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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2010.10.23
1102969071.jpg西炯子「ふわふわポリス」


では好きになった方がいいですよ
同じ職場に嫌いな人がいるとつまらないですから
そうでしょう?



■JR中央線、荻窪駅と阿佐ヶ谷駅の間にある、小さな駅・比留ケ谷。その駅前にある、平和でヒマな小さな交番に勤務するのは、熱血女性警察官・佐倉エリ。恋人もおらず、仕事にも今までのような情熱を見出せなくなりつつあり、色々と崖っぷち。そんなある日、新しく赴任してきた同僚は、22歳のなんとも頼りないふわふわな女の子。エリートとの前評判とは180°違うその同僚は、子どもみたいな見ためで、ちょっと…いや、かなり変わった性格の持ち主で…。凸凹女性警察官コンビが贈る、痛快ポリスアクションコメディー!!

 「娚の一生」(→レビュー)、「ひらひらひゅ~ん」(→レビュー)の西炯子先生の新作単行本でございます。西炯子フェアとやらで、4作同時刊行という固めうち。その中でも、なんとなく「大丈夫かな…?」という感じであって表紙とタイトルの本作でしたが、読んでみてビックリ。良い意味で完全に予想を裏切られましたよ。タイトル・表紙はまさに内容を体現しているのですが、多分皆さんが想像してる以上に良い出来。最近仕事で疲れていたのですが、いい具合に癒されました。なんて前置きが長くなりましたが、内容紹介に移りましょう。ヒロインは、表紙向かって左側の婦警さん。平和で小さな町の交番に勤務する、独り身28歳の崖っぷち女・佐倉エリは、日々失われていく仕事への情熱と、独り身への焦りに心を削られる毎日を送っていました。そんなところに、ある日赴任してきたのは、なんとも子どもっぽい見ためで、中身もかなりの変わり者という、倭漢道荒田井芙蓉子(やまとのあやのあたえあらたいふよこ)、22歳。そんな凸凹コンビが、平和な町で起こる、ちょっとした事件の数々を、マイペースに解決していくという、ポリスコメディでございます。


ふわふわポリス
ふわふわで頼りないですが、言う事は何かと理にかなっている。ただ理にかないすぎていて、取っつきにくかったり。空気読まないのが、その要因かと。「丁度良く」ができないんですよね。


 婦警もののマンガは数あれど、個人的には「逮捕しちゃうぞ」なんかが真っ先に思い浮かびますが、このお話の雰囲気が似ているのは、むしろ麻生みことの「そこをなんとか」(→レビュー)だったり。とりあえず、脱力しつつも面白いという感じです。ヒロインの佐倉エリは、ちょいと疲れめのだけども地は熱血な不器用独身女子。そんな彼女の相手となるのが、一切の常識は通用しないような、とことんマイペースでゴーイングマイウェイな倭漢道荒田井芙蓉子。別に性格が悪いとか、話が通じないとか、致命的な欠点はないのですが、なんとも異質である彼女は、存在しているだけでエリの目と気を引きます。やる気があるのかわからない、ふわふわな振る舞い。お昼はスイーツを食べて、恋愛には一切興味なし。唯一興味があるのは、記憶をすること。辞書から指名手配犯から、地図に至るまで、様々。でも変なところでもっともな事を言う。そんな芙蓉子も、一応先輩と良好な関係を築こうとするのですが、いかんせん不思議ちゃんであるため、空回り。なんとも噛み合わない、不思議な関係を築き上げていきます。ちなみに倭漢道荒田井芙蓉子とか、名字最後まで覚えられませんでした。でも覚えなくても全然OK。だってエリですら覚えてないですから。
 
 ふわふわポリスといいつつも、物語自体はそこまでふわふわしているというわけではなく、ちゃんと地に足ついたお話となっています。何か一貫性があるわけではないのですが、話ごとに起こる事件を通して、人情くさい温かなエピソードを交えつつ、笑いに変換する、その緩くも温かい雰囲気が、心地良し。ちょっと変なキャラ達が、「変」の一線を越えないでいられるのは、私達に通じる情けなさや弱さ、面白さをそれぞれが抱えているから。人間同士の繋がりや温かさ、優しさを描きつつも、それぞれに主体性みたいなものがない分、説教臭さは微塵もなし。だからこそ、気楽に、そして楽しく読めるのかな、という気がします。コメディとしての、話の転がし方も上手で、スイスイと読み進めることができます。最後は驚くほどサラッと終わるのですが、「娚の一生」みたいなトンデモ展開でないぶん、印象は良いですね。気がつけば前向きになっているエリと、どうにも情けない男達の、変化のしなさが、良き後味となって引いていきます。また芙蓉子を最後まで、わけのわからない存在として置いておいたのも良かった。わからないなりに、気がつけば連携とれていたりする様子は、なんだか非常に滑稽でありながら、とても微笑ましくもあり。とにかく、ふわふわに、ゆるゆるに、あたたかに癒された、楽しい一冊でした。


【男性へのガイド】
→コメディとして、なかなか面白いかと。何か大きなイベントがあるわけではないですが、その起伏のなさがまた良いかと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ちょっとした休みの間に、だらりと読む。そんな楽しみ方がオススメなコメディ。オススメでございます。


■作者他作品レビュー
西炯子「うすあじ」


作品DATA
■著者:西炯子
■出版社:小学館
■レーベル:sho-comiフラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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