このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2010.12.23
作品紹介→槇村さとる「RealClothes」
7巻レビュー→《気まぐれ続刊レビュー》槇村さとる「Real Clothes」7巻
8巻レビュー→意見を闘わせずして、前進はない《続刊レビュー》槇村さとる「Real Clothes」8巻
9巻レビュー→絹恵の成長を確かに感じられた巻《続刊レビュー》槇村さとる「Real Clothes」9巻
10巻レビュー→田渕さんみたいな上司が欲しい!:槇村さとる「RealClothes」10


1102992501.jpg槇村さとる「Real Clothes」(11)


その娘が
越前屋の地図を持ってた



■11巻発売です。
 田渕がダウン!しばしの入院生活を強いられることとなった。体調は順調に回復に向かうも、仕事を離れている焦りもあり、精神状態はなかなか上向いてこない…。そんな中出会った、二人の子ども。そのうちの一人が、越前屋の未来を作る、大きなヒントをを持っていた…!一方絹恵は、ボス不在の中で、「田渕が好き」だとはっきりと自覚。ボスの帰りを待つが…!?
 

~11巻発売です~
 田渕ダウンでどうなることやらと思っていたのですが、物語にこんな影響を与えるとは。ベタな展開といえば、倒れた勢いで想いが加速してくっついちゃうみたいなパターンなのですが、さすがにそんなことはありませんでした。それでもボスの不在は、絹恵に田渕の大切さを感じさせるには十分すぎる状況。
 
「私 ボスのこと 好きすぎ」

 この一言、いいですよね。ストレートに、シンプルに、力一杯。しかし面白いのが、あくまで「ボス」という呼び名であること。絹恵にとっての田渕は、頭からつま先まで、全部が全部仕事を通しての姿で捕らえられています。だからこそ、このストレートな言葉にどの程度の恋愛感覚が詰まっているのか、気になる所。田渕との結婚を想定してみてどうか、みたいな会話があって、そこで子どもが生まれたらもうかなりいい歳…みたいな結論になっていたと思うのですが、田渕と絹恵の関係だと、子ども以前に定年になった田渕とか、働くなった絹恵とかまずありえんような感じが。恋愛色が強くなってきてはいますが、この二人の関係、どう着地させるつもりなのかさっぱりわからんですよ。だからこそ、気になるのですが。
 

~百貨店の姿~
 今回もっとも印象に残ったシーンは、田渕が入院中に、仕事のヒントを得るシーン。そのヒントは、入院中の女の子が大事に持っていた、好きなものの切り抜きをはりつけたノートでした。


リアルクローズ
食べ物、小物、服…そこにはありとあらゆる彼女の欲しいものが並べられていたのでした。その様子を見て、田渕は「これが百貨店だ…」と呟くのです。この作品の面白いところは、ファッションを扱っていながらも、舞台となっているのはあくまで「百貨店」というフィールド。だからこそ、田渕が仕事のヒントを「百貨店」というワードから得るというのは、すごいな、と。百貨店に夢を見た田渕という男と、布団売り場出身という服以外の百貨店の様子も知る女、こんなにも百貨店愛に溢れた二人が揃えば、良い仕事ができないなんてこと、絶対あるはずないわけで。そして百貨店というフィールドを出ていった美姫様。うん、やっぱりラスボスは美姫さまなのかな、とちょっと思ったのでした。自分もこれくらい、場所を愛せる社会人になりたいものですね。


■購入する→Amazon

カテゴリ「YOU」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
From:  * 2011/01/10 05:01 *  * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます!
お仕事頑張って下さいねー
From: いづき * 2011/02/06 10:01 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。