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Tag [続刊レビュー] 2010.10.18
作品紹介→*新作レビュー*久米田夏緒「ボクラノキセキ」
2巻レビュー→ますます白熱!《続刊レビュー》 久米田夏緒「ボクラノキセキ」2巻
関連作品紹介→ニュースが繋ぐ、僕らの青春狂想曲:久米田夏緒「NEWS PARADE」


1102957856.jpg久米田夏緒「ボクラノキセキ」(3)


でもそうしたらだめなんだと
思うこの部分が
皆見晴澄だ



■3巻発売しました。
 王女・ベロニカであったという前世の記憶を持つ皆見晴澄と同じように、かつての記憶を取り戻しはじめたクラスメイトたち。しかし、前世での因縁に囚われた彼らは、現実世界と前世の世界を混同しはじめ、やがて混乱・争いをもたらし始める。そんな中迎えた、クラスマッチ。せめてこの時間だけはと、晴澄はクラスマッチに集中させようとするけれど…?息もつかせぬ第3巻、登場です。
 

~誰が誰だか…~
 2巻から爆発的に広がりを見せはじめた、前世の記憶を持つ生徒達。とりあえず、もはや誰が誰だかわからない…(´・ω・`) さすがにメインキャラやクセの強いキャラ、可愛らしい女の子たちは覚えられるのですが、基本的に残念でない「普通の男の子」にはサッパリ興味のない自分にとって、男キャラが増えていくのはしんどい…。いや、良いんですよ瀬々とか大友とか手嶋野とか、その辺は。でも巻頭のキャラクター表を見ても、「え、七浦って誰?てか目黒なんてヤツいた?」みたいな。新刊発売のペースが遅いこともそうなのですが、思っていた以上に広がりを見せる物語に、今までの歩様ではついていけなくなったということを強く実感させられているのでした。とりあえず西園さんかわいいですよね!
 
 
~考察とかしてみたいですよね…~
 考察のしがいがありそうな本作ですが、個人的にはそこまでの気力がないのでパス(すみません)。多分リンク先の誰かがやってくれるでしょう。さて、そんな中何を書こうかというと、やっぱり皆見は異質なんじゃなかろうかという、漠然とした自分の中での印象について。別に今まで彼のことを「異質だ」などと言ったわけではないのですが、巻を重ねるにつれて、自分の中ではその印象が強くなっていました。


~冷静に世界を見つめる皆見~
 前世に翻弄されるクラスメイト達と異なり、非常に冷静な視点で状況を捉えている彼は、ぱっと見非常に頼りがいのある、ある意味主人公然とした男の子に映ります。物語の世界を俯瞰で眺めるようなその視点・立ち位置は、読んでいて非常に心地よいですし、ヘンな暑苦しさがないところが、クールで良い。しかし、物語の世界からさらに離れて見てみたときに、彼の冷静さはなんとも変な感じがするのです。それは、突如として蘇った前世の記憶に翻弄されるクラスメイト達と比較した時に、特に。もちろん皆見は元々前世の記憶があり、その分今の状況を冷静に捉えることができるという考えもあります。でももし自分が皆見の立場にいたら、絶対に逆のベクトルがはたらくだろうなぁ、と。


~前世があるって、結構特別に感じるんじゃなかろうか~
 前世の記憶に支配され、現実世界に混乱をもたらすようになった生徒達が、皆見の視点からは「よからぬ存在」として映るわけですが、この生徒達の反応って、絶対に自然だと思うんですよ。その発露が3巻で特に顕著であったのが、矢沼なのですが、別に現世がつまらないと思っていなくても、前世ってやっぱり特別なのではないのかなぁ、と。この世の中、「輪廻転生」や「前世」なんてものを信じている人がどれだけいるかは知りませんが、「自分には前世があって、こんな存在で、今の世の中ではこんな使命を背負って生きている!」なんてトンデモないことを、なんの根拠もなく信じている人も少なからずいるわけで。そういう人たちに比べたら、彼らの置かれている状況は、多数での共通認識という現実味と、目的が明確という入れ込みやすさから、その思考を支配するには十分過ぎる状況とも言えるわけで。そりゃあそっちに傾くよなぁ、と。


ボクラノキセキ3
結構バカやろう的に描かれていた矢沼ですが、その気持ちはわからんでもないし、多分こう思う人間は結構いると思う。


 もし自分に前世があって、そこそこの身分で色々と強い想いがあったとしたら、そりゃあテンション上がってそっちメインの生活になりますよね?それこそ「自分はこのために生まれてきたんだ!」じゃないですが。それに対しての、皆見の冷静さ。確かに前世王女ですし、前世の記憶ずっとありましたし、色々と振る舞いを考えることができるのかもしれないですが、自分の記憶が正しいと証明されて(半ば自分の存在が証明されたようなもの)、しかも自分は一番の権力者であるという状況に、突き動かされない男などいようものか。不自然過ぎる転生状況の中、自分だけが前世王女で、しかも記憶は前からあったという特別感。これを敢えて抑えようとする彼は、やっぱり何だか変だなぁと。なんてそういえば彼、ベロニカの記憶を持っていたことはあっても、決してベロニカ自身になって行動したことってなかったような。周囲が一気に前世に飲み込まれていく中、自分がベロニカということを明かした時点で、皆見は「ベロニカの記憶を持つ皆見晴澄」ではなく、どこまでも「ベロニカ」として認識されてしまう、いわば自分が周囲の認識から消えてしまうということを、恐れているのかもしれませんね。いや、たぶん挙げだしたらキリがないのでしょうけど。そして、彼がベロニカとしてのスイッチが入った時点で、この物語は破綻を迎えてしまうのではないか、と思います。「前世の記憶を持つ」という視点だからこそ楽しいのであって、前世に支配された世界に、もはや面白みは何もありません。どこまでも、知らず知らずのうちに作品のために働いている、皆見なのでした。
 


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