作品紹介→…先生、はじめてキスしたのっていつ?:藤原よしこ「だから恋とよばないで」1巻
関連作品レビュー→やっぱり私は、どうしようもなくこの作品が好きなのだ《続刊レビュー》「恋したがりのブルー」6巻
藤原よしこ「だから恋とよばないで」(2)
「先生」だから一緒にいられるし
「生徒」だから笑ってもらえる
せつないけど
だったらあたしは
先生のそばでずっとはしゃいでるよ
先生がさみしくないように
■2巻発売です。
心は、最近担任のジローちゃんが気になってしかたない。一挙手一投足を逃さず見つめていたり、気がつけば先生のことを考えていたり…。先生がいつもみたいにヘラヘラしていないと、胸がざわざわするんです、とても。そして思わずついていってしまった、先生のお墓参り。その帰り道を、他のクラスの生徒に見られてしまい、学校では早速ウワサに。そしてその話は、職員達の耳にも入るわけで…。そんな状況に、ジローちゃんは…。一方、心をふったはずの不破は、心のことを気にかけていて…?
~素直すぎるヒロインは相変わらず~
もう、やっぱり藤原よしこ先生の描く恋物語は素敵すぎます!どこまでも切なく、読んでいると、心だか鼻の奥だかが、ツーンとするのですよ。その切なさの源泉となっているのは、どこまでも素直なヒロイン。藤原先生の描くヒロインは、そろいも揃って「バカ」がつくぐらい正直で素直。この作品の心も2巻にて、不破くんの家庭の話を聞いた時に、実に彼女らしい素直な考えを見せてくれました。素直なヒロインに対して、奔放に見えて傷を負っている相手と、拗ねた優等生が出てくるというのは、藤原先生のお得意なパターン。不破くんも先生もまた、心と共に、これまでの藤原作品のような、いやそれを越えるような優しく切ない物語を作っていってくれるはずです。
~言葉遣いから見える、ヒロインの心の揺れ動き~
今回は、いつにも増してヒロインの心情というのが響いてきます。元々シチュエーションや台詞回しで、切なさを生み出すのは得意ではあったのですが、今回のヒロイン・心は、今までとは少し違う、恋心をより浮き立たせる表現をしています。それが、先生に対して時折挟まれる、敬語。
大人っぽく見えない教師・ジローに対し、生徒達はみなため口。ヒロインも例に漏れず、普段はジローに対してタメ口で話しています。けれどもふと、敬語になる瞬間があるのです。例えば1巻では、彼のお墓参りについていって、感極まった瞬間…

あたしが泣くことです
ここ一番での、真剣な表情と共に放たれる、丁寧な言葉。先生と生徒という、歳も立場も違うシチュエーションだからこそ成立する、敬語の破壊力です。これほど端的に、ヒロインの心の状態が伝わる表現って、なかなかないと思うのです。意識しているからこそ、言葉遣いも変化する。そんなこと、皆さんにもありませんか?そして2巻では、ヒロインの想いがより強まったことを表すように、敬語で接する場面というのが多くなっていきます。

だっ…て…
「先生」じゃないですか
この言葉のつまり具合といい、赤らめた顔といい、「先生」を強調しつつの丁寧語といい、なんてわかりやすいんだ!これもまた、ヒロインの素直さを表す一部分。こういった形での、自然な素直さというものを、当たり前のように作中で表現してくる藤原先生、本当に素晴らしいです。
~ジローを救った相手とは~
さて、話は変わってジローのこと。この辺からは俄然既読者向けになりますので、よろしくどうぞ。2巻にて、大きなポイントとなったのは、ジローの部屋にあったピアスとその持ち主について。ジローが未だに大事に持っているピアスの持ち主は、兄の恋人であったミヅキのものであったというのは確定的なのですが、そこである疑問が生まれてきます。実は一巻にて、ジローの人生で非常に重要な位置付けにいると思しき女性(?)の存在が匂わされているのですが、その時の彼の説明は…
それに対しての新田の「女?」という質問に対しては、無言だったジロー。したがってまだ女性であると確定したわけではないですが、男であれば男と言うでしょうし、そこまで含みを持たせるようなことはしない気がします。そして女性であるとすれば、2巻のこのタイミングで登場した、ミヅキである可能性が、十分ある。しかし迎えにきたのだとしたら、なぜジローはピアスを渡せなかったのか。そもそもピアスに関してのジローの説明では、「もし会ったら返そうと思ってた」とのこと。だとしたら、やはりミヅキではない人?それともそれは、ただのウソ?…謎は深まるばかりです。そしてそんな彼のことを、一番聞きたいと思っているのは、他でもない心です。そして素直に表現される、彼女の心情。敬語で放たれた…

こないだのピアス
誰のですか?
は、数あった敬語シーンの中でも、特に強い想いがこもっていたように感じられ、非常に強く印象に残りました。真相は、3巻以降。果たして物語は、これからどのように転がっていくのでしょうか。今から続きが待ち遠しいです。
■購入する→Amazon
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関連作品レビュー→やっぱり私は、どうしようもなくこの作品が好きなのだ《続刊レビュー》「恋したがりのブルー」6巻

