしまいました。しかし以降は、それぞれ違うパターンで話を展開。後半の2作などは、青春ならではの疾走が、比較的落ち着いた展開の中で逆にハッキリと浮かんで、作品の持つ魅力をしっかりと味わいつくせたような感じがあります。なんて書くと、「最初の話は良くないんかい」とか思われそうですが、修学旅行先のとある名物を重要なアイテムに使うなど、題材を考えるとこちらのほうがより「らしさ」が出ていたような気がします。
 
 初単行本ということで、まだまだ伸びしろはたっぷり。現時点では、かわいらしく、学生の恋愛をオーソドックスに描くという、ある意味で没個性的な作風なのですが、ここで判断するのはあまりに次期尚早。デザートって、こういう作風のラインが手薄な印象もありますし、定着しても全然おかしくないですよね。個人的には、こういう定番感のある作品は好物なわけで、終始楽しんで読む事が出来ました。


【男性へのガイド】
→テンパる女の子ってのもかわいいものですよ。そんな一面を見たいのであれば、いかがでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→インパクトは弱いも、一定のラインを崩さないクオリティは、読んでいてとても安心できます。


作品DATA
■著者:桃生有希
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:
■全1巻
■価格:429円+税


■購入する→Amazon

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