作品紹介はこちら→咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」
6巻レビュー→安堂のヘタレっぷりに拍車がかかってきたんですが… 《気まぐれ続刊レビュー》咲坂伊緒「ストロボエッジ」6巻
7巻レビュー→あれ、仁菜子ってこんなカワイかったっけ…?《続刊レビュー》「ストロボ・エッジ」7巻
8巻レビュー→蓮にニヤつき、仁菜子には渋い顔を…:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」8巻
9巻レビュー→ここにきて最高の盛り上がり!読まなきゃ絶対損です!:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」9巻
咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」(10)
好きな人が
自分を好きでいてくれる世界
こんなにキラキラした世界が
あったんだ
■10巻発売、完結しました。
連のことが好き。わかっているのに。。。喧嘩から守ってくれた安堂が傷ついている姿を見て、連からの告白を受け入れられなかった仁菜子。でも、断ってしまった本当に理由は、もっと別の所にあるのではと、仁菜子はぐるぐると悩む。そんな彼女に対し、安堂は、とある行動を起こすが…。そしてやっとみつけた、自分の気持ちとは!?みんなの好きが積もり積もる、感動の最終巻、登場です!
~納得の完結~
無理に長引かせることも無く、10巻にて決着。きっちりと終わりを迎えてくれました。付き合ってからの風景は、余韻程度に番外編で描かれるのみ。本編では、あくまで二人が結ばれるまでの過程に絞って描ききった、その潔さに拍手です。初恋を丁寧に描くというテーマのもと、描かれて来た本作としては、付き合ってからの紆余曲折は余計なものであったのかもしれません。ただ純粋に「好きだから」で決着できる恋人以前の関係だからこそ、初恋の純度を最大限活かすことができる。キラキラとが輝いている一瞬という意味が込められた、「ストロボ・エッジ」というタイトルを地で行く構成となっていました。そんなヒロインが、最も輝いたのは、彼女の二度目の告白のとき。しかもこの告白は、初めての告白の時と実にシチュエーションがよく似ていたのでした。
~初めての告白との共通点・非共通点~
かつてあったシチュエーションを被せてラストに持ってくるという手法は、よく使われますが、この作品では、同じように見せかけつつも、微妙に異なっていたりする部分があり、積み重ねた想いと、その状況の差異をよく表していました。
~前段階でのかませ犬と女神様~
まずは告白に至る前段階での一件。今回仁菜子は、彼女に想いを寄せる安堂をハッキリとフる形で、蓮への告白へと向かって行きましたが、実は初めての告白の時も、仁菜子は自分に想いをよせる相手をフッているんですよね。それが、初代噛ませ犬である、幼なじみの大樹。今回に比べ、大樹との方がよりハッキリとした「断り」という印象が強かったやりとりでしたが、安堂/大樹どちらも、自分に可能性がないことを自覚し、半ば相手の背中を押すような最後。そして何より、二人ともに、仁菜子に対して「行きな」との促しの言葉を伝えています。かませ犬らしい、実に素敵な言葉ではないですか。そしてそのあと一人、ひっそり落ちる。。。なーんて、そこはリア充の巣窟「ストロボ・エッジ」。かませ犬に対してのサポート体勢が違います。そんな彼らの前には…
それぞれの女神様が。。。

大樹にはさゆりが…

安堂には真央が…
二人の女の子は、一体どんな気持ちでこの告白の様子を窺っていたのか気になるところですね。「フってくれて=自分にチャンスをくれてありがとう」なのか、「なに仁菜子ムカつく」なのか。
~同じシチュでも違う風景~
さて、そんな形で救いが用意されている間、仁菜子は駅へ、蓮を追います。そしてついに告白へ。このシチュエーションは実にわかりやすいですよね。初めてのときも、二度目も、駅のホームで、「あのねっ」から。ただこの時もまた、ちょっとした違いが。

