このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2010.09.19
1102958288.jpg北川夕夏「コイマト─恋的─」


心に
かけがえのないもの



■紅葉高校新入生の前田霞。弓道一筋で、高校でも弓道を続けるつもりだった彼女は、弓道部があるという理由で、紅葉高校への入学を決めたのだった。ドキドキしながらの仮入部の日、そこには驚くほどたくさんの入部希望の女子たちが。その原因は、先輩のイケメン3人組。女たらしの華澤大成、筋トレバカの烏山剛、そして知的クール系の清水静風。早速先輩達による入部面接と試験がはじまったものの、その内容は…?

 イケメン3人組がいる弓道部に、天然系のメガネ女子が入部してしまうという物語。ヒロインは、弓道のことしか考えていないような天然系のメガネ少女・霞。そんな彼女が、弓道部に仮入部するのですが、そこにはなぜかたくさんの入部希望の女子達が。というのも、弓道部に所属する3人の先輩達は、みなイケメンで、彼女達はそれを狙って入部を希望しているのでした。そんな彼女達を振り払うため、イケメン三人集は、ハードなトレーニングや色仕掛けでの面接など、あれこれと罠を用意して次々と数を減らしていきます。そして最後に残ったのが、前田霞。女たらしの華澤大成の色仕掛けにも反応せず、烏山剛のハード筋トレにも耐えぬいた彼女は、晴れて弓道部に入部してしまうことになったのでした。イケメン3人組のうち、まじめに弓道をやっているのは、知的クールの清水くんだけ。後の二人は、「女の子を連れ込む場所を確保したい」「筋トレを自由にできる場所が欲しい」という理由から、弓道部に入り、3人だけという体勢をキープしているにすぎませんでした。そんな部活に、天然系の少女が入部したことにより、思わぬ変化が…というストーリー。


恋的
思わず後輩にときめいてしまう、イケメン先輩。この物語は、むしろこの男の子の恋を描いた物語として成り立っている。


 この作品、「恋的」なんてタイトルですが、面白いことにヒロインは恋をしません。弓道一筋天然系の女の子が、恋を自覚してどうこうするには、3話構成はあまりに短すぎました。またイケメン3人組という売り文句で宣伝していますが、恋愛戦線に絡んでくるのは一人だけ。残りの二人はサポートや、恋愛以外での絡みとなっており、先のヒロインが恋をしないという所と合わせても、この売り方はちょっと違うのではないかという気もします。ではこの話、ちゃんと成立しているのかと言われると、ちゃんと成立しているのですよこれが。ヒロインが恋愛に目覚めない変わりに、相手役の花澤くんがどこまでも青春恋愛マンガらしく振る舞ってくれます。最初は女たらしで恋愛にも、部活にもまじめでなかった彼が、ヒロインの入部で、部活にも恋愛にも真剣に生きてみようと変化。だんだんと余裕がなくなり、純情になっていく姿が、本当にかわいらしいです。
 
 ヒロインの性格設定ゆえか、物語の進展に苦労したと思われる本作。そのせいか、最後は驚くほどサラッと終わります。少女マンガということを考えると、この終わらせ方は果たして大丈夫なのかと心配になるのですが、個人的にはこういう強引にまとめに入らない終わり方は好み。掲載誌の読者ニーズを考えると、決して人気は出なさそうですが、ある意味安心して見ていられるのは、正規でない読者層には逆にプラスになるのかもしれません。また弓道部という設定を蔑ろにせず、しっかりと物語に弓道の要素を落とし込んでいるのは、さすが。技術面ではなく、精神面・文化面からのアプローチというのも、ある意味親しみやすく良いですね。


【男性へのガイド】
→タイトルや表紙からくるイメージよりは、かなりアッサリ。男の子も純情でなかなか面白く、弓道要素もありで、それなりに読める作品になっているのではないでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→絶対に人気出ないと思うのですが、個人的には好感度高めでした。でもやっぱり人気は(
ry


作品DATA
■著者:北川夕夏
■出版社:講談社
■レーベル:KC別フレ
■掲載誌:別冊フレンド
■全1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「別冊フレンド」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。