作品紹介→かわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」
3巻レビュー→ちょっとアヴァルスにシフトした?《続刊レビュー》「暁の闇」3巻
4巻レビュー→手堅く面白いこの作品を改めてオススメしてみよう:かわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」
かわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」(5) 
「龍の宮にある強い力とは何だっ!」
「天意」
■5巻発売、完結しました。
龍の宮が再び宮中へと戻って以来、立て続けに起こる変事。これらは、先々訪れるであろう厄災の数々の前触れ。そしてついには、御鏡が賢処より突如消滅。太陽は君主の象徴にして、これを侵す蝕は国が滅ぶ前触れ。そこで依亨は、以前行った調伏ではなく御霊会を行うことを提案する。刻一刻と迫る、運命の日。それは龍の宮と依亨、双方の封じられた過去も明らかにし…
~綺麗に纏まって終わり~
ついに完結してしまいました。長かったような、短かったような、全5巻。そこまで壮大とはいえないものの、ギュッと濃密に、そしてコンパクトにまとめあげたラストでした。これこそ原作付きの良さでもあり、素直な満足感が読後に満たされました。今回は、作品構成的にみるとまとめ、すなわち伏線の回収がメインとなっていきます。それがまぁ、綺麗に回収しきったのですよ。もうこれ別にぶん投げてても気づかなかったんじゃない?ってものまで。
~美味しいとこ取りの右記左記~
さて、5巻で一番活躍したのは誰かというと、多分依亨ではあるかと思うのですが、個人的には右記左記を推したいところ。初登場時は、どう考えても敵中の敵、下手したらラスボスの右腕になるんじゃないかってくらいに怪しげな雰囲気を漂わせていた彼ら。最後まで彼らは彼ららしく振る舞うのだろうな、と思っていたら、まさかの懐柔。龍の宮に協力し、最後には依亨に取り憑いた力を封印するという、素晴らしい役回りを果たしました。しかし龍の宮の元へ説明に行く際の扱いが微妙で面白かったです。依亨には…
などとだいぶ失礼なポイントで納得され、二人のイメージ相当悪かったんだな、と再認識。いや、間違いなく私もそう思っていたわけですが。例えば直後に龍の宮に談判をした際、なぜ協力するのかと問われた彼らは…

我らが術師としての
一片の誇りによるものでございます
と答えるのですが、説得力ないなぁ~、と(笑)こういう怪しげなキャラって、真面目なこと言ってもうさんくさくて説得力ないんですよね。例え真顔だとしても、何か裏があるんじゃないかって。これをすんなり信じてしまう、龍の宮、果たして彼らの真意が見えていたのか、はたまたただのお人好しだったのか、真相は闇の中ですが、これが結果的にプラスに働いたのは紛れもない事実。龍の宮様、グッジョブでした。
さて、そんなこんなで色々とよい働きをした右記左記でしたが、彼らの貢献はこれだけではありませんでした。龍の宮が宮中を追われた事件、その真相を彼らは知っていた、いや彼ら自身が当事者であったのです。それまでお前らだったんかい!と思わず突っ込んでしまいましたが、これでまた一つ明らかになっていなかった真実の回収が。そして更に明らかになる、右大臣の腐った生態。この右大臣という人は、どこまでも悪役を貫きましたね。彼があそこまで龍の宮の宮中復帰を阻止したかった理由、なんていうかカッコわるいです。とはいえ早い段階でああやって龍の宮を罠に陥れようとしたというあたり、主上としての器を持っていて、同時に懐柔は無理と、早々気づけたということで、人の能力を見る力には長けていたのかもしれません。それ以上に私欲が強すぎたわけですが。
~依亨と無白~
さて、そして今回は、依亨の過去と無白出生の秘密までも明らかになりました。改めてそのことを知ると、序盤に依亨が全く能力を持っていなかったことも納得です。そして無白誕生の秘密を知って、ビックリ。無白という名前は、依亨を文字通り、「無」「白」の状態に戻して欲しいなんていう願いが、さりげなく込められていたのかもしれません。
伏線だけでなく、その人がどうしてそうなったのか、そこまでしっかりと物語中で解決してしまう、その練り込まれた設定に惚れ惚れ。いやぁ、最後まで地味でしたが、安定して面白かったです。あまり話題になることのない作品ではありましたが、これは読んで欲しい一作。最後まで、ありがとうございました!
■購入する→Amazon
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4巻レビュー→手堅く面白いこの作品を改めてオススメしてみよう:かわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」

