このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2010.09.23
作品紹介はこちら→末次由紀「ちはやふる」
5巻レビュー→《気まぐれ続刊レビュー》末次由紀「ちはやふる」5巻
6巻レビュー→肉まんくんこと西田くんとは何なのか…《続刊レビュー》「ちはやふる」6巻
7巻レビュー→最後の壁は誰になるのか、というお話《続刊レビュー》「ちはやふる」7巻
8巻レビュー→我らが詩暢サマに異変!?:末次由紀「ちはやふる」8巻
9巻レビュー→みんなとするから、かるたは楽しい:末次由紀「ちはやふる」9巻
関連作品レビュー→「ハルコイ」「クーベルチュール」




1102959808.jpg末次由紀「ちはやふる」(10)


自分が一人じゃないことくらいわかってる
でも
一人でも強くなりたいんだ



■今年も幕を開けた全国高等学校かるた選手権大会東京都予選。千早たち瑞沢高校は、前回王者としての参加。クセのある新入部員たちを加え、思い新たに日本一を目指す。個人個人が力を磨き、また団体としても、一回り成長。その力を、初戦から見せつける。そんな瑞沢高校の前に立ちはだかるのは、復活を目指す伝統校、そして初出場に燃えるダークホース。並みいる強豪達に挑む、千早たちの思いとは。いよいよ始まる、全国大会都予選。節目の10巻、登場です!


~狙われる太一~
 今回苦戦が予想される対戦相手として描かれたのは、ダークホースの「朋鳴高校」と、強豪校の「北央学園」の2校。そしてそのどちらも、勝負のポイントを太一に置いてきました。これは偶然ではなく、団体戦としての性格を考えれば当然の流れ。A級の千早と肉まん君に対し、実力では劣る、駒野くんと大江さん。団体戦は5戦のうち3勝すればよいのですから、弱い順から3番目までに勝ち星の計算をするのが大切になってきます。そしてその3番目にいるのが、他でもない太一。組み合わせのアヤというものもあるのかもしれませんが、いつも団体の進退の鍵を握っているのは、彼ということになります。格下や、逆に圧倒的に力量差がある相手であれば、多少は楽かもしれませんが、実力が互角である相手の時のプレッシャーは相当なものであるはず。今回はそんな太一の成長を、見ることができてとっても満足でした。しかし大事なところでツイてないって、かませ犬の匂いがプンプンしますぜ…。


~太一の成長が持つ意味~
 さて、太一の成長というイベントは、作品の中でもひとつ大きな意味を持ってきます。彼が強豪相手でも勝ち星を計算できる存在になるということは、全国での団体戦での健闘も期待できるということ。前回大会でも、団体で出場していますが、そのときは千早がダウンしたことで、まともに戦うことなく姿を消しています。千早にとっては、個人での詩暢戦以上に、苦い思い出の残る舞台。物語を美しい形で進行させていく上で、団体戦での勝ち進みというのは、千早の個人戦での優勝などよりも、大きな意味を持っていると言っても過言ではありません。そして勝ち上がるためには、メンバーに、少なくとも3人、勝ちの期待出来る存在が欲しい。


ちはやふる10-1
実力派十分にある。あとはそれを活かし、「勝ち」に繋げられる存在になることが、課題となっていた。


 A級の2人は、その実力は折り紙付きですが、ここで太一が成長を見せたことで、さらに期待感は高まりました。今年の団体戦が、事実上の初挑戦。まともに戦っても、かなり良い結果が望めるのではないでしょうか。
 
 
~千早のお姉さんと詩暢サマ~
 そういえば今回、本編には登場しなくても、オマケ漫画などには常に登場していた、千早のお姉さん・ちとせが、ついにオマケ漫画から姿を消しました。何気に彼女、結構好きだったので、出てこなくて残念…なんて思っていたら、表紙の裏に…
 
 
ちはやふる10ー2
いたー!!!!
 
 お姉さん何やってるんですか。表紙の裏でも、しっかりとその存在を見せつけてくれたお姉さん。11巻では無事にページの中に登場してくれることを祈っています。そういえば詩暢サマも今回はオマケ漫画のみの登場でした。でもこの詩暢サマ、前回の大変身から元に戻っているように見えます。減量に成功したのですか!?それとも肉まん君との対比で、多少痩せているように見えているだけなのか、それとも隠れた下あごには豊満な肉があったりとか。何はともあれ、詩暢サマも11巻では本編登場を願っております。全国行ったらイヤでも登場してくるのでしょうが、11巻で全国へ…とはなかなか行かなそうですし。




■購入する→Amazon

カテゴリ「BE・LOVE」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

本当に、太一はかませ犬キャラの匂いがプンプンしますよね。。
10巻は、太一メインといっても過言ではないのに、表紙一緒に出てて、何気に新の方が前だし・・・。
この先、カルタも千早も新に持ってかれそうで、なんだか、太一が不憫で仕方がない。。
From: candy * 2010/09/23 20:12 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。

表紙の並びには、自分も笑いました。
やぱり太一後ろなのか、と(笑)

報われなくとも、それでも健気に頑張るのが、太一の魅力ですよね。
そして報われちゃったら、それはそれで太一でない気がして・・・というのは言いすぎですか(笑)
From: いづき * 2010/09/27 23:11 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。