このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2010.11.29
1102993247.jpg猫西めぐ「キラキラ・ソーダ・チョコレート」(1)


泣くなって言ったり
泣けって言ったり
……でも
心が
軽くなった



■今日から高校一年生。体が大きく腕っ節は強いけど、気弱なあまねは、入学早々、大事にしている傘を乱暴に扱った男子生徒を背負い投げてしまう。その光景を見て、同じ新入生の男子・恵は思わず「怖ぇー」の一言。それを聞いて、恥ずかしさと怒りにその場を逃げ出してしまうあまねだったけど、教室に戻りづらくなったあまねを迎えに来てくれたのは、その恵で…。そんな二人の周りに集まる、クセのあるクラスメイト達。期待と不安に胸膨らませ、一歩踏み出す新生活は、波乱の幕開け…!?

 猫西めぐ先生が描く、個性派揃いの凸凹ドタバタスクールライフでございます。高校入学初日、新入生の恵は、絡んで来た男の子をド派手に背負い投げする女子を目にします。その様子を見て思わず「怖ぇー」の一言を発してしまうのですが、それを聞いてその女の子は大ショックな表情。とりあえず教室に向かうと、教室内は背負い投げ女子の話題で持ち切り。背負い投げをしたのは彼女だけど、泣かせてしまったのは自分。教室に戻りにくそうにしている彼女の元へ、恵は向かい手を差し延べます。以来仲良くなった、恵とその子・あまね。そしてそんな二人の周りに気がつけば集まる、個性派の生徒達。今日から始まる高校生活は、想像以上に慌ただしくて、キラキラしていて、そして楽しい!というようなスタートとなっております。


キラキラ・ソーダ・チョコレート
一人の男の子から広がる、友達の輪。一人一人では、決して繋がることがなかったかもしれない、そんな関係を作り出す、不思議な男の子です。

 
 学園ドタバタストーリーということで、明確な目的地があるわけではありません。小さいけれど男気のある男の子と、大きくて強いけれど気弱な女の子の二人を中心に広がる、キラキラな青春デイズを描いていくというもの。メイン二人の他に出てくるキャラは…体がデカく中学時代悪い先輩とつるんでいたために、怖いやつというレッテルを貼られてしまっているカロ。ぶっきらぼうな言い様でオトコっぽいけど、内面はとっても乙女なイチゴ。恵の幼なじみで、女好きでドMなケイタ。そして恵の双子の弟で、王子様属性の歩。見ためも中身もとっても個性的、けれども共通しているのは、どこまでもピュアだということ。だからこそ、真っ直ぐに不器用にしか対峙できず、ときにぶつかり合ってしまうことも。そんな関係を越えて、待っているのは新たな関係。とにかくアップテンポではちゃめちゃな毎日です。

 明確な目的地がないと先に書きましたが、一応軸となるものはあって、それがあまねの大切にしている、傘の持ち主を探すこと。小さい頃、落ち込んでいたあまねに、優しく傘と温かい言葉を差し延べてくれた、同い年くらいの男の子。顔ははっきりとは覚えていないものの、感覚は覚えている。恐らく登場人物のなかに、その彼がいると思われるのですが…この辺は2巻以降に明らかになりそうです。
 
 ここでイメージとしてこの作品の名前を出すのは適切でないのかもしれないですが、なんとなく「君に届け」(→レビュー)っぽさがあるような。それも、恋愛フェーズを置いておいて、友情フェーズを濃密にしてみました…みたいな。ヒロインのあまねは、風貌もさることながら、気弱でピュアホワイツなところが爽子を彷彿とさせ、また友達の女の子・イチゴはちづとあやねの気質を受け継いだようなキャラで、あまねとの相性もグッド。寡黙なかろは、龍に見えなくもない…ってのはさすがに無理矢理?けれども、人付き合いを基本苦手とする人間達が、どこまでも物事を真っ直ぐに捉える一人の少年の登場によって、繋がり合いが発生し、やがて醸成されていくという関係性は、「君に届け」における風早くんと周囲の人間との関係を彷彿とさせるものがあります。それを、もっとジャンル誌にシフトさせたキャラで構成させてみました。。。というような印象。とにかく真っ直ぐに相手と向き合う姿勢は、どこまでも好印象。友情ものがお好きな方は、是非とも手に取ってみてください。
 

【男性へのガイド】
→これといって読むのを邪魔するような要素はないと思いますが、かといって何か売りとなるものがあるかと言われると、それはそれで。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→どんな話なのかと思っていたら、こんなに真っ直ぐな青春をしてるとは…!ただジャンル誌シフトでそれが伝わりにくくなっているってだけで。


作品DATA
■著者:猫西めぐ
■出版社:アスキー・メディアワークス
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ(連載中)
■既刊1巻
■価格:580円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「シルフ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。