「龍の宮にある強い力とは何だっ!」
「天意」
■5巻発売、完結しました。
龍の宮が再び宮中へと戻って以来、立て続けに起こる変事。これらは、先々訪れるであろう厄災の数々の前触れ。そしてついには、御鏡が賢処より突如消滅。太陽は君主の象徴にして、これを侵す蝕は国が滅ぶ前触れ。そこで依亨は、以前行った調伏ではなく御霊会を行うことを提案する。刻一刻と迫る、運命の日。それは龍の宮と依亨、双方の封じられた過去も明らかにし…
~綺麗に纏まって終わり~
ついに完結してしまいました。長かったような、短かったような、全5巻。そこまで壮大とはいえないものの、ギュッと濃密に、そしてコンパクトにまとめあげたラストでした。これこそ原作付きの良さでもあり、素直な満足感が読後に満たされました。今回は、作品構成的にみるとまとめ、すなわち伏線の回収がメインとなっていきます。それがまぁ、綺麗に回収しきったのですよ。もうこれ別にぶん投げてても気づかなかったんじゃない?ってものまで。
~美味しいとこ取りの右記左記~
さて、5巻で一番活躍したのは誰かというと、多分依亨ではあるかと思うのですが、個人的には右記左記を推したいところ。初登場時は、どう考えても敵中の敵、下手したらラスボスの右腕になるんじゃないかってくらいに怪しげな雰囲気を漂わせていた彼ら。最後まで彼らは彼ららしく振る舞うのだろうな、と思っていたら、まさかの懐柔。龍の宮に協力し、最後には依亨に取り憑いた力を封印するという、素晴らしい役回りを果たしました。しかし龍の宮の元へ説明に行く際の扱いが微妙で面白かったです。依亨には…
いつもの薄ら笑いが
消えている…
消えている…
などとだいぶ失礼なポイントで納得され、二人のイメージ相当悪かったんだな、と再認識。いや、間違いなく私もそう思っていたわけですが。例えば直後に龍の宮に談判をした際、なぜ協力するのかと問われた彼らは…

我らが術師としての
一片の誇りによるものでございます
と答えるのですが、説得力ないなぁ~、と(笑)こういう怪しげなキャラって、真面目なこと言ってもうさんくさくて説得力ないんですよね。例え真顔だとしても、何か裏があるんじゃないかって。これをすんなり信じてしまう、龍の宮、果たして彼らの真意が見えていたのか、はたまたただのお人好しだったのか、真相は闇の中ですが、これが結果的にプラスに働いたのは紛れもない事実。龍の宮様、グッジョブでした。
さて、そんなこんなで色々とよい働きをした右記左記でしたが、彼らの貢献はこれだけではありませんでした。龍の宮が宮中を追われた事件、その真相を彼らは知っていた、いや彼ら自身が当事者であったのです。それまでお前らだったんかい!と思わず突っ込んでしまいましたが、これでまた一つ明らかになっていなかった真実の回収が。そして更に明らかになる、右大臣の腐った生態。この右大臣という人は、どこまでも悪役を貫きましたね。彼があそこまで龍の宮の宮中復帰を阻止したかった理由、なんていうかカッコわるいです。とはいえ早い段階でああやって龍の宮を罠に陥れようとしたというあたり、主上としての器を持っていて、同時に懐柔は無理と、早々気づけたということで、人の能力を見る力には長けていたのかもしれません。それ以上に私欲が強すぎたわけですが。
~依亨と無白~
さて、そして今回は、依亨の過去と無白出生の秘密までも明らかになりました。改めてそのことを知ると、序盤に依亨が全く能力を持っていなかったことも納得です。そして無白誕生の秘密を知って、ビックリ。無白という名前は、依亨を文字通り、「無」「白」の状態に戻して欲しいなんていう願いが、さりげなく込められていたのかもしれません。
伏線だけでなく、その人がどうしてそうなったのか、そこまでしっかりと物語中で解決してしまう、その練り込まれた設定に惚れ惚れ。いやぁ、最後まで地味でしたが、安定して面白かったです。あまり話題になることのない作品ではありましたが、これは読んで欲しい一作。最後まで、ありがとうございました!
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