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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2010.08.06
1102949786.jpg辻田りり子「恋だの愛だの」(1)


苗床かのこ 高1 4月
図らずも人生初の
部活動デビュー



■転校続きの中学時代とは違い、椿くんと共に宝ノ谷高校へと入学したかのこ。中学のときまでの観察者ライフを捨て、違う女子校へ行った花井さんに相応しい友人になるべく、新しい自分を始めようと決意。しかし染み付いた傍観者精神はなかなか抜けないもので…入学式の日に面白そうなものを発見。それが、廃部寸前の新聞部。野次馬根性丸出しで、ちょいと出しゃばったところ、なぜだか軍師だと熱烈勧誘されて、気がつけば入部することに!?そして何故か椿くんも新聞部に…。あれあれ、確かに中学の時とは変わっているけれど、描いた方向とはちょっと違うような…そんなかのこ様の高校生活が、スタートです!

 以前ご紹介しました「笑うかのこ様」(→レビュー)の続編でございます。今度は高校生編ということで、かのこ様も若干大きくなっております。前作までのかのこ様ってやたら小さいイメージがあって、白雪姫に出てくる小人みたいなサイズ感で捉えていたのですが、今回のかのこ様はなんだかしっかりと高校生らしいフォルムをしていて、成長を感じずにはいられないのです。って、多分前作ラスト付近ではこんな感じだったのでしょうが、私は途中で振り落とされてしまった人間なので…。ということで、改めてかのこ様に挑戦したわけですが、今回は非常に読みやすかったです。前作スタート時は、傍観者根性全開・捻くれ精神爆発というシニカル成分たっぷりのかのこ様でしたが、今回はそんな自分を自覚し、新たに知った仲間一緒に過ごす楽しさを手に入れる方向にシフト。傍観者肯定ではなく、傍観者抑止というスタンスで、学校生活をスタートさせていくことになります。


愛だの恋だの
二人きりになって、やたらと一緒にいようとする椿くんでしたが、そんな彼に対しかのこ様は少々ご立腹。双方の目的が違う以上、その行動は相容れることはないのですが、果たしてどうなっていくのか…。


 今回かのこは、紆余曲折あって新聞部にはいるわけですが、もうこれ以上適した部活はないってくらいハマってますよね。初っぱなにそれが出てきたとき、思わず「そうか、それがあったかぁ!」と(笑)かのこ自身は乗り気ではないのですが、いつしかその才能を見せてくれることでしょう。そしてそれに対し、一向に進まない椿くんとの関係。人間関係、こと恋愛関係においては鈍感中の鈍感なかのこ。他の三人は、不器用なりに変化を見せている中、かのこはどう変わっていくのか。当面は三人でひっぱりっていけば余裕で持ちそうな気がするので、とりあえずかのこ様は新聞部活動にだね…。
 
 前作で振り落とされてしまった理由としては、中学生なのに黒すぎるとか、シニカル成分が強すぎるというところがあったのですが、今回はそんな成分がややマイルドになり、個人的に非常に読みやすく、終始作品を楽しむことができました。根底にあるものは同じなのでしょうが、しっかりとオブラートに包まれたような感じがするのです。傍観者精神を否定することはなくとも、それを敢えて抑え、違う方向にシフトしようと努力する。そしてそれが、目に見える形で周囲からもたらされる。そういった展開が、なんだかとても爽やかに感じられます。人によっては、ちょっと弱いんじゃないですか?なんて感じる方もいるかもしれませんが、自分にはこのくらいが丁度良いのです。またヒロインが自ら、自分を含めて周囲を見るようになったことで、さらに物語に幅が出てきております。巻数を重ねて、脇役に味が出てきたということもあるのでしょうが、ヒロインの精神的変化も、サイドストーリーに厚みを持たせる要因になっているのではないのかな、と感じます。
 
 脇役たちの活躍を見ても、あくまで「かのこ様」ありきで、そちらを読んでこそというつくりにはなっているのですが、ここから読みはじめても困ることはまったくありませんので、ご安心を。むしろかのこ様の黒さを、自分のようにちょいと苦手なポイントとして捉えるのであれば、高校生編を起点として、中学生編に遡って行くという読み方の方がむしろプラスにも思えるわけで。これはやっぱりオススメせざるをえないなぁ、と。


【男性へのガイド】
→前作と変わらず。そちらを参照くださいませ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→高校に入学してのかのこ様は、私のような狭量な人間でも全然受け入れられて、むしろ楽しませてさえくれたという。ここから読みはじめても良しの、納得の続編でした。


■作者他作品レビュー
辻田りり子「不思議な温度で」


作品DATA
■著者:辻田りり子
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLaDX(平成21年11月号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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