
恋はアートじゃない
人生そのもの
過酷でドロドロに汚れるものだ
■製菓学校に通う主人公・小動爽太は、高校時代から焦がれ続けた1つ年上のサエコと交際中。クリスマスの一週間前に告白し、まだ一度キスしただけ。そんな相手へ、バレンタインに特製のチョコをプレゼントするが、彼女は元カレとよりを戻したと告白し去ってしまう。それでも諦めきれない爽太は、一流のショコラティエになって今度こそ彼女の目に留まろうと決意し、一路フランスへ飛ぶ。
それから5年、修行を積んで一人前のショコラティエとして帰国した爽太は、引退する父の洋菓子店を引き継ぎ改装し、チョコレート専門店をオープンさせる。全てが順風満帆に見えたが、一つ問題が。未だ想い続ける相手・サエコが、近々結婚するというのだ。それでも想いを断ち切れない爽太は…!?
ショコラティエの成長物語かと思いきや、早々と一人前になり帰国。ではどうやって話を展開させるのか。それは主人公の、一人の女性に対する、異常とも言えるほどの想い。高校時代から恋い焦がれ、念願叶ったかと思えば手ひどく扱われる。それでもめげずに追いかけ続ける主人公と、その辺に全く無神経なヒロイン。ショコラティエとしてのモチベーションは、その全てがヒロインへの想いから。
相手を想う気持ちが、時間とともに蓄積し、やがて執着へと変わっていく。その様は、読んでいて決して気持ちの良いものではない。だけどそこが面白い。
それでもこの話が必要以上にドロドロしたものにならないのは、脇役たちが明るいキャラだったり、まっすぐな人間だったりするから。このバランス感もさすがです。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→こういう男の人は少なからずいます。だから逆にヒいてしまうかも。で、この作品のキレイな部分だけをすくいとったのが「秒速5センチメートル」というイメージ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→水城先生の作品ってどこか強くお薦めしづらい雰囲気があるんですよね。でも星4つ。だって面白いんだもん。
作品DATA
■著者:水城せとな 公式サイト→「synapse」
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックスα
■掲載誌:flowers増刊凛花(2008年第3号~連載中)
■既刊1巻
■定価:400円+税
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