作品紹介→よしながふみ「大奥」6巻
よしながふみ「大奥」第6巻
…生きるという事は
女と男という事は!
ただ女の腹に種を付け子孫を残し
家の血を繫いでいくことではありますまい!
■6巻発売しました。
将軍・徳川綱吉も歳を重ね、いよいよ後継者を選ぶ段階に入った。候補は二人、一人は甲府宰相である徳川綱豊、そしてもう一人は紀州の三代藩主・徳川綱教。どちらも聡明であり、家臣達からの信頼も厚い。そんな中、己の人生・存在を省み、心身を弱らせていく綱吉の姿を見て、右衛門佐は…。退く身の綱吉と、新たな将軍、そして彼女たちを取り囲む、家臣達の想い。益々目が離せない、男女逆転大奥、華麗に第6巻登場!!
~映画化~
映画化も決定しており、10月1日には早くもロードショーとなる予定。水野役を嵐の二宮和也くんが務め、吉宗を柴崎コウさんが務めるということですが、水野役が二宮くんてのはちょっとイメージと違うような気もします。まぁ映画で原作のイメージをどうこう言うなんてのは、野暮なのでしょうけど。というわけで、映像化のタイミングに合わせた形で、6巻登場です。前回、綱吉編で哀しき末路を匂わせつつ終わったのですが、今回はその綱吉編が完結致しました。その綱吉編が、どこまでも素晴らしかった。ラスト近くのシーンでは、思わず泣いてしまいました。
~綱吉と右衛門佐のやりとりに思わず涙~
月のものも来なくなり、もはや後継者を残すことが出来なくなった綱吉。将軍として政に精を出すのも将軍職の重要な役目ではありますが、最も大切なのは、直系の後継者を残すこと。そのことは、周囲の者も本人も、殊更強く意識していました。ゆえに、可能性がなくなったことによる絶望感は、相当なもの。残された政に関しても、悪名高い「生類憐れみの令」によって、庶民の生活を逼迫させるなど、救いとはなってくれませんでした。そして出てくる考えは…「どうして自分は生きているのだろう」というものでした。そんな彼女の姿を見て、右衛門佐の感情がついに爆発。ついに綱吉と右衛門佐は結ばれることになったのでした。その後の、右衛門佐の台詞が泣かせた…

今まで子を生すため以外に女人と褥を共にした事のない私には
この夜だけが真の女と男の夜でござりました
あなたとこうなったのが
今のこの皺だらけの措いた体で本当に良かった…
この一言で、この一晩で、お互いがどれほどまでに救われたものか。言葉では、右衛門佐が救われたように言っていますが、むしろ救われたのは綱吉の方。将軍として、女として結果を残すことができなかった今の自分を、全肯定で抱きしめてくれた。これ以上ない、救いの言葉です。そうか、こんな考え方もあるのか、と。その後綱吉は、父親からの呪縛から逃れるように、後継者を決めます。今までは、心の拠り所が父親しかなかった綱吉に、新たな心の拠り所が現れた瞬間でした。最後、二人の結末はあまりに哀しいものでありましたが、この瞬間、束の間の幸せが訪れていたのが、せめてもの救いだったのかもしれません。
どこまでも将軍の姿を描きながら、どこまでも女としての生き方を描く。この二つが完全に物語の中で共生し、全く新しい物語を、違和感なく作り出す、やっぱりよしながふみ先生ってすごいなぁ、と6巻で改めて思わされました。だってめちゃくちゃ「大奥」なのに、全然「大奥」じゃないんですもの。自分にもっとボキャブラリーや表現力があったら、もっとこの作品の面白さやすごさを伝えられるのに、それができないのがどこまでももどかしい。とにかく読んで欲しいと、それだけです。
~物語は家宣編へ~
物語は徳川家宣編へ突入。といっても家宣は、在任3年で他界と、任期は短いものとなっております。それでも、悪化した財政・治安の回復に尽力し、一定の功績を残した将軍として、歴代将軍の中でも名君と言われている人物。あくまで家継から吉宗へと渡す繫ぎの役目だとは思うのですが、その部分は蔑ろにせず、しっかりと物語の中に落とし込み、彩りを加えています。こちらの章でメインとなるのは、家宣自身よりもむしろ、その側近であった間部詮房と月光院、そしてそこがきっかけとなる、江島生島事件になります。いやはや、どういった形でこの事件を描き出すのか、今から楽しみですね。
■購入する→Amazon
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…生きるという事は
女と男という事は!