「先生」だから一緒にいられるし
「生徒」だから笑ってもらえる
せつないけど
だったらあたしは
先生のそばでずっとはしゃいでるよ
先生がさみしくないように
■2巻発売です。
心は、最近担任のジローちゃんが気になってしかたない。一挙手一投足を逃さず見つめていたり、気がつけば先生のことを考えていたり…。先生がいつもみたいにヘラヘラしていないと、胸がざわざわするんです、とても。そして思わずついていってしまった、先生のお墓参り。その帰り道を、他のクラスの生徒に見られてしまい、学校では早速ウワサに。そしてその話は、職員達の耳にも入るわけで…。そんな状況に、ジローちゃんは…。一方、心をふったはずの不破は、心のことを気にかけていて…?
~素直すぎるヒロインは相変わらず~
もう、やっぱり藤原よしこ先生の描く恋物語は素敵すぎます!どこまでも切なく、読んでいると、心だか鼻の奥だかが、ツーンとするのですよ。その切なさの源泉となっているのは、どこまでも素直なヒロイン。藤原先生の描くヒロインは、そろいも揃って「バカ」がつくぐらい正直で素直。この作品の心も2巻にて、不破くんの家庭の話を聞いた時に、実に彼女らしい素直な考えを見せてくれました。素直なヒロインに対して、奔放に見えて傷を負っている相手と、拗ねた優等生が出てくるというのは、藤原先生のお得意なパターン。不破くんも先生もまた、心と共に、これまでの藤原作品のような、いやそれを越えるような優しく切ない物語を作っていってくれるはずです。
~言葉遣いから見える、ヒロインの心の揺れ動き~
今回は、いつにも増してヒロインの心情というのが響いてきます。元々シチュエーションや台詞回しで、切なさを生み出すのは得意ではあったのですが、今回のヒロイン・心は、今までとは少し違う、恋心をより浮き立たせる表現をしています。それが、先生に対して時折挟まれる、敬語。
大人っぽく見えない教師・ジローに対し、生徒達はみなため口。ヒロインも例に漏れず、普段はジローに対してタメ口で話しています。けれどもふと、敬語になる瞬間があるのです。例えば1巻では、彼のお墓参りについていって、感極まった瞬間…

あたしが泣くことです
ここ一番での、真剣な表情と共に放たれる、丁寧な言葉。先生と生徒という、歳も立場も違うシチュエーションだからこそ成立する、敬語の破壊力です。これほど端的に、ヒロインの心の状態が伝わる表現って、なかなかないと思うのです。意識しているからこそ、言葉遣いも変化する。そんなこと、皆さんにもありませんか?そして2巻では、ヒロインの想いがより強まったことを表すように、敬語で接する場面というのが多くなっていきます。

だっ…て…
「先生」じゃないですか
この言葉のつまり具合といい、赤らめた顔といい、「先生」を強調しつつの丁寧語といい、なんてわかりやすいんだ!これもまた、ヒロインの素直さを表す一部分。こういった形での、自然な素直さというものを、当たり前のように作中で表現してくる藤原先生、本当に素晴らしいです。
~ジローを救った相手とは~
さて、話は変わってジローのこと。この辺からは俄然既読者向けになりますので、よろしくどうぞ。2巻にて、大きなポイントとなったのは、ジローの部屋にあったピアスとその持ち主について。ジローが未だに大事に持っているピアスの持ち主は、兄の恋人であったミヅキのものであったというのは確定的なのですが、そこである疑問が生まれてきます。実は一巻にて、ジローの人生で非常に重要な位置付けにいると思しき女性(?)の存在が匂わされているのですが、その時の彼の説明は…
迎えに来てくれたヤツがいたんだ
ひとり
ひとり
それに対しての新田の「女?」という質問に対しては、無言だったジロー。したがってまだ女性であると確定したわけではないですが、男であれば男と言うでしょうし、そこまで含みを持たせるようなことはしない気がします。そして女性であるとすれば、2巻のこのタイミングで登場した、ミヅキである可能性が、十分ある。しかし迎えにきたのだとしたら、なぜジローはピアスを渡せなかったのか。そもそもピアスに関してのジローの説明では、「もし会ったら返そうと思ってた」とのこと。だとしたら、やはりミヅキではない人?それともそれは、ただのウソ?…謎は深まるばかりです。そしてそんな彼のことを、一番聞きたいと思っているのは、他でもない心です。そして素直に表現される、彼女の心情。敬語で放たれた…

こないだのピアス
誰のですか?
は、数あった敬語シーンの中でも、特に強い想いがこもっていたように感じられ、非常に強く印象に残りました。真相は、3巻以降。果たして物語は、これからどのように転がっていくのでしょうか。今から続きが待ち遠しいです。
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