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Tag [新作レビュー] 2010.12.19
1102980040.jpg八田鮎子「ぐるぐるめぐる」


バカ2人!!


■木ノ崎めぐるは今日から高校1年生。でも初恋どころか、男子は兄の智也以外に接触したことのない、純粋培養ガール。その背景には、超シスコンの兄智也による、鉄壁のガードがあった。そんなピュアなめぐるに、同じクラスの有馬はある日突然の一目惚れ。果敢にアタックするけれど、そこには智也が大きく立ちはだかる。シスコン兄貴と押せ押せBOYの間で、めぐるの青春はぐるぐる回り始めた…!?

 八田鮎子先生の新作でございます。人を好きになるどころか、恋をするという概念を持たないヒロイン・めぐるが、ひょんなことから彼女に惚れてしまった積極男子・有馬のアタックを受け、段々と変化していく…というお話。単純に、天然女子と積極男子だけならば、よくある組み合わせ。しかしこのお話のポイントは、超ドシスコンの兄貴がいるということ。ヒロインのめぐるが、恋を知らずに育ってきたのは、他でもない、この兄貴のせい。親代わりにめぐるを育ててきた彼は、自分がめぐるを守らなくては!という想いが強過ぎるがために、過保護すぎる過保護でめぐるを育成。結果全く外界を知らないような、超天然系の女の子ができあがってしまったのでした。そんな所に現れた、積極アタックをしてくる男子。そりゃあもう白熱のバトルが繰り広げられるわけで…


ぐるぐるめぐる
二人のバトルが一つの見所。シスコンって素敵だと思うんです。そんな私もシスコンの気はあると思うのですが。。。


 過保護が過ぎた結果出来上がったのは、天然培養女子。特に男子に拒否感を示すということもなく、単純に幼稚園児を大きくしましたみたいな感じの女の子。ハウスで無農薬で育った野菜という感じで、兄貴は農家、そして相手役の有馬はさながら害虫という感じでしょうか。当然のことながら、兄は殺す勢いで有馬を追い払おうとするのですが、それにもめげない有馬。最初は恋がなんなのかわからないヒロインも、男ふたりがそれだけ必死になるのなら、何かあるのだろうと、興味を持ち、段々と変化を見せていきます。それでも足並みは揃わず、どこか噛み合ないやりとり。だからこそ、少しだけ見えた変化が、有馬に取ってはとっても嬉しく、逆に兄にとってはとっても哀しい。そんな賑やかなやりとりが楽しい一作となっております。
 
 ヒロインを筆頭として、普通の人間が一切いない不思議なキャラ集団。元凶は兄。一見明るさと賑やかさに溢れる物語に見せて、兄が背負う悲しみというのは結構大きなものであるように思います。妹を育てることは、半ば彼の半生そのものでもあるわけで、そんな妹が手を離れて見知らぬ男のものになるなんて、そりゃあ耐えられないですよ。この作品を、完璧にハッピーな作品にするためには、この兄をいかにして救ってあげるかという部分が重要になってくるのですが、その辺もしっかりと回収してくれました。みんなが最終的に幸せになれる幸せに溢れた物語。こういう作品は、読んでいて元気になれるので良いですね。


【男性へのガイド】
→ズレたヒロインをかわいいと思うか、どうか。男キャラに関して言えば、有馬は男性に好かれる系の男キャラではないかと思いますが、悲しみ背負う変態兄貴に共感の余地ありか。不思議系少女漫画は、男女問わず読み手を選ぶ気がしますけれど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→読んでいて元気になれる、幸せいっぱいな作品。親心的に安心できる作品でございました。


■作者他作品レビュー


作品DATA
■著者:八田鮎子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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