ただ女の腹に種を付け子孫を残し
家の血を繫いでいくことではありますまい!
■6巻発売しました。
将軍・徳川綱吉も歳を重ね、いよいよ後継者を選ぶ段階に入った。候補は二人、一人は甲府宰相である徳川綱豊、そしてもう一人は紀州の三代藩主・徳川綱教。どちらも聡明であり、家臣達からの信頼も厚い。そんな中、己の人生・存在を省み、心身を弱らせていく綱吉の姿を見て、右衛門佐は…。退く身の綱吉と、新たな将軍、そして彼女たちを取り囲む、家臣達の想い。益々目が離せない、男女逆転大奥、華麗に第6巻登場!!
~映画化~
映画化も決定しており、10月1日には早くもロードショーとなる予定。水野役を嵐の二宮和也くんが務め、吉宗を柴崎コウさんが務めるということですが、水野役が二宮くんてのはちょっとイメージと違うような気もします。まぁ映画で原作のイメージをどうこう言うなんてのは、野暮なのでしょうけど。というわけで、映像化のタイミングに合わせた形で、6巻登場です。前回、綱吉編で哀しき末路を匂わせつつ終わったのですが、今回はその綱吉編が完結致しました。その綱吉編が、どこまでも素晴らしかった。ラスト近くのシーンでは、思わず泣いてしまいました。
~綱吉と右衛門佐のやりとりに思わず涙~
月のものも来なくなり、もはや後継者を残すことが出来なくなった綱吉。将軍として政に精を出すのも将軍職の重要な役目ではありますが、最も大切なのは、直系の後継者を残すこと。そのことは、周囲の者も本人も、殊更強く意識していました。ゆえに、可能性がなくなったことによる絶望感は、相当なもの。残された政に関しても、悪名高い「生類憐れみの令」によって、庶民の生活を逼迫させるなど、救いとはなってくれませんでした。そして出てくる考えは…「どうして自分は生きているのだろう」というものでした。そんな彼女の姿を見て、右衛門佐の感情がついに爆発。ついに綱吉と右衛門佐は結ばれることになったのでした。その後の、右衛門佐の台詞が泣かせた…

今まで子を生すため以外に女人と褥を共にした事のない私には
この夜だけが真の女と男の夜でござりました
あなたとこうなったのが
今のこの皺だらけの措いた体で本当に良かった…
この一言で、この一晩で、お互いがどれほどまでに救われたものか。言葉では、右衛門佐が救われたように言っていますが、むしろ救われたのは綱吉の方。将軍として、女として結果を残すことができなかった今の自分を、全肯定で抱きしめてくれた。これ以上ない、救いの言葉です。そうか、こんな考え方もあるのか、と。その後綱吉は、父親からの呪縛から逃れるように、後継者を決めます。今までは、心の拠り所が父親しかなかった綱吉に、新たな心の拠り所が現れた瞬間でした。最後、二人の結末はあまりに哀しいものでありましたが、この瞬間、束の間の幸せが訪れていたのが、せめてもの救いだったのかもしれません。
どこまでも将軍の姿を描きながら、どこまでも女としての生き方を描く。この二つが完全に物語の中で共生し、全く新しい物語を、違和感なく作り出す、やっぱりよしながふみ先生ってすごいなぁ、と6巻で改めて思わされました。だってめちゃくちゃ「大奥」なのに、全然「大奥」じゃないんですもの。自分にもっとボキャブラリーや表現力があったら、もっとこの作品の面白さやすごさを伝えられるのに、それができないのがどこまでももどかしい。とにかく読んで欲しいと、それだけです。
~物語は家宣編へ~
物語は徳川家宣編へ突入。といっても家宣は、在任3年で他界と、任期は短いものとなっております。それでも、悪化した財政・治安の回復に尽力し、一定の功績を残した将軍として、歴代将軍の中でも名君と言われている人物。あくまで家継から吉宗へと渡す繫ぎの役目だとは思うのですが、その部分は蔑ろにせず、しっかりと物語の中に落とし込み、彩りを加えています。こちらの章でメインとなるのは、家宣自身よりもむしろ、その側近であった間部詮房と月光院、そしてそこがきっかけとなる、江島生島事件になります。いやはや、どういった形でこの事件を描き出すのか、今から楽しみですね。
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