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Tag [新作レビュー] 2010.08.08
1102949787.jpg森生まさみ「もちもちの神様」(1)


……ああ
友達作るって
なんてムズムズして
うずうずして
照れくさいんだろう



■美少女だが天の邪鬼な流歌は、その性格から、男子にはモテモテで、しかし女子からは嫌われているという中学三年生。そんな彼女には、最近気になる男の子がいる。クラスの人気者・三日月くん。彼との恋愛成就を、近所の神社へいき“もちもちの神様”にお願いすると、突然目の前に、神の使い・もちこが現れた!「神の使いが現れたってことは、自分の願いが届いたってこと!」そう信じ、いざ三日月くんに告白すると…。そして浮き彫りになる、流歌の真の願い…もちことの不思議ライフの行方は!?

 森生まさみ先生の新作でございます。今度のヒロインはツンツンな、天の邪鬼ヒロイン。美少女だけれど天の邪鬼。男子からはモテるけれど、それが災いして女子からは総スカン。そんな中学三年生・流歌の願いは、クラスの人気者・三日月くんと両思いのなること。しかしなかなか行動に移すことができない彼女は、とりあえず近所の神社で”もちもちの神様“に、恋愛成就をお願いしに行きます。そして願った刹那、彼女の目の前に現れたのは、やたらとファンシーな生き物。もちこと名乗るその物体は、どうやら神様の使いらしい。「神様の使いが現れたってことは、願いが叶ったってこと!?」と、そこから三日月くんに少しずつアプローチしていき、いざ告白!しかし結果はNO。「一体どういうこと?」と、悲嘆に暮れ、あげくもちこに八つ当たりをした流歌でしたが、もちこと離ればなれになることで、一人の寂しさを実感。そして、自分の本当の願いを自覚することになります「友達が欲しい」。心の奥底にある、本当の願いを“もちもちの神様”にもう一度伝えると、再びそこにもちこが登場。再び願いを叶えるための、もちことの生活が始まっていきます。


もちもちの神様
もちこが見えるかどうかが、友情のバロメーター。もちこが見えれば、友達で、そうでなければ、もっと頑張りましょう。


 恋愛ものかと思いきや、物語は一転、孤独の中にいた少女が友達作りをし、自分の世界を広げて行くという内容になっていきます。初っぱなから好きな人に告白してフラれるという(しかもガチテンション)、なかなかしんどいスタートなのですが、フィールドを恋愛から友情へと移すことで、そのダメージを軽減。陰は落とさずに、明るい雰囲気で作品は進行していきます。まずはフラれた相手・三日月くんと仲良くなり、そこから同性の友達、そこから繋がる友達…と、彼女の世界がゆっくりと広がっていく感じ。現時点で恋愛要素は少なく、明るく微笑ましい物語展開となっています。
 
 人付き合いが苦手な高飛車なヒロインにとって、最大のハードルとなるのは、きっかけ作り。それがなかったために、今まで友達ができずにいたのですが、その部分は、神の使いであるもちこが担当。ヒロインは、そこからどう人間関係を構築していくかだけに集中する形になり、形式的にも無理がなくスマートな仕上がりになっています。キャパオーバーすると途端に塞ぎ込んでしまいそうなヒロインには、このくらいの苦労が丁度良し。いっぱいいっぱいになりつつも、精一杯相手のことを考え対峙し、そして世界が広がることでどんどんと新しい一面を見せていく流歌の姿が、本当にかわいらしい。これから恋愛展開もあるかと思われますが、中学生という年齢設定があるために、こちらもまた可愛らしく微笑ましいものになりそう。そこここに古めかしさがあり、万人に受け入れられながらという感じはありませんが、少女漫画歴が長めに差し掛かろうという読者の方など、を中心に、一定数の支持はありそう。神の使いという不思議な存在はいますが、内容的には親しみやすいもので、安心感をもって最後まで微笑ましく読むことができました。
 
 
【男性へのガイド】
→ヒロインかわいいです。恋愛要素はなくとも、ノリや絵柄はまさに少女漫画という感じなので、そういうの大丈夫であれば。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→もちこをどう捉えるか。読めないキャラは、かわいらしくも若干の苦手意識があったり。楽しく読めましたし、続きも楽しそうな内容でございます。


■作者他作品レビュー
森生まさみ「きゃらめるBOY」


作品DATA
■著者:森生まさみ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLaDX(平成22年1月号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazonbk1

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