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Tag [続刊レビュー] 2010.09.20
作品紹介はこちら→青桐ナツ「flat」
3巻レビュー→クソ真面目とクソ不真面目の極端すぎる対比《続刊レビュー》「flat」3巻



1102959165.jpg青桐ナツ「flat」(4)


だからなんつーか
あれだ
そらぁ
苦労もするわな



■4巻発売です。
 平和極まりない超マイペース高校生・平介。なのに、従弟の超忍耐幼児・秋に、超生真面目後輩・海藤と、なんだか平介とは異質の人間が周りに増えてきた。そんな中、秋は佐藤くんの弟のこたろーくんと大げんか。果たして仲直りの見込みはあるのか。一方海藤くんは、平介に恋をしていた長谷さんにやたらと会うようになっていて…。相変わらずで、でもちょっと変わっていく?ゆったりハートフルシリーズ、第4巻登場です。
 

~子供二人の喧嘩の様子が微笑ましい~
 4巻になったからといって、何か大きく変わるわけでもなく、少しだけ人間関係を広げながら、毎日は続いていきます。今回は、平介と秋くんという関係だけでなく、その周りでの関係に多くスポットが当てられた回となりました。その中でも最もチャーミングで、見ていてかわいらしいなぁと思えたのが、秋くんとこたろーくんの喧嘩。子供の喧嘩って、気がつけば取っ組み合いになってたりするイメージがあるのですが、秋くん相手だとこたろーくんも強くは出れず、なんだか捻れに捻れてどちらも動けず…という状況が作り出されていました。それでも子供同士だから、結構微笑ましく見ていられるんですよね。特に喧嘩が勃発したときの、二人の様子がとっても可愛らしかった…

flat4-1.jpg 
 どちらも上手いことデフォルメされて描かれているので、こういった感情が表に出るシーンでは、際立って可愛らしく映ります。お互い意地を張ってプンプンする様子も、その後の仲直りの過程も、どこまでも可愛らしい。あれ、これ平介いらないんじゃとか、一瞬思ってしまったお話でした。
 
 
~違うことを知り、受け入れること~
 そんな平介ですが、今回ちょっとした悟りを開き、秋くんとの関係に一つの答えを見出します。それが鈴木様からの一言がきっかけとなって生み出された…
 

flat4-2.jpg
いつもと勝手が違う相手なら
大変なのもあたりまえだって
それが妙にストンとはまってさ



 秋くんの期待が、何気にプレッシャーになっていた平介。けれども、そのことを、「違う相手だから」と構えることなく受け入れることで、少しだけ軽く。そういえば4巻では、平介に限らず、違う相手であるからこそ重荷になったり、すれ違ったりするという関係が、多く描かれていました。先の、秋くんとこたろーもそう。お互い相手に求めるもの、考えが違ったからこそ、生まれた喧嘩。また海藤の、平介に対する思いも、それと同じようなものなのかな、と。人間ですから、それぞれに考えというものがあって、お互いに相手に求めるものは違います。それを「違うから」と納得させて、そのことをしっかりと享受できる。鈴木、佐藤、平介の三人は、それが自然と出来ているように映ります。それに対し、秋とこたろーくん、また海藤の平介観は、それが享受できていないようなイメージ。「違うこと」をありのままに受け入れられれば良いものの、相手に期待する、自分の価値観に固執するがゆえに、争ってしまう。それでもいつしか、なにかきっかけを得て、変わる。それが秋とこたろーくんの場合は喧嘩で、海藤くんの場合は小百合さんだったのかなぁ、と。 
 
 てか、平介にも海藤くんにも気づきを与えてくれた鈴木様。本当にどこまでも鈴木様でしたねー。なんとなく影が薄くなりがちだった所で、どかんと決める。いやあ、カッコいいです。


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