
…ようこそ
中等部生徒会へ
■演技が上手くいかず悩んでいた人気子役の小宮奏人。出演中のドラマの役作りのため、奏人は中学のミステリー研究会を訪ねるが、なんとその中にいたのは、生徒会の面々!?学園の秩序と平和を守る、裏の顔を持った葵心学園中等部生徒会。構成員は、尽く濃いキャラばかり。そんな彼らと共に、芸能生活の合間を縫いながら、奏人は謎を探ることになるのだが…気がつけば探るどころか巻き込まれてばかりで…!?
現在ゼロサムにて「しろがねの王」(→レビュー)を連載中の、碧門たかね先生の過去に連載していたシリーズを、このタイミングで単行本化。これ以外にも、一迅社では過去作の単行本化がされており、「いよいよ経営危ないか!?」なんて思ったら、一迅社の決算期が7月らしく、駆け込みで単行本化がされているということみたいです。この作品は、表題作が7年前の作品と、かなり古め。絵柄もなんとなく、時代を感じさせます。主人公は、人気子役の小宮奏人。彼が出演中のドラマの役作りのため(顔採用で演技はド下手)、学校のミステリー研究会に加入し、様々な事件や出来事に関わっていくというストーリー。ミステリー研究会といっても、その会員たちはそのまま生徒会の役員たち。学園の秩序を守るため、裏の顔として、ミステリー研究会を運営しているのでした。ドSな会長を始め、生徒会の役員達はみなみな個性派。そんな中で、かわいらしい見ためそのままに、見事に弄られ役になっていく、主人公の奮闘を、見守っていきましょう。

中一だけど、見ためは完全に小学生。かわいいです。
現在のゼロサム(WARDを含めて)から見ると、絵柄や作風が、やや低年齢向けな印象を受けます。ガンガンとか、ギャグ王とか、その辺で連載していたとしたら、けっこうしっくり来るイメージ。主人公は中学生ですし、学園探偵ものということで、やはり少年誌連載作的な感覚で読んでしまいます。個人的には、ギャグ王で連載していた「少年探偵彼方 ぼくらの推理ノート」が大好きな子供だったので、こういうノリの作品は大好物。事件といっても、とてもかわいらしいもので、読み手に推理をさせるような作りにはなっていませんが、主人公が活発に動き回る(動き回される)ので、見ていて飽きることがありません。下手なファンタジーよりも、読み手に優しく、親しみやすい作品だと思いました。
表題作のシリーズが収録されているのは、全体の2/3。残りはいままでに描いた読切りや、現在連載している「しろがねの王」の特別版など。全体的にボリュームに欠け、特別版も本編を読んでいないと楽しめないということで、作者さんの作品を初めて手に取るという方には、やや辛い所があるかもしれません。個人的には、北海道の女子寮に住む女の子達のとある一日を描いた読切りがお気に入り。こういうの、また描いてくれないかなぁ。なんとなく懐かしい匂いを感じて、いい感じなのです。
【男性へのガイド】
→ショタ好きでも良いし、ライトな学園ミステリーもの好きでもOK。比較的読みやすい作品が多く収録されていると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→コスパは無視で、どのくらい楽しめたかで考えてこのくらいでしょうか。同時収録の読切りに、厚みがかけたのがちょっと残念。
作品DATA
■著者:碧門たかね
■出版社:一迅社
■レーベル:ゼロサムコミックス
■全1巻
■価格:552円+税
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