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Tag [続刊レビュー] 2010.08.30
作品紹介→小畑友紀「僕等がいた」
関連作品紹介→「きみの勝ち」「スミレはブルー」小畑友紀「スミレはブルー」レビュー続編(既読者向け)



1102950324.jpg小畑友紀「僕等がいた」(14)


行け
おまえだけは
前へ進め
それがオレの



■14巻発売しました。
 竹内からのプロポーズを断った七美。それをきっかけに、自分の本当の気持ちに気がついた七美は、矢野と6年ぶりに再会を果たした。しかし、二人の邂逅は、別れを選ばざるをえないものであった。一方、竹内とも再会を果たした矢野。思い出話、離れていた間の話に花を咲かせたその後に、七美の話に。その際の矢野の七美を巡る発言に、竹内は憤りを爆発させるが…!?
 

~14巻発売です~
 久々の14巻発売です。社会人になって3巻目でしょうか。高校のときは、ちょうど七美たちと同じ時間の中を過ごし、どことなく共感めいたものを感じながら読んでいました。それが話は飛び、一気に社会人に。当時大学生だった自分は、「あら、一気に離れていっちゃった」なんて思っていたのですが、気がつけばまたしても彼らと同じ年代となり、社会人としてこの物語を読むことになっています。なんだか不思議な気分。さすがに共感めいた感覚を抱くことはなくなっていますが、それでもやはりこの作品は自分にとっては特別で、相変わらず言葉の一つ一つがぐさぐさと心の中に入ってきます。何かちゃんとしたレビューを書こうとか思っていたのですが、ちょっと思い入れが強過ぎるみたいで、難しいかもですね。


~イルミネーション~
 今回の見所はなんといってもイルミネーション。もう読んでて鼻の奥がツーンと(笑)いい歳して何してんだかって感じですが、それでもやっぱり切ないシーンは切ないぞ、と。空港ではうやむやになってしまったため、改めて「ちゃんとした別れ」をするために向かった七美。そしてそれを察し、矢野も本当のことを告げ、七美を突き放す。お互い前に進むために、最後の時間を過ごします。高校生の頃、あれほどまでに望んだ東京でのデートは、結果別れるための最初で最後の短い短い時間となってしまいました真剣に伝えすぎると、どうしても切なく、ツラくなってしまうからと、時折挟まれる冗談や笑いが、逆にどこまでも切ない


僕等がいた14-1
はは
震えてる
ホント冷え性だな
変わんないな



 震えながらも、必死に笑顔を作って送り出す。「変わんないな」という、繋ぎとして出たであろう言葉にも、なんだか二人の間にある特別な関係がにじみ出ているような気がして、余計に悲しく感じさせます。いや、そりゃあやがてはくっつくので最後じゃないのでしょうが、今はもう「僕等がいた」という過去形ではなく、すでに視点は追いついるわけで、今なお物語は現在進行形で続いているのです。だからこそ、今だけ感をもって、リアルタイムに悲しみ喜びたいじゃあないですか。


~竹内くんについてうだうだと~
 さて、気を取り直して作品の内容に触れていきましょう。前回またしてもフラれた竹内くん。これで七美にフラれるのは何度目になるのでしょうか。たぶん3度目ですかね?一度は高校生のとき、二度目は社会人になる前の頃、そして三度目はプロポーズにて。竹内くんの告白と、その七美の回答というのは面白くて、それまではその場で答えを聞くことはなく、後日別の場所で改めて聞くというパターンとなっていました。その辺の歯切れの悪さが竹内くんのかませ犬っぷりを象徴している感じがして良いです。そして同時に、それだけ七美にこだわっている、強い想いを感じとることもできます。しかし最後だけは違いました。数年来の想いを、数ヶ月分の給料の指輪に乗せてぶつけた結果が、2~3ページの走馬灯後に即「ごめんなさい」。せ…せめて1話またいでくれたって良かったじゃないか(´・ω・`) なんて、基本的にその場でOK出なければアウトなんでしょうが。むしろ即答で断ってくれたからこそ、彼も救われたのではないでしょうか。そんなにされて、腐っても仕方ないのに、最後は結局サポート役に回る竹内くん。そんな彼が大好きです。千見寺さんが回収してくれんだろうか。結構お似合いだとは思いますが、どうにもついてない感じがありますね(笑)

 
~千見寺さんの発言~
 フラれた後の女同士の励まし合いというのが好きなのですが、千見寺さんと七美ももうこれ完璧じゃないですかというほどに、良い励まし・励まされをしておりました。


僕等がいた14ー②
辛さが際立って「結婚しよう」と言い出しちゃう女の人が好きなんです。なんか弱い感じがしていいじゃないですか。


そんな中、千見寺さんが放った一言が、ちょっと面白かったので一つ。
 
人生はある程度決まってるんだって

 実はベツコミの小畑先生のインタビューでは明らかになっているのですが、「僕等がいた」の結末は数年前からすでに決まっています。今はそこに辿り着くために、道筋を調整しているというところ。この千見寺さんの発言というのは、まさに大正解なわけで、なんだかとっても滑稽だなぁ、と。さっきリアルタイム感とか言っておきながら、ここで笑うってのは一貫性がなくてダメなんですけど、なんだか面白かったので。しかし千見寺さん、その後がニクい。
 
「縁があれば
またいつか出会えるよ」

「……誰に?」

「…七美の大好きな人にだよ」

 敢えて明言をせず、七美に託す。このむやみに入り込まない、適度な距離感が素敵。「七美の大好きな人」と聞いたとき、読者は誰を思い浮かべたのか。この演出上手が!さっきの運命説といい、なんだか小畑先生の意のままに動いてる感じがする彼女。てか場面場面で、重要な働きをちょくちょくしているのが彼女なんですよ。実は物語的にも、作り手側にとっても、一番の功労者となっているのは千見寺さんなのかもしれません。そんな千見寺さんに幸あれ!
 

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コメント

僕等がいたは本当にイイ漫画
だと私は心の底から思いますv-354

だから映画も早く見たくてウキウキ
していますv-278

漫画も全巻もっていますe-265
それくらい大好きですe-349
From: みみんちょ * 2011/07/21 00:58 * URL * [Edit] *  top↑
はじめましてv-221
石塚莉杏ですv-238
僕等がいたちょう好きv-238ですv-218
よろしくですv-206
From: 莉杏 * 2011/09/12 20:12 * URL * [Edit] *  top↑

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