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Tag [新作レビュー] 2010.07.25
1102940689.jpg魔神ぐり子「カッパときのこ」


「もう3日うんこが出てないんだけど」
「いきなり?
 いきなりシモの話なの?」



■ここは日本のどこかにある、地図上にはない村。そんな村のとある家の、とある縁側が、物語の舞台。カッパときのこの二人が、ひょんなことから悪魔を飼ったり、王子を誘拐したり、臨死体験をしたり…だらだらと日々を過ごす、そんな誰得な日常風景を、ぐだぐだと描く、魔神ぐり子のギャグ漫画!ごく一部のマニアが買ってくれると信じて、こんなタイトルのままで単行本化しちゃいました…

 「楽屋裏」の魔神ぐり子先生が描く、カッパときのこというおかしな組み合わせで贈るギャグまんがでございます。いかにも描きやすそうなフォルムの、ちょっと頭がかわいそうなきのこと、そんなきのこ相手に、冷静に冷酷に対応していくカッパの、ぐだぐだで生産性のないやり取りを、延々と収録していくという内容。しかし対話オンリーのシュールなものかというと、それは違います。片方のきのこが、バカなことを言いながら動く動く。場所は一定なのに、動きは毎回違うので、何故か絵的に飽きることがないという。基本的には下ネタやきのこの残念感、そしてパロディや内輪ネタなどで展開。正直なところ、これ別にきのことカッパじゃなく、人間でも成立したんじゃね?という感もアリ。


カッパときのこ
なんて伝わりにくそうな…というネタもちらほら。こちらは大阪の有害図書騒動の時事ネタと、連載誌の内輪ネタ。


 きのことカッパという組み合わせの時点で、なんとなく力技の芸風をイメージさせるのですが、ストレートなお下品ネタは6~7割程度。残りに関しては、内輪ネタやパロディなど、ちょいと志向を変えたようなネタとなっています。ベースは変なものに変なことを言わせる・させるという、わかりやすいものなのですが、そこに時折混ぜ込まれる変化球がスパイスに。「楽屋裏」的な暴露感や自嘲感はないので、刺激は若干劣るものの、特に何も考えずに気楽に読めるという所では、こちらに軍配が上がるか。もっとえげつない下ネタとか入れても、個人的には良かったですけど、それ以上やるとあかんのか…。
 
 作品のイメージとしては、ちょっと前にジャンプでやっていた、「太臓モテ王サーガ」あたりが似ていると感じました。多分主人公が残念な感じとか、結果的に痛い目見るあたりとかが、すごく被るという。ああいったノリの話がお好きな方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
 

【男性へのガイド】
→男性でも余裕でいけます。ちょっとした息抜き的に、気楽な姿勢で読むと良いと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→個人的には、自分を削っている感のある楽屋裏の方が好みでしょうか。中でも触れられていましたが、単行本化は英断だと思います。素晴らしい。


作品DATA
■著者:魔神ぐり子
■出版社:一迅社
■レーベル:ゼロサムコミックス
■掲載誌:ゼロサムアンソロジーシリーズArcana
■全1巻
■価格:648円+税


■購入する→Amazonbk1

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