このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2010.12.22
作品紹介→*新作レビュー*福山リョウコ「モノクロ少年少女」
2巻レビュー→ツッコミどころは多いわけですが、それもまた一興 《続刊レビュー》「モノクロ少年少女」2巻
関連作品レビュー→福山リョウコ「悩殺ジャンキー」
3巻レビュー→ケモノ耳×セーラー服という最強の組み合わせが登場してしまった:福山リョウコ「モノクロ少年少女」3巻
4巻レビュー→好きな人には 大きく見せたいですもの…:福山リョウコ「モノクロ少年少女」4巻



1102992541.jpg福山リョウコ「モノクロ少年少女」(5)


なんでだよ
決めたのに
絶対に
誰かを好きになったりしないって



■5巻発売です。
 かつて伊織を巡る出来事で、黄苑への恐れに怯み、足を止めてしまった右京と茅…。その悔恨を残したまま、動けずにいる2人のためにも、呉羽はクロヒョウ国に囚われた伊織を連れ戻そうと決意する。しかし、意を決して突入し、出会った伊織に言われた言葉は、思いもよらぬもので…。ぐるぐる動き出す、4人の想いと、3人の過去…。いよいよ加速の四角関係に、目が離せない!
 

~二カ所に見られる同様の力関係~
 5巻発売でございますよ。いよいよ恋心を自覚する段階にまできたのですが、その前に3人を縛る過去のとある出来事が序盤に描かれました。伊織と右京、そして黄苑と茅が加わる形の、力関係。これまでにも描かれてきたように、右京の大事なものは全て奪うというジャイアニズムを発揮してきた黄苑王子。その存在を恐れ、右京は「自分のものは全て奪われる」と絶望し、決して誰かを好きににはならないと心に決めます。しかしその関係性は、思わぬ所でも構築されることに。それが、右京と茅の間。茅の想う相手・伊織は、その時は伊織を想っていなかった右京が、結果的にさらっていく形に。右京もまた、無意識のうちに、恨むべき相手・黄苑と同じことを、親友に対してしていたのでした。被害者意識が強く、無自覚的であるが故に、黄苑よりも右京の方がタチが悪いと言えるかもしれません。そんな彼の心の奥深くに根付いた負の部分を、呉羽は消し去ることができるのでしょうか。これから先、楽しみになってきましたねー。おかげさまで、呉羽も右京も恋心をほぼ自覚。枷となるのは、茅の宣戦布告と、蝶々の存在というところでしょうか。5巻の秋祭りでまた、大きな動きがありそうです。


~謎が一つ解決~
 そうそう、以前のレビューで書いていた謎が、今回一つ明らかになりました。それは、初等科、中等科、高等科のそれぞれで成績トップだった生徒には、人間になれるというギフトが与えられるという設定であると同時に、茅と右京と蝶々は今まで学年トップを譲ったことがないという設定が同時に存在していたということ。要するに、なんでお前ら人間になってないんだ、と。それが5巻にしてついにその真相が明らかになりました…
 

モノクロ少年少女5
右京を想う蝶々が、ギフトの受け取りを拒否していた。。。

 
 右京と一緒にいたいから、トップを取りつつも、ギフトの受け取りは拒否していた。これが事の真相でした。しかしトップというのがまたニクいではないですか。別に人間になりたくないのであれば、トップを取らなければ良いだけのこと。しかし彼女は、それでもトップを取り続けてきました。それは何故か、明確に言及されていないので定かではありませんが、恐らく彼女はトップを死守することで、右京がギフトを受け取るのを阻止していたのではないのかな、と。獣の世界に特に未練のない彼であれば、ギフトを受け取れば即人間化しそうなもの。それだと、蝶々は困るわけで。ギフトを受け取らなかったということ以上に、トップを死守してきたということに、彼女の想いの強さを感じたのでした。
 

~新たな謎~
 しかしその謎が明らかになったところで、さらに不思議な点が…。例えば高校に入ってからは、成績に関して言えば、常に右京が一番。このままでは、右京がギフトを受け取り人間界に行ってしまいます。ギフトの受け取りのチャンスは、大学があるとすればまた話は別ですが、これがラストチャンス。もし右京が人間になってしまえば、今生の別れです。そもそもケモノの各国に帰ってしまえば、全く会うことはできなくなってしまうのかもしれないですが、それでも人間界とケモノ界に比べれば、まだ会うことができそうな気がします。もしかしたらこれは、国に帰りたくないと願う右京の想いを汲んで、敢えて1番を譲っているのかも。なんて、それは考えすぎですかね。
 
そんな蝶々姫、右京の一体どこが好きなのかと問われた時に、答えた答えは…


モノクロ少年少女5-2
優しいところ

 
 そんな優しさを裏付ける、好きになった時のエピソードを披露してくれたのですが、そのエピソードが起きたのは、中学1年の時。あれ、伊織姫は初等部の時から、ギフトの受け取りを拒否するほどに右京を想っていたはず…。あれぇ…。き、きっとこの後とっておきの初等部時代のエピソードが出てきますよ!


~異種族間の恋は厳禁~
 あともう一つ不思議なことが。前にも描かれていたのかわかりませんが、この世界にはこんなルールがあるようです。それは「異種族間での恋は厳禁」。しかし秋祭りといい、後輩達のトップ3への色めき方といい、どう考えても異種族間の恋を助長するようなイベントばっかりじゃないですか…!これもまた、我慢を学ぶためのカリキュラムの一つなのだろうか…とか無理矢理納得させる、自分なのでした。
 
 というわけで、未だにちょくちょく粗さの目立つ物語ではありますが、それぞれの想いが明確になってから、かなり盛り上がっており、目が離せないという状況。いやこれ、楽しみですねー。そして先の不思議な点を、どう解消してくるのかも…


■購入する→Amazon

カテゴリ「花とゆめ」コメント (3)トラックバック(0)TOP▲
コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
From:  * 2010/12/24 22:42 *  * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。
確かにそう言われるとそうですねー
しかし私もよくわからないです(汗)

ここ最近の展開を見ると、
明確に好きだったということは恐らくないと思いますし、
どちらかというと罪悪感めいた感情の方が大きかったのではないかな、と思います。
好きゆえの行動という風に思える行動は、意外と後ろめたさからくる「気になる」がああいった形で表出しているだけなのかもしれません。…なんて最もらしいこと言っていますが、基本的には粗い作品であるので、単純に矛盾が生じているだけかもしれません(笑)

次回の記事でとりあげられたら、と思います。
ありがとうございました。
From: いづき@管理人 * 2011/02/06 09:25 * URL * [Edit] *  top↑
伊織姫は初等部の時から、ギフトの受け取りを拒否

蝶々姫だよ。
From: ~名もなきお * 2012/12/29 16:28 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。