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Tag [続刊レビュー] 2010.08.21
作品紹介→音久無「花と悪魔」
6巻レビュー→テンパイ…いやリーチって言ったほうが伝わるのかな?《続刊レビュー》「花と悪魔」6巻

7巻レビュー→恋は男をダメにし、少女を成長させる:音久無「花と悪魔」7巻



1102949791.jpg音久無「花と悪魔」(8)



一緒に居られるだけでよかった
手を繋いでくれるだけで
誕生日をお祝いしてくれるだけでよかった
それだけで涙が出るほど幸せなのに
どうして
どうしてまた欲しがってしまうんだろう



■8巻発売です。
 最近、ビビに隠し事をするはな。その理由を探るため、ビビは単身、魔王の元へ向かう。それを知り、ビビの無事を心配するはなだったが、帰ってきたビビはとんでもないことを口にする。「俺、こいつと結婚することになったから」婚約者でありながら犬猿の仲であるローゼマリーを連れ、ビビはそう言い放った。あまりに突然のことに、放心状態のはな。はなを守るため、苦渋の決断をしたビビだったが、その決断ははなを余計に苦しめる。想いあうほどに、思いはすれ違う。果たして、はなの想いの行く先は…?


~間違いなく本作品の最高瞬間風速を記録~
 途中、中だるみが目立ったこの物語ですが、8巻に来てとんでもないことに。間違いなく本作品の瞬間最大風速を記録しました。恋心を自覚してからのはなは、なんだか終始浮き足立って落ち着かない様子でしたが、それはビビと将来どうなりたいかが、ハッキリとしていなかったから。今回そこが明らかになったことで、想いの強さが一気に爆発。すばらしいシーンを生み出すことになりました。

 ローゼマリーとの結婚を決定し、いよいよ婚儀を開始しようというビビ。そんな彼を追いかけて、魔界に乗り込んだはなは、ビビとなんとか再会、「結婚しないでほしい」という旨を伝えることに成功します。今までの展開であれば、ここで一件落着なのですが、今回は一味違いました。そこでローゼマリーの邪魔が入り、婚儀が強行開催されそうになります。それでもあきらめないはなは、牢屋を抜け出し会場へ。これだけでもなかなかアツイ展開なのですが、その後がとにかく素晴らしかった。感極まったはなが放った一言…


花と悪魔8-2
ビビの
お嫁さんになりたいっ



 この破壊力。無邪気に笑顔で言い放ったのであれば、ただの子どもの言う絵空事と流されてしまうのですが、真剣に涙目になりながら言われると、そりゃあもう心に響くわけで。言葉そのものは、はならしく非常に子どもっぽいものでありながら、真剣さをプラスすることで抜群の味わいに。可愛かったというよりも、よくがんばったなぁ、と。こぼれる涙に赤面、そして手すりに引っ掛けるのではなく、その上で握られる小さな手。はいはい、そりゃあビビも守ってあげたくなりますわな。とにかく素敵な場面でございました。


~一言に集約された、ビビの真摯さ~
 婚約解消と共に、ローゼマリーの秘めたる想いというものが明らかになった今回。彼女にとってはなかなか辛い展開となったわけですが、そんな中、ビビからの一言にちょっとした救いが提示されていたので、良かったな、と。それは、婚約解消の旨をローゼマリーに伝える、一言から…


花と悪魔8-1
すまない
マリー
婚約解消だ



 ビビといえば、自分本位で決して人に謝ることがない人間(悪魔)。そんな彼が、ローゼマリーの本音を知った上で、「すまない」と謝りの言葉を放っています。これって何気ないけれど、けっこう凄いことだと思うんです。彼女の本音を知ったからこそ、自分も真摯に対応しなくては。ビビのちょっとした優しさが感じられた一幕でした。その他にも彼は、彼女のことを「マリー」と呼んでいます。「こいつ」「お前」が当たり前で、良くても「ローゼマリー」としか呼ばなかった彼が、最後だけは「マリー」と愛称で呼ぶ。これもまた、ビビの真摯さが覗いた言葉。たった一行の短い言葉でしたが、その一言には、ビビの普段は見せない誠実な一面が詰まっていたのです。


~もう駆け抜けるだけ~
 物語もいよいよクライマックス。次の巻で最終回となるのかもしれません。だらだらと伸びるぐらいなら、キッチリとまとめてもらったほうが嬉しい人間なので、この流れは歓迎。いよいよ、男女としてお互い向かい合う…前に、改めて人間と悪魔として向かい合いそうな9巻。楽しみですね。もう中だるみは無いでしょうし、このまま一気に突っ走ってくれるはず。改めて今、オススメしておきます。


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カテゴリ「花とゆめ」コメント (1)トラックバック(0)TOP▲
コメント

参考になったよ。ありがとう。今度読んでみるね。
From: 月 影 * 2010/08/22 09:23 * URL * [Edit] *  top↑

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