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Tag [続刊レビュー] 2010.12.26
作品紹介→音久無「花と悪魔」
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1102992539.jpg音久無「花と悪魔」(9)


じゃあ
なんで
そんな泣きそうな顔をしているんだい



■9巻発売しました。
 遂にビビへのプロポーズを果たしたはな。それからも、ビビといつも通りの日常を送ろうとしていたその矢先、魔王ルシフェルが突然人間界へやってきた。「今日は話をしにきた」と語るルシフェルは、魔界に起きている重大な異変をビビに伝える。魔界に戻るか、戻らずこちらの世界まで破滅するのを待つか。魔界に戻ることは、はなと別れること。重大な選択を目の前に、ビビが選び取った運命は…!?
 

~思わず号泣~
 完結まであと僅か。幸せ一杯だった前回とは異なり、今回は終始切なさ溢れる内容となっておりました。想いは伝えたものの、今までの関係が崩れてしまうことを怖れ、結局あの告白を保留とし、自己嫌悪に陥るはな。この関係をどう築いていくべきか、苦悩する彼女の姿が映ります。そして中盤以降、苦悩するのはビビの方。魔界の危機を救うべく、魔界への帰還を決意しようとするビビですが、はなを置いて戻るのは、お互いにとってあまりに辛い選択。結局彼は、魔界に戻ることを決意するのですが、それ以降の二人のやりとりが、切なすぎて…!最近疲れ気味なのか、やたら涙腺ユルくて、思わず本気で泣いてしまいました。


~この手で守る~
 ビビが魔界へ戻るにあたって、一番の心配材料ははなでした。彼女への想いを改めて考えた際、こぼれてきたのは、

「この手ではなを守ってゆきたい」

 という想い(誓い)でした。重要なのは「この手で」という部分。魔界へ帰れば、当然のことながら彼の手を離れてしまい、この手で守っていくということはできなくなってしまいます。元々触れた花を枯らしてしまうという性質から、はなには極力触らずに生きてきたビビ。しかしそれをも越えて、直接触れるようになってからは、むしろ想いは大きくなるばかり。数少ない触れられる存在であるはなは、意識しているかは別として、絶対に手放したくない存在であったはずです。しかし最後は、「彼女を守る」という部分を優先。「この手で」という部分は切り離しました。両方選択しようなんて無茶なことはしない、大人の決断です。そう決意した直後、彼は自分の手をポケットの中にしまっていたのは、潜在的にそういった意図が働いた現れなのかな、という気がします。


~ベタを彩る、道具使い~
 その後は別れを前にしてのカウントダウン。泣き所は何度かあったのですが、どちらもアイテムが効果的に使用されていて、ベタながら実に泣かせるシーンとなっていました。
 
 まずは夏祭りにて。初めて同士の浴衣姿で、夏祭りへ赴く二人とその仲間たち。唐突にみんながお面を購入しだして、なんでお面なんだろうとか思ったのですが、その直後、ビビがはなに、魔界へ帰ることを告げます。そんなビビに対してはなは…
 
花と悪魔9-1
お面をかぶり泣き顔を隠し、彼を送り出す


 手つきで泣いていることは一目瞭然。けれども泣き顔は見せません。そのまま泣き顔を出しても良かったのかもしれませんが、その後に…

 
花と悪魔9-2
ビビが歩みより、お面を上げると… 

 
 泣く→歩み寄り抱きしめるでも良かったのですが、隠して泣く→ビビが歩み寄りお面を上げる→涙顔→ギュッという流れの方が、俄然破壊力は上。。。。ベタです、本当にベタなんです。でもその演出が、涙腺を刺激する。このお面投入による、ワンテンポの遅れが、素晴らしいリズムを生み出す。そして極めつけは、その後の余韻。


花と悪魔9-3
お面の転がる足下を映してのラストの味わいは、格別のものでした。
 

 そしてその後は別れの日。ここでもまた、はなが大事に持っていたお守りを介して、ビビの決意が浮き彫りとなります。こちらもまた、わかりやすい演出。やってることは、ちょっと昔のトレンディドラマ的なアレな気がするのですが、純粋過ぎる子どもがヒロインであるために、それが恐ろしいほどにマッチしてしまうというか。「ベタ」は基本的には成功パターンなわけで、使いどころさえわきまえていれば、驚くほどの効果をあげるもの。中盤以降、ベタだとか意識することも無く、ただただ夢中で物語を追っている自分がいました。


~春に花咲く~
 そして、次へ何かを期待させるフラグを残さないまま、綺麗に区切れて終わったラスト。ここで最終回だとしても、ある意味納得。切ない話が好きな自分としては、これはこれで絶賛していたはずです(笑)そんな物語も、次でお終い。次があるってことは、当然のことながら、幸せな結末が待っていると信じたいところですが、これといったフラグも残されず、完全に区切れてしまった以上、この先を予想するのはとても難しく。今できるのは、この切なさを噛み締めつつ、10巻を待つということ。発売は春だそうで。冬を越え、ちょうど花が咲く季節、最終巻としては、ベストのタイミングと言えるのではないでしょうか。楽しみです。



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カテゴリ「花とゆめ」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

こんにちは、初コメントになります。
大変分かり易く紹介していらっしゃる数多くの作品を、
いつも楽しく拝見し、購入する参考にさせて頂いています。
自分は男ではないですが、男女限らずここまで親切に紹介して下さるので
自分の今まで読んできた作品への
違ったアプローチや思っても見なかった解釈などに触れることが出来て
本当に面白いです。
本当に助かってます。有り難うございます。

「花と悪魔」この記事を読んでいるだけで泣きそうになりました。
まだ新刊を購入していないので、これから楽しみに買いに行こうと思います(^^)

またお世話になります。(笑)

長文大変失礼致しました。
From: siki * 2010/12/30 16:35 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。
御返事遅れてしまい、申し訳ございません。

まだまだ拙いレビューしかかけず、
作品の魅力を伝えきれているか自信がないのですが、
少しでも楽しんで頂けたのであれば幸いです。

これからもどうぞよろしくお願い致します!
From: いづき@管理人 * 2011/02/06 09:35 * URL * [Edit] *  top↑

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