このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2010.10.31
1102969573.jpg中島つばさ「拝啓 伊達政宗様」(1)


上等です
どんな壁だって乗り越えてみせます!
全ては覚悟の上ですから!



■高校1年生の愛姫は、戦国時代の武将達に憧れるお嬢様。ある日、町で不良に絡まれた愛姫は、右目に眼帯、胸にロザリオをした男・羽柴に助けられる。その姿に伝説の武将・伊達政宗を重ねた愛姫は、それ以来羽柴のことが気になりっぱなし。放課後彼のことを追いかけては、心をときめかせているのだった。しかし彼は、周りに敵だらけの危険な番長。やがて巻き込まれるように、愛姫にも危険が迫って…!?

 歴史好きの女性は「歴女」なんていって、立派にカテゴライズされるようになってきましたが、この作品はそんな「歴女」な女子高生の物語。地元でも有数のお嬢様学校に通う愛姫は、戦国武将に憧れる、歴女な高校1年生。ある日町で不良に絡まれた彼女は、右目に眼帯をし、胸にロザリオをしている学ランの男の子・羽柴に助けられる。その姿に、伊達政宗を重ねた愛姫は、羽柴に一目惚れ。以来、積極的に彼の後を追いかけるようになります。一方的に好いてくる愛姫を、最初は嫌がっていた羽柴ですが、あまりの空気を読まない強引さに折れ、そこまで突き放すことはしなくなるように。しかしだからといって、彼の側に平穏を保ったまま居れるわけではありません。彼は地元でも有名な、番長的存在。喧嘩っ早いその性格も災いして、いつもトラブルに巻き込まれっぱなし。側に居る愛姫も、当然のようにそのトラブルに巻き込まれ、危険な目に遭うのですが…というようなお話。


拝啓伊達政宗様
毎回空から降ってくる元気っぷり。敬語デフォで、「彼女」ではなく「正室」「側室」みたいな言い回し。「キス」ではなく、「接吻」。愛されるではなく、「寵愛」です。とりあえず、空気読めなくて鬱陶しい時もありますが、基本かわいらしいヒロインです。お嬢様という設定だからこそ、このキャラも成り立つわけで、上手いですね。


 これマーガレットかと思ったら、レーベル的には別冊マーガレットになるのですね。積極的で、若干空気の読めない天然系お嬢様と、見ため・行動はステレオタイプな不良の、純情系な男の子という組み合わせの、異色ラブコメ。ヒロインが空気読めないというか、キャラガ立ちすぎていて感情移入しづらいのではないかという感じは、同じマーガレットの「お嬢様はお嫁様」(→レビュー)のヒロインを彷彿とさせます。そういえばあちらも、お嬢様設定でしたね。そもそもお嬢様という設定からして、環境的な感情移入の余地を減らしてしまっていることから、そもそもそういう視点で展開させようとは思っていないのかもしれません。あくまで自由に動き回る、自由闊達なヒロインと、そんな彼女に振り回されつつも惹かれていく、そんな二人を第三者的に楽しむという。また人物設定のみならず、物語展開も豪快というか、フィクション色を強く打ち出した、マーガレットっぽい系統。だからこそ逆に、このキャラこの設定を、無理なく受け入れられて、素直に楽しむことができるのだと思います。
 
 ヒロインが天然系で積極的であり、またヒーローも番長格で喧嘩っ早いということから、かなり物語は動きます。クルクルと渡っていくストーリーの中を、軽快に翔けていく二人の姿は、見ていてとても気持ちが良く、面白さやトキメキといったところよりも、爽快さが先立つ読感でした。二人の関係は、ほぼほぼ完成。しかし本当の意味での歩み寄りはまだまだで、そこからどう展開させていこうかという感じになっていきそうです。とりあえず、どちらも「普通」からはかなり外れてしまった、変な人たち。けれども変で不器用だからこそ、好相性。もしどちらかが普通の感性を持った子ならば、イライラを溜め込み関係は続かないことが容易に想像できます。だからこそ、「この二人じゃないと」「この二人だから良いよね」という感覚を享受でき、良い気持ちになれるのですよ。これから先、イザコザに巻き込まれて…というパターンが定型化していきそうで、巻が重なるとマンネリ化していきそうなきらいもありますが、そこまでダラダラと延ばすということもないでしょう。オフビート感溢れる、とても楽しい作品でした。


【男性へのガイド】
→これは男性でも結構楽しめるのではないでしょうか。ヒロインはかわいらしく、男の子のステレオタイプな不良感に耐えられさえすれば。とりあえず不器用なのだと寛大な心で見つめましょう。ほら、かわいく見えてきた。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→どれだけ続くのかわからないのと、読切り収録で十分に読めなかったということで、このくらいで。とりあえず2巻は買おうかな、と思います。


作品DATA
■著者:中島つばさ
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレット
■掲載誌:ザマーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (1)トラックバック(0)TOP▲
コメント

私も1巻持ってます!
けど2巻はどこに売ってあるかわかんないです。
私も伊達様大好きです♪
From: 空 * 2012/05/13 11:41 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。