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Tag [新作レビュー] 2010.12.20
1102992431.jpgみづき水脈/石田衣良「はぴナビ!」(1)


わたしのいいとこって
どこだろう?



■マスコミを志望して就活をスタートさせた千晴。就活セミナー「マスコミ勉強会」の選考も突破して、テレビ局のインターンシップも体験し、就活は上々の滑り出し!に見えたけど、活動を続ければ続けるほどに、見えなくなってくる、自分のアピールポイントと志望動機…。それでも自分の将来一生懸命考えて、合唱サークルやマス勉の仲間と一緒に、就活だけじゃない、恋も人生もハッピーになれるよう、頑張ります!!

 原作付きで連載する、みずき水脈先生の同シリーズも、何巻目でしょうか。今回の原作担当は、「池袋ウエストゲートパーク」などでおなじみの石田衣良先生。原作の小説は「シューカツ!!」というタイトルだそうです。とある大学の文学部・水越千晴は、マスコミ志望の大学3年生。来る就活の本格到来を前に、マスコミ志望でセミナー参加するなど、早速活動を開始。まずは手始めに、セミナーの「マスコミ勉強会」に参加し、選考を突破。さらにはテレビ局のインターンシップにも参加。セミナーを通して、新しく友達もできた。まずは上々のスタートをきったけれど…というはじまり。


はぴナビ!
文学部ということで、マスコミ志望。しかしそれは狭き門。就活という枠で見れば、文学部生はかなり不利な立場にいる。


 大学は多分私立大学で、レベル的にはMARCHとかその辺なのかな、というイメージ。マスコミ勉強会なんてセミナーを学内で開講してたりするってことで、就活には結構な力のいれようだと思われます。自分は国立大学出身なのですが、就活セミナーが気休め程度にあった程度で、マスコミ対策なんて皆無でしたよ、はい。そんな大学の文学部に所属する、3年生のヒロイン・千晴。同じサークルで過去にフラれた先輩を恨む形でマスコミ志望したという、なかなか捻曲がった動機をお持ちの彼女は、いわゆる典型的な就活生。志望理由も曖昧で、自分のアピールポイントもそこまで見出せていない。そもそも就活していくための心構えも、そこまであるわけではない。そんな彼女が、就活を通して出会った仲間や、サークルの仲間と、就職戦線を戦っていく中で、成長を見せていくというストーリー。
 
 就活マンガと言えば、「ドラゴン桜」と同じ作者さんが描いている「銀のアンカー」なんて作品がありますが、あちらがかなりノウハウにこだわっているのに対し、こちらはあくまで就活の風景を描いていくというコンセプト。考え方や心構えといった部分でのフォローは入りますが、基本的にテクニック的な描写はナシ。比較的コミュニケーション力のあるヒロインが、就活を通して揉まれていく様子を、明るく面白く描いていくので、参考にはなるのかよくわからないですねー。デザート読者にどれだけ就活生がいるのかはわかりませんが、関係ない人も楽しめるような新設設計。長く就活から遠ざかっている人は、インターンシップとかセミナーとか、いわゆる「就活」ではない「シューカツ」の様子に驚くかもしれませんね。そんな現代のシューカツ事情を覗いてみたいという方、ひとついかがでしょう。


【男性へのガイド】
→意外とすんなり進む就活の様子に、手応えのなさを感じる男子もいるかも。基本的に緩めの就活日記だと思ってもらえば。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→就活って自分は結構ハードだったイメージで、あまり思い出したくないのですが、この作品は緩め。もうちょっと波があっても良いと思うのですが、それがまた売りなのでしょうか。


■作者他作品レビュー
原田マハ/みずき水脈「アイのリラ 一分間だけ」


作品DATA
■著者:石田衣良/みずき水脈
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
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期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。