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Tag [続刊レビュー] 2010.09.26
作品紹介はこちら→水城せとな「黒薔薇アリス」
3巻レビュー→アリスの見た景色と、水城先生の描く愛されキャラの話《続刊レビュー》「黒薔薇アリス」3巻



1102957771.jpg水城せとな「黒薔薇アリス」(4)


恋をして
本当に好きになった人を選べばいいと思うよ
きっと後悔しないよ



■4巻発売しました。
 レオの寿命は尽き、繁殖を巡る状況も、変化の時期を迎えていた。そんな中、アリスは大正時代の古い日記帳を発見する。そこに綴られていたのは、お屋敷の娘・彰子という少女による、ディミトリ達が日本に来てからの日々。彼らがどうしてここに住んでいるのか、そしてディミトリへの、彰子の想い…。それを読んだアリスは、ディミトリを今までとは異なる感覚で見つめるように。そんな中、レオの種を宿した鳴沢瞳子が、ディミトリ達の前に現れ…
 
 
~4巻発売です~
 4巻発売いたしました。4巻の殆どは、アリスが発掘した、彰子の日記に関する話がメインで描かれます。いつごろディミトリ達が日本に来たのか、どうしてお屋敷に住んでいるのか、そして日記を描く彰子とは何者なのか、そして明かされる、彼女の想いとは。日記ということで、終始彰子視点で、そして時折アリスの想いを挟みつつ、物語は進行していきました。物語を進めていく以上、この日記にくだりは外せないのだとは思いますが、どこかゆったりとした印象で、一休みという感覚が強かったです。この日記を読んだことで、アリスのディミトリに対する思いは一層複雑に。2人を隔てるものは、より大きくなっていきました。そんな中、レオの種を宿した鳴沢瞳子さんが登場。彼女の登場が、アリスの心を大きく動かしていきます。
 
 
~瞳子さんが残したもの~
 瞳子さんは、様々な方面で、アリスの心に変化を与えました。まずは、養分をもらうという過程からの、嫉妬心。それは、彰子の日記から感じた気持ちを、より具体的にしたような感情。しかし彼女の本当の働きは、その後でした。一緒にアリスたちと生活するようになると、良き相談相手に。そんな中、彼女がアリスに放つ一言が、物語の流れを大きく変えていきます。
 
 
恋をして
本当に好きになった人を選べばいいと思うよ
きっと後悔しないよ


 「本当に好きになった人」…それを探していくと、すでにアリス、いや梓には本当に好きになった相手がすでにいました。それが、教え子の光哉。そして、その言葉に導かれるかのように、ラストでは光哉が登場。これは物語が面白くなってきましたよ。
 
 ちなみに「本当に好きになった相手」という意味では、ディミトリもまた、アニエスカ以外にその相手はありえません。自分はすでにヴァンパイアとなり、またアリスも外見はアニエスカではあるものの、決してアニエスカではない。マクシミリアンも、レオも、再三にわたってディミトリに「繁殖をしてください」と告げているのは、心のどこかで繁殖をしないままその生涯を終わらせてしまうのではないかという危機感があったからなのかも。マクシミリアンも、レオも、本当に好きになった相手とではなく、繁殖という目的のために、相手を選びました。アリスもディミトリも、同じように彼らと同じ道を歩くことができるのか、それとも違う道を選ぶのか、目が離せんですね。


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