このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] [オススメ] 2010.09.26
1102958336.jpg車谷晴子「お子様ぱーんち!」


橘苺 小学4年生 春
初恋を
はじめました



■橘苺、10歳。ある日、苺のお家の隣に、かっこいいお兄さんが引っ越してきました。苺の一目惚れです。お姉ちゃんたちも、そのお兄さん・湯川諒司くんに興奮気味。早速翌朝、諒司くんと登校しようと思ったのだけど、間違えてお兄さんの弟で、コワモテの惣司くんに告白しちゃった。最初はしかめっ面の惣司くんに、おっかなびっくりだったけど、実は優しい彼の事が、少しずつ気になりはじめて…。小学生が、高校生に本気の恋しちゃダメですか?

 車谷晴子先生の、チーズでの連載は、おませな小学生の女の子が、コワモテの高校生の男の子に恋をしてしまうという、少女漫画らしからぬ一作でした。物語の主人公は、小学4年生の女の子・橘苺。ある日お隣に引っ越して来た、イケメンのお兄さんに一目惚れした苺は、翌朝早速彼に抱きつき一緒に学校に行ってもらおうとします。しかし抱きついた相手は、イケメンのお兄さん・諒司くんではなく、その弟でコワモテの惣司くん。それ以来、何故か彼と一緒に過ごすことが多くなった苺。最初はしかめっ面の彼に、怖がってばかりの苺でしたが、その奥にある心優しい一面を見る度に、彼が気になる存在に。そして気がつけば、彼女の初恋ははじまっていたのでした…。小学4年生に、高校1年生。歳の差を超えて、苺の想いは届くのか。あれこれと彼を振り向かそうと頑張る苺でしたが…というストーリー。


お子様ぱーんち1
ドーテーとかちゃんと意味知って言ってるのかしら。無邪気にこんなこと言ってくる小学生とか、どうですか?そしてクソ真面目な惣司くんは、真面目に対応。「子供だから」と蔑ろにしないから、このお話は成り立つ。


 見開きからいきなりブルマ姿の苺ちゃん。おませな性格で、お風呂に突入して「惣司くんの裸を見たかったんだもん」と言ったり、戸惑う惣司を見て抱きつき「惣司くんてドーテー?」などと聞いたり、途中でうさちゃんパンツがドーンと出て来たり(そこはイチゴぱんつじゃないのですか!?車谷先生!!)、スク水カットがあったり…えーと、設定からもわかると思うのですが、どう考えても萌え好きな男性読者を狙っております。もうあからさまな程に。あからさますぎて、紹介するのは気が引けるのですが、一応男性に向けてレビューをしているという体のウチのブログが、この作品を取りあげないわけにはいかないでしょう、と。というわけで、もう全力でご紹介しますですよ。

 おませな性格な苺に対し、惣司は見ためとは裏腹に、クソ真面目で心優しい性格の持ち主。何でもかんでも真面目にとってしまうため、年下の苺の一挙手一投足に振り回されっぱなしです。しかしそんな真面目さに、苺は心ときめくのでした。普段は甘え上手な苺が主導権を握るのですが、そこはまだ子供、肝心なところでヘマをしてしまったり、失敗してしまったり。しかしそんな時は、惣司くんが男らしいところを見せ、必死にカバーしたり、フォローしたり。噛み合っていないように見える2人ですが、実は結構バランスの良い、名パートナーなのかもしれません。あれこれと背伸びをして思い悩む苺もかわいらしいし、無邪気に惣司くんに甘える苺も可愛らしい。とにかくかわいらしい苺の様子に、終始ニヤニヤがとまりません。


お子様ぱーんち2
しゃがませてキス。まだ小学生で、言葉だけで自分の気持ちを伝えきる術を持っていない苺が、行動でその気持ちを表そうとするのは、ある意味では自然な流れ。しゃがませてもなお、背伸びをしているのは、彼女の背伸びした気持ちの現れでしょうか。


