このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2010.10.31
作品紹介→*新作レビュー*やまもり三香「シュガーズ」
2巻レビュー→オムニバス少女漫画の可能性を、そのキャラ配置に見た《続刊レビュー》「シュガーズ」2巻
3巻レビュー→ひとつの恋を、異なる視点・異なる時間で見る《続刊レビュー》やまもり三香「シュガーズ」3巻
4巻レビュー→男の子のひざまくらに顔を赤らめる女の子って最高じゃないですか:やまもり三香「シュガーズ」4巻



1102969567.jpgやまもり三香「シュガーズ」(5)


たいして好きじゃないキャラメルクランチを
毎日持って行ったのは桜と話すためで



■5巻発売です。
 新しい関係、芽生える感情、移ろう想い。。。日々その形を変えていく、人それぞれの恋を、甘味を添えて、あなたにお届け。時に甘くて、時に苦い、恋のオムニバス集、第5巻の登場です。


~まさかここまで続くとは~
 1巻が発売された時はここまで続くなんて想像してませんでした。5巻の発売でございます。登場人物もさすがに多くなり、「誰だっけこれ?」現象が多発するようになってきましたが、基本的には1話のみ単発でも楽しめるように作られているので、そこまで苦にはなりません。ただやっぱり、ある程度前後関係を把握していた方が、より楽しめるのかな、という気はします。さて、広がりを見せつづける一方で、終わりも見えなくなっていたのですが、やまもり先生から「ラストスパート」という言葉が。物語は文化祭の季節。ここで一つ二つキセキを起こし、気持ち良いまとめとなるのでしょうか。さてさて、ラストを飾るのは、一体誰なのか、俄然気になるところです。


~甘みのない物語~
 5巻は今までとはちょっと違い、苦みのみで構成されたお話がありました。1話目に収録されていた、「クリリンの憂鬱」。主人公は、SWEET18で登場したヤンキー岡野くんの仲良し、栗林くん。彼が想うのは、SWEET12のヒロインであった、三島桜ちゃんです。彼女に告白をするもフラレてしまった彼は、以来どうにも彼女とギクシャクした関係が続いていました。そんな状態を気まずく思っている彼の、その後の彼女との対峙を描いたのが、こちらなのですが、とにかく動きが乏しいのです。何か大きなときめきがあるわけではなく、また新たな可能性が生まれる感じでもない。ただ彼女のことを引きづり、改めて振り向いてくれないことを実感させられてもなお、諦めることができないという、哀しい姿が描かれているだけでした。ただ個人的に、その様子がどこまでも切なく心に残りました。毎朝学校に持っていくキャラメルクランチは、自分が食べたいわけではなく、大好きな彼女にあげるため。実に回りくどく、そして彼の純情っぷりが伝わってくるエピソードです。結局2度目の告白をして、そのまま逃げてきてしまう彼なのですが、諦めたということではなく、決意の告白。「あいつにとってオレにしかなれないものになる」と決意するなど、なかなか男らしく、そしてどこか諦めの悪い一面を見せてくれました。


シュガーズ
オレが頑張ればいいんだし
彼女に言っているとも、自分に言っているとも取れるその言葉。


物語はそれで終了。大きなオチもなく、ただ切なさと余韻を残して幕を閉じたこのお話ですが、後々思わぬ形で続きを知ることになります。それが、先に書いた文化祭。あー、やっぱりこの話は「シュガーズ」なんだなぁ、と思わされたお話でした。


~情けない男たち~
 元々このお話は、男の子が情けない感じ・弱さを出す印象があるのですが、5巻はそれが特に顕著であったように感じました。1話目の「クリリンの憂鬱」の栗林くんも、なんとなく弱さが出ていましたし、2話目「マチュドニアランデブー」の紺野も、恋愛シミュレーションゲームで予習してくるとかいうちょっとカッコ悪いところを見せていましたし。その中でも特にヒドかったのが、「sweetest goodbye」の小豆原。いやぁ、ここまで情けない男の子を主人公に据えるかと、驚きました。瑠璃ちゃんが救ってくれたから良いけども、少しぐらいはカッコいいとこ見せて欲しいなぁ、なんて思ったのでした。だって腐っても、少女漫画のヒーローなんですから。ねぇ?
 

■購入する→Amazon

カテゴリ「マーガレット」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。