
何かあっても
これはまだ物語の途中なんだって
これからきっと
ハッピーエンドに向かうんだって
■公開中の映画「ハルフウェイ」のコミカライズ版です。この他に、読切り2編を収録。
冬の北海道、受験生のカップルである、ヒロとシュウ。当然ふたりとも地元の大学に通うものだと思っていたヒロだったが、ある日シュウの志望校が早稲田大学だということを知る。彼のことを想うのであれば、応援してあげるべき。けれど、あまりに突然のことで、どうしたって大人になれない、素直になれない。残された時間を前に、ヒロは…!?
上京を決めた彼氏と、そのことに戸惑うヒロイン。地方の高校生にとっては、東京なんて遥か遠く、異世界のような場所。未来を想像するのも難しいのに、遠距離なんて考えられるわけがありません。押し寄せる、不安。好きだから、行って欲しい、でも、好きだから、離れたくない。どこにでもいそうなカップルの、どこにでもありそうな感情を、丁寧に、瑞々しい絵とモノローグで切り取っていきます。
小説が原作っぽい空気感ですね。表題作のみこうなのかと思いきや、他の読切りも同じような空気感。無駄に少女マンガチックにキャピキャピ(死語?)させず、少しだけドライに、そしてあたたかく…という感じ。大学生や専門学校生が主人公なのですが、まさにその辺の年齢層が読むのに最適。落ち着いてはいるのだけれど、しっかり少女マンガになっているところは好印象。良作だと思います。
原作&監督・北川悦吏子、プロデュース・岩井俊二&小林武史、主演・北乃きい…その他にも錚々たるメンバーが名を連ねている話題の映画「ハルフウェイ」。10代の恋愛をリアルに描くため、台本はほぼ白紙。9割方アドリブで話を進めたと言います。タイトルの「ハルフウェイ」も、北乃きいさんの言い間違いがきっかけだとか。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→少女マンガ特有の甘ったるいノリが苦手という方は、これなら読めるんじゃないでしょうか。話はもろに女の人向けですが。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→表題作だけかと思いきや、他の読切りもなかなかの出来。積極的に「買え」とは言いませんが、多分買って「損した」って思う人はそんなにいないと思います。
作品DATA
■著者:山口いづみ 作者ブログ→「記憶ノート」
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:デラックスマーガレット(平成21年3月号,平成20年7月号,11月号)
■全1巻
■定価:400円+税
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