このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] [オススメ] [読み切り/短編] 2010.09.28
1102960193.jpg水野美波「青春トリッカーズ」


青春は
刺激&ラブである!!!



■会長になったらモテまくる…と思っていたはずが、仕事ばかりで全然モテやしない、そもそも生徒会には女子がいない!と、現状の生徒会に嫌気が差した生徒会長・瀬戸は、空き枠であった書記を、女子限定で募集する。見ための良い生徒会役員たちに惹かれ、多くの女子が集まるものの、遅れて来た一人の生徒の登場で、会場に集まった女子達は即座に退散。そこには、竹刀を背負った元ヤンの、小澤の姿があった…!元レディースのトップで、問題児の彼女が、なぜ生徒会に…?仕方がないので、もう一人残った女子と一緒に、生徒会にお試し採用をするのだが…!?

 水野美波先生の読切り集でございます。コミックスは二冊目ですが、全編オリジナルは初ということで、ご紹介。表題作シリーズ2篇に加え、読切り2篇を収録しております。それでは、表題作シリーズについて、まずはご紹介致しましょう。まずは第一話目、物語の主人公は、顔は良いけどとことんヘタレな生徒会長・瀬戸(表紙の子)。全然モテないし、楽しくないということで募集した、女子限定の書記に、何故か元ヤンで問題児扱いされている女子生徒・小澤が立候補してきて…というお話。扱いにくく、仕事もちゃんと出来ない小澤に、最初はビクビクしながら苛立ちを募らせていくも、不器用ながらも懸命に仕事をこなそうとする様子を見て、段々と彼女に対する心境に変化が…というストーリー。また第2話目は、甘いマスクと気配り上手っぷりで、女子の人気を集めている生徒会役員・葵くんと、そんな隙のない彼のオフショットを狙う、新聞部の女の子のお話。どちらも生徒会役員一人と、女の子一人を絡ませる、青春恋愛ものとなっております。


青春トリッカーズ
ポップに仕上げつつも、泣かせるところは泣かせる。魅せ方が上手いのか、スイスイと物語が入ってきます。


 別冊マーガレット系列なのですが、別マ独特のリアリティみたいなものはあまり感じず、どちらかというとオタク系の作品にありそうな、ノリ、絵柄、雰囲気をしています。イラストのような絵とでも言いましょうか、描線がハッキリしているというか、どこかデフォルメチックというか、ポップなデコレーションが多いというか…。基本的に明るいノリで、テンポ良く物語が進んでいくので、絵柄と雰囲気が実によくマッチしており、読みやすさは抜群。その中に、少女漫画らしい、瑞々しい十代の恋心・恋愛模様というものを落とし込み、後味良く仕上げてきています。深みはないけど、だからこそポップに楽しく物語を楽しむことができる。そんな印象を受けました。とりあえず、表紙から受けた印象は間違ってなかった、と。多分この作家さん、別マでなくオタク系青年誌とかでも、それなりに受け入れられる下地はあるのではないかと少し思ったり。
 
 表題作以外のよみきり2篇ですが、一つは天使と悪魔を現代風に描いたファンタジー作品で、もう一つは、先生の恋するヒロインと、そんな彼女にぞっこんラブな男の子を描いた、ドタバタ青春ラブコメ。前者は恋愛要素薄めで、楽しくファンタジーを描ききったような作品。後者は逆に、全力で恋心というものを描きましたというような作品。どちらも序盤はアホっぽいノリを見せつつも、最後にはギアチェンジして、シリアスに。このテンションの移り変わりが、表題作含めお見事。また男の子目線のお話があったり、相手役の男の子の多くで、弱い部分やヘタレな部分が描き出されていて、個人的に親しみを持って読み進めることが出来たというのもあるかもしれません。400円ながら、他の短編集に比べボリューミーというのも、おトク感を増長させている要因になっているのかも。とりあえず、オススメの一作ですよ、と。


【男性へのガイド】
→これは男性にも読みやすいと思います。学園恋愛ものが好きだという方は、どうぞ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→まとまりの良い、おトク感のある短編集。目を引く表紙を信じて買った甲斐がありました。オススメです。


作品DATA
■著者:水野美波
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:デラックスマーガレット等
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

これを見て、おもしろそうだなと思い買いました。
かなり、良かったです(*´д`*)

ありがとうございました!!
From: 美紀 * 2010/10/21 23:44 * URL * [Edit] *  top↑
ありがとうございました。
ご参考になったのでしたら幸いです。
From: いづき@管理人 * 2010/11/14 01:30 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。