
ユーたち
みんな
生き返りたいかー!?
■ふと目覚めたら、そこは知らない場所。周囲には知らない人々。不可解なことばかりで、混乱するのは、女子高生・凛をはじめとした、男女8人。一体誰が、何のために彼ら彼女らを集めたのか。戸惑う8人の前に現れたのは、人語を喋り“神”と名乗る謎の生物。その口から語られたのは、己の死と、生き残りならぬ、「生き返り」を賭けたラブゲームの開催だった。生き返りたければ、この8人の中でラブゲームに勝ち抜け…そう告げられた8人は…!?
きら先生の新連載です。「パティスリーMON」とかはまだ完結していないので、同時並行での連載ということになるんですかね。今度の新作は、生き返りを賭けた、8人の男女のラブゲーム。物語の主人公となるのは、クールな女子高生の凛。ふと目覚めたら、そこは知らない場所、知らない面々、そしてなんとも不可思議な空間。そこに居る面々も、どうやら今の状況をわかっていないようで、集まった8人は戸惑うばかり。そんな彼らの前に現れたのは、妙に高いテンションで煽ってくる、人語を操る謎の生物。そいつは自分のことを「神」だと名乗り、8人に君たちはすでに亡くなっているということを告げます。あまりに突拍子もない内容に、最初は全く信じない8人でしたが、凛を皮切りに、皆自分たちの死の瞬間を思い出していきます。そしてやっと信じはじめたその時、神はこんなことを8人に告げます。「生き返りたかったら、8人でラブゲームをして、勝ち抜け」。要は、この異空間で共同生活をしながら、最初に結ばれた二人が生き返れるということ。目的も、意味もわからないこのゲームに、突然投げ込まれた8人の運命は、果たして…というお話。

この手のゲームには欠かせない、(あえて)空気の読まない、参加者とテンションの異なる不気味な主催者。神ということで、都度その姿は変化する。テンション一定だから、どれでもちょいと不気味なのですが。
なんとも奇妙な設定の物語。単純にこの設定だけで、勝ちなのですが、上手い人が描くとなると、さらに期待できそうで俄然ワクワク感は高まります。単純にラブゲームを繰り広げるだけではなく、それぞれのキャラに様々な要素を持たせることで、物語はより複雑に姿を変えていきます。まずヒロインの凛は、自殺を経てこのゲームに参加することになりました。生き返りを賭けたこのゲームにおいて、生き返りたいという意思を持たない彼女は、ある意味異質な存在。また勝ち上がりの条件が、「二人くっつくこと」であり、それは生き返った後も関係が続くことになります。しかし参加者の中には、恋人や配偶者を持つ者も多く、生き返った後どうなるか(正確には、生き返ったあとどうなるか考えて苦悩するその様子)が楽しみとして出てきます。その他変わり種としては、言葉の通じない外国人や、大人気の芸能人などがおり、また素性の明かされないキャラなどもおり、これからの展開は様々予想されます。それを全て転がしきることができるのか、そこは作者の腕にかかってくるわけですが、きら先生なら大丈夫でしょう。
男女が共同生活をするとか、一緒に行動するとかいうのは、人気バラエティ番組の「あいのり」や、その他ドラマやマンガでも様々ありましたが、イメージとして近いのは、昔やっていた賞金を賭けてサバイバルをするというバラエティ番組「サバイバー」とか。一応賞金は欲しいんだけど、外国人ほどあからさまに狙うわけでなく、参加。みたいなテンションが、なんとも。とりあえず1巻は、現在の状況と、舞台作り、そして各キャラの情報出しという程度で、本格的に物語が転がってくるのは2巻以降かと思います。たぶんもう転がりだしているのだろうけど、設定が設定だけに、まだあまり実感がないというか。多分2~3巻もしたら慣れるのでしょう。とりあえず、期待しつつ2巻を待ちたいと思います。
【男性へのガイド】
→きら先生の作品は、男性も好きな方多い印象が。ラブゲームとか言ってますが、一応人間関係の延長線上としてのラブゲームであるので、地に足ついている印象(天国だから地に足とか言わんかもですが)。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→1巻では盛り上がりに欠けるも、たぶんこれから面白くなりそうなので。設定的にも一筋縄では行かなそうで、楽しみです。
■作者他作品レビュー
美しい手の持ち主は、癒すことのできない心の傷の持ち主だった:きら「心臓より高く」
作品DATA
■著者:きら
■出版社:集英社
■レーベル:クイーンズコミックスYOU
■掲載誌:YOU(連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
■購入する→Amazon