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Tag [新作レビュー] 2010.10.12
1102975274.jpg李英有「SiESTA」(1)


家族って
そういうものだから…



■幼い頃に、両親と共に列車事故に巻き込まれ、唯一生き残ったディアは、親切な父の友人に引き取られ、家族として育てられてきた。ひとつ屋根の下で暮らすノエに、密かに恋心を抱いていたディアだったが、ある日親友のマリアから、「ノエとつき合うことになった」と衝撃の告白をされる。傷心のディアは、あてどもなく祭りで賑わう街中を歩いている中出逢ったのは、超最悪な性格で、S級の異能力を持つ少年・シド。後日、巨大企業の御曹司である彼のボディーガードを頼まれたディアは、育ててくれた親元を離れ、全寮制の名門・パルコ学園へと通うことになったのだが…!?
 
 物語の舞台となるのは、普通の人間と、異能力者が共存する世界。異能力者というのは、なにかしらの特殊な力を持っている人間のことで、瞬間移動やら電撃やら疾走やら、その種類は様々。その能力の強さ(=得てして普通の人間への影響力)によって等級分けされ、等級が高いほどに、日常生活での使用が制限されています。また人間によって、異能力者は忌み嫌われていたという過去があり、その遺恨は未だ残る形に。物語は、そんな異能力者の女の子・ディアが、密かに失恋をするところから始まります。幼くして両親を亡くした彼女は、父の友人に引き取られ、家族同然に育てられました。そんな彼女が想いを寄せていたのは、一緒に暮らすノエ。しかしある日、彼に恋人ができたことを知ってしまいます。傷心のまま街に出た彼女は、そこでS級の異能力者・シド(性格:傍若無人で子どもっぽい)と出くわし、一悶着。後日、彼が巨大企業の御曹司であることを彼の祖母から聞かされ、さらに彼のボディーガードとして一緒に学校に通って欲しいと頼まれます。最初は行く気のなかったディアですが、家族との関係を考慮し、結局承諾。全寮制の名門・パルコ学園へと入学します…。


シエスタ
異能力者としての力も持たず、また普通の家庭を持っていないこともコンプレックスとなっており、普段は非常に弱気。自分を責めるというか、そもそも期待すらしていないという精神状態にある。


 S級能力者のシドに、ボディーガードなんて普通なら必要ないはず。しかもディアは、疾走と跳躍という、最低ランクの異能力しか持ち合わせていません。それに対し、シドは電撃という最高ランクの能力の持ち主。普通であれば、隔離されて生活する程に、強烈な能力です。言ってみれば、普通のマリオとフラワーとったマリオくらい能力の差があるわけです。しかし、その裏には、シドの祖母のある企みが。実はディアには、何やら大きな秘密が秘められているらしいのです。その秘密については、これから明らかになっていくわけで、現状は、スタイリッシュな学園ファンタジーという枠に収まっての展開となっています。シエスタって、スペイン語でお昼寝みたいな意味だったと思うのですが、能力が眠っているから、みたいな安直な発想はだめですかそうですか。

 作者の名前は李英有さん。韓国の作品を、日本語訳して発刊された作品でございます。韓国ものとうと、ウチでも以前「シエル」(→レビュー)をご紹介しましたが、あちらのマンガは日本とは綴じが逆。左から右へと読み進めていくスタイルとなります。しかし絵柄は日本のそれと、なんら変わりないですね。ヒロインのディアは、非常にかわいらしい容姿をしていますし、ヒーローのシドも、オタク系雑誌のヒーロー然として、なかなかキマっています。序盤の説明不足は、読み手を絞ってしまう可能性があるものの、この手の掲載誌ではある意味スタンダードであり、絵柄も作風も、良くマッチしていると思われます。スケール感もビーズログならば丁度良し。テンポよく、クルクルと変わる場面はなかなか見応えがありますし、この輸入は賢いな、と感じさせられるのでした。って、この先生の日本語訳の作品、これだけじゃなくて、すでにあるみたいですね。「月曜日少年」という作品だそうです。これもまた、キャッチーな表紙です。