 おませな性格の小学生の女の子というと、例えば「こどものじかん」なんて作品がありますが、こちらはあの作品ほどあからさまにエロ狙いではなく、しっかりと少女漫画しています。エロシーンなども殆どなく、あったとしてもかわいらしいもの。どこまでもプラトニックで、年上の男の子に恋する、少女漫画的な小学生の恋物語をしっかりと体現しております。とだそれでも、設定が設定だけに、萌えシフトの少女漫画というよりは、萌え萌え漫画を少女漫画っぽく描いてみましたという印象は拭いきれず、少女漫画好きの女性陣からの受けはあまりよくないのかな、という想像もできたり。そもそも掲載誌は、10代後半が中心読者層で、ベツコミと少コミの流れを継ぐCheese!。中高生の主人公に、イケメンの相手役という設定が基本となります。そんな中、小学生の女の子とコワモテの男の子の恋物語とか、メイン読者だれも得しないだろ、と。ここ最近、ファンタジーに歴史物に、かなり自由な感じになっているCheese!なのですが、ここまでの作品はあまりないですよ。とにかく素晴らしいと言わざるを得ません。
 
 ちなみに車谷先生、ケータイコミックの方ではこんなエッチぃ作品を連載中。こちらはどう考えても女性向けエロで、その変わり身の見せ方はスゴいです。同時収録の読切りは、双方を足して二で割ったような展開で、掲載誌を考えるとこれくらいが丁度良いのかな、という感じ。個人的には、ツンデレだったりロリロリだったりする、記号的な萌えを喚起させるキャラが車谷先生の素敵なところだと思っているので、今回の表題作のような作品は願ってもみない一作であったわけで。とりあえず、普段少女漫画を読まないような男性に、全力でオススメでございます。女性には、どうだろう萌えを微笑ましく見ることが出来る方であれば良いのかな、と。
 

【男性へのガイド】
→全力でオススメです。どう考えてもこれは男性向け。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ウチがオススメしないで、どこがこの作品をおすすめするっていうんですか!(声を荒げて)男でも読める…というよりも、男のためのぐらい言っても良いのではという一作。これは色々な意味で注目の一作だと思います。


■作者他作品レビュー
車谷晴子「ぜんぶちょーだい」
*新作レビュー*車谷晴子「0から始めるまんが教室 」


作品DATA
■著者:車谷晴子
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!
■全1巻
■価格:400+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「Cheese!」コメント (6)トラックバック(0)TOP▲
コメント

で、 こどものじかん とどう違うのかな?
年齢?
From: ~名もなきお * 2010/09/29 09:45 * URL * [Edit] *  top↑
男性向けのこういう作品だとどっかのおばさんがキーキー騒ぐくせに、
少女マンガだと何も言わないなんて、世の中おかしいね
男女平等を訴えるなら、行き過ぎた少女漫画も規制しろって話だよ
私は絶対自分の娘にこんな下らない作品読ませない
From:   * 2010/09/29 14:14 * URL * [Edit] *  top↑
規制騒いでる層とこうした少女漫画を書いてる層・読んでる層は違うんだから、仲良くやろうよ。
お互い叩きあいしても利敵行為になるだけだよ。何もいいことがない。

それはさておき、こうした「おませな少女が年上の男性を好きになって積極的アタック」系は昔っからの伝統だよ。私は好きだね。少女がだいたい優位にあるんだよね。
From: ~名もなきお * 2010/09/29 23:32 * URL * [Edit] *  top↑
何だそうか昔ながらか、子供のじかんの方も同じにしか見えなくなってきた
From: ~名もなきお * 2010/09/30 15:20 * URL * [Edit] *  top↑
古くってーと、キャンディキャンディとかからかいな?
うん、確かにあの頃からそんな感じかも知れん

つーか、何なら時代を全部すっ飛ばせば
源氏物語もそうだな
From: ~名もなきお * 2010/10/03 04:02 * URL * [Edit] *  top↑
「お子様ぱーんち~」めちゃ好きです(^○^)
おねーちゃんのを読んで好きになりました(^^)v
苺すごくかわいいです(*^_^*)
From: ひび * 2011/11/14 06:59 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。