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有川浩/弓きいろ「図書館戦争LOVE&WAR-」4巻レビュー→
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あごひげモブ郎を本気で探してみた:有川浩/弓きいろ「図書館戦争-LOVE&WAR-」
弓きいろ/有川浩「図書館戦争LOVE&WAR」(6)
らしくないのよ
今更ホントに
友達になりたいなんて■6巻発売しました。
小牧拉致事件が解決し、束の間の平穏を迎えた関東図書隊。そして迎えるは、2月のバレンタインデー!義理に本命に、色めき立つ女子の同僚を横目に、郁もチョコの用意を…!?渡す相手はもちろん…。一方、同室の柴崎は、図書館利用者の男性との関係が噂になり、図書隊員たちの注目の的に。そんな中、「新世相」に法に触れた記事があるとの連絡が入り、現場は慌ただしく動き出す。ラブもバトルも怒濤の新展開へ…!
~柴崎さんの郁の関係に感動~ 大きな物語の動きはそれほどなく、種を蒔きこれから新たに話を芽吹かせようという段階の6巻。そんな中、郁と同室で美人の柴崎さんの過去と現在の想いが明らかになったのですが、そこで見せた郁との絆の強さに、思わず気持ちが持っていかれてしまいました。気丈に振る舞う人には、何かしらの弱い部分があるのですが、彼女もまた過剰なほどの防衛からの、自己嫌悪を抱いているのでした。そんな彼女の拠り所になっているのが、裏表なく真っ直ぐな、郁。普段はそんな素振りまったく見せない彼女ですが、その存在は、日ごとに彼女の中で大きくなっていっていました。そして描かれた、このカットが実に素敵でした…

楽しさの奥底から、なんとなく頼りたいという気持ちが伝わってくるような。ちょっと弱い部分を見せ、より親近感を湧かせてくれた柴崎さん。彼女にもやっと幸せの芽が芽生えたようで、一安心。こういう人は、壁を飛び越えてできた人間関係を、驚くほど大事にしそうなので、付き合ったら尽くしに尽くして、長く持ちそうなイメージがあります。
~「抱っこ」に見る、人間関係~ さて、話は逸れましたが、今回は抱っこについて少し書こうかな、と思っています。先程は柴崎さんから郁への抱っこが描かれていたわけですが、その少し後には逆の構図が…

こちらはもう
「全力で柴崎を守ってやるよ!」という男らしさに溢れた印象。先の柴崎さんの抱っこが、頼らざるをえないような、ちょっとした弱々しさを感じさせたのとは、対照的です。構図は同じでも、描き方とキャラでこんなにも印象が変わるという。さて、抱っこと言えば、6巻に関してはラストの抱っこがやはり一番なのかな、という気がします。それが、歩道橋で子供を助けようとして、自分まで落ちてしまった郁を支える堂上教官…

これ、何気にお姫さま抱っこになっているんですよね。お姫さま抱っこをできるのは、他でもない、王子様だけ。そして郁は、自分と自分の大切な物を助けてくれた王子様に憧れ、この図書隊に入隊してきました。その王子様とは他でもない堂上教官なのですが、鈍感な彼女は未だ気づかず。こういったところにも、ヒントが隠されているんだけどなぁ、郁は気がつかないんだよなぁ。こういった、先生のちょっとしたニクい演出を楽しみながら、読むことができた6巻。堂上と郁はこの通り相変わらずですが、柴崎にはラブの芽が生まれ、そして手塚にも何か一波乱ありそうな気配。徐々に人間関係が広がり、そしてそれに伴って変化してきています。まだまだ楽しめるであろう続刊が、今から楽しみですね。
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