【男性へのガイド】
→ディアかわいいよ、ディア。なかなか可愛らしいキャラも登場しますし、オタク臭はするものの、ある程度読める内容にはなっていると思います。異能力とか、学園ファンタジーとか、そう言うの好きなら。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→読み方が逆という点以外は、スタンダードなジャンル誌向け学園ファンタジー。この手のレーベルの作品が好きだという方は、読んでみても損はないと思います。


作品DATA
■著者:李英有
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-LOG
■掲載誌:ビーズログ(連載中)
■既刊1巻
■価格:620円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「B's LOG」コメント (5)トラックバック(0)TOP▲
コメント

こんにちは。

コレは表紙が綺麗ですね-。

書店で平積みされてれば目を引くと思いますけど、このレーベルだと目立つところには置いてないかも・・・(この表紙なら視界に入れば食指が動くはずですが、まったく見覚えがないので・・・)。

ファンタジーは好きだし、レビュー見る限り、読んでみたいですね。

お薦め度はあまり高くないし、『この手のレーベルの作品が好きだという方』に当てはまらないのが気になるところですが(でも、びっけさんの『あめのちはれ』と同じレーベルか)。

「シエスタ」はスペイン語の昼寝ですけど、なんでこのタイトル?と思ったら、
>能力が眠っているから、みたいな安直な発想はだめですかそうですか
なるほどね-。





ところで、アジア系輸入物のファンタジーというと、先日、中国の夏達さんの作品を読みました(読んだばっかりだけどタイトル忘れ、少女マンガなのに日本ではなぜかウルトラジャンプに掲載されたみたいです)。
こちらは日本のマンガに合わせて左右反転させてあったみたいです。
内容は◎、こちらでレビューしても良さそうな内容でした。
From: しろくま * 2010/10/12 10:13 * URL * [Edit] *  top↑
買おうか迷っていたので、非常に参考になりました☆

あ、ちなみに、女ですけどw

有難うございます。また、ここ覗かせて頂きますw
From: リノ * 2010/10/14 20:44 * URL * [Edit] *  top↑
買おうか迷っていたので、非常に参考になりました☆

あ、ちなみに、女ですけどw

有難うございます。また、ここ覗かせて頂きますw
From: リノ * 2010/10/14 20:44 * URL * [Edit] *  top↑
こんにちは。

実物を手にとって見たら、意外と食指は動きませんでしたが(裏表紙がちょっとね・・・)、こちらで見た第一印象を信じて買ってみました。

効果音がハングル文字なんですね-。
吹き替えの映画で台詞は日本語なんだけど歌は外国語のままってのと似た感覚を覚えました。

それと・・・左右逆だと読みにくい(正しくは「持ちにくい」)・・・すぐ慣れましたけど。

読んでみると・・・これは、イイですね。
買ってよかった、続刊が今から楽しみです。
(レーベル的に続刊でても気づかなそうなので、2巻以降もこちらで取り上げてくれると嬉しいです)
レビューありがとうございました。
From: しろくま * 2010/10/14 23:28 * URL * [Edit] *  top↑
>りのさん
ありがとうございます。
拙いレビューたちですが、少しでも参考になったのでしたら幸いです!



>しろくまさん
アジアから輸入されるマンガって、絵がとにかく綺麗という作品が多い印象で、
この作品もまたそんな中の一つという感じでしょうか。
ストーリー展開にはそこまで惹かれるものはなかったのですが、
ヒロインの気の弱さとブラックな感情が個人的にツボで、
もしかしたら続刊買ってしまうかもしれません。

その時はレビュー致しますので、
あまりご期待なさらずにお待ちくださいませ。

From: いづき@管理人 * 2010/11/14 01:29 * URL * [Edit] *  top↑

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