二度目の告白も「あのね」から。また前回は「ただ 伝えたい」が二度繰り返されたのに対し、今回は「今 伝えたい」に変わりました。付き合うという段階まで考えていなかった前回は、伝えてそれでおしまい。だからこその「ただ 伝えたい」。けれども今回は、前とは違います。「どんなふうに好きか」「どうなりたいか」そのことを蓮くんに今伝えるために、駆けつけたのです。
はじめての告白のときは、電車から降りる蓮くんを追いかける形で一緒に下車。これはそのまま、仁菜子の気持ちが一方通行であることを表しているわけですが、二度目の告白の時は違います。仁菜子は蓮くんを追いかけて駅へ。そして当の蓮くんもまた、仁菜子に会うために電車から降りているのでした。もはやこれは説明不要。お互いの気持ちの現れということでしょう。
また当然のことながら、告白している駅は別の駅です。初めての告白は、乗車を経ての、蓮くんの家の最寄り駅。そして二度目の告白の時は、学校からの最寄り駅。これがまた粋なところ。フラれた後、一緒に帰るのはこの上ない気まずさをもたらし、逆に、お付き合いが成立してから、一緒に乗る電車は、格別の幸福感とドキドキ感をもたらしてくれます。フラれたあとは一人で帰り、成立すれば一緒に帰る。余計な気まずさを残さず、幸福感のみを増幅させてくれる、告白の場所。本編では描かれてはいませんが、きっと楽しい帰りの電車だったんだろうなぁ。。。
~キスだけはしっくり来ず~
こんなにキレイに決まった告白だったのですが、直前の一件のため、実はちょっとだけもやもやとした気持ちを残していたものまた事実。あのキスですよ、キス。本編では、「めでたしめでたし」みたいな感じになっていましたが、かませ犬のキスだけあって、本命とのキスがないとはどういうことだ!!と。やっぱりねぇ、初恋を丁寧に描くのであれば、初めてのキスも丁寧に描いて欲しいわけですよ。例えあれが、仁菜子の背中を押すための行動であったとしても、やっぱり蓮くんとしてこそが…。この件は特別編でちゃんと回収しましたが、一旦あそこで「本編終了」とされたら、「ええっ」となる読者は少なからずいそうで。とファーストキス云々を20代も半ばの男が語ってもキモイだけなので、この辺で自重しておきます。あ、全然関係ないですけど、仁菜子は制服の短いスカートよりも、ショートパンツで足出している方が断然可愛く見えますよね。
~新連載「アオハライド」~
早くも新連載の告知がありました。タイトルは「アオハライド」。今月発売の別冊マーガレットにて連載開始ということで、こちらも期待大です。さてさてお次は、どんなキラキラした恋模様を見せてくれるのか。今から楽しみです。
■購入する→Amazon
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6巻レビュー→安堂のヘタレっぷりに拍車がかかってきたんですが… 《気まぐれ続刊レビュー》咲坂伊緒「ストロボエッジ」6巻
7巻レビュー→あれ、仁菜子ってこんなカワイかったっけ…?《続刊レビュー》「ストロボ・エッジ」7巻
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9巻レビュー→ここにきて最高の盛り上がり!読まなきゃ絶対損です!:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」9巻

好きな人が
自分を好きでいてくれる世界
こんなにキラキラした世界が
あったんだ
■10巻発売、完結しました。
連のことが好き。わかっているのに。。。喧嘩から守ってくれた安堂が傷ついている姿を見て、連からの告白を受け入れられなかった仁菜子。でも、断ってしまった本当に理由は、もっと別の所にあるのではと、仁菜子はぐるぐると悩む。そんな彼女に対し、安堂は、とある行動を起こすが…。そしてやっとみつけた、自分の気持ちとは!?みんなの好きが積もり積もる、感動の最終巻、登場です!
~納得の完結~
無理に長引かせることも無く、10巻にて決着。きっちりと終わりを迎えてくれました。付き合ってからの風景は、余韻程度に番外編で描かれるのみ。本編では、あくまで二人が結ばれるまでの過程に絞って描ききった、その潔さに拍手です。初恋を丁寧に描くというテーマのもと、描かれて来た本作としては、付き合ってからの紆余曲折は余計なものであったのかもしれません。ただ純粋に「好きだから」で決着できる恋人以前の関係だからこそ、初恋の純度を最大限活かすことができる。キラキラとが輝いている一瞬という意味が込められた、「ストロボ・エッジ」というタイトルを地で行く構成となっていました。そんなヒロインが、最も輝いたのは、彼女の二度目の告白のとき。しかもこの告白は、初めての告白の時と実にシチュエーションがよく似ていたのでした。
~初めての告白との共通点・非共通点~
かつてあったシチュエーションを被せてラストに持ってくるという手法は、よく使われますが、この作品では、同じように見せかけつつも、微妙に異なっていたりする部分があり、積み重ねた想いと、その状況の差異をよく表していました。
~前段階でのかませ犬と女神様~
まずは告白に至る前段階での一件。今回仁菜子は、彼女に想いを寄せる安堂をハッキリとフる形で、蓮への告白へと向かって行きましたが、実は初めての告白の時も、仁菜子は自分に想いをよせる相手をフッているんですよね。それが、初代噛ませ犬である、幼なじみの大樹。今回に比べ、大樹との方がよりハッキリとした「断り」という印象が強かったやりとりでしたが、安堂/大樹どちらも、自分に可能性がないことを自覚し、半ば相手の背中を押すような最後。そして何より、二人ともに、仁菜子に対して「行きな」との促しの言葉を伝えています。かませ犬らしい、実に素敵な言葉ではないですか。そしてそのあと一人、ひっそり落ちる。。。なーんて、そこはリア充の巣窟「ストロボ・エッジ」。かませ犬に対してのサポート体勢が違います。そんな彼らの前には…
それぞれの女神様が。。。

大樹にはさゆりが…

安堂には真央が…
二人の女の子は、一体どんな気持ちでこの告白の様子を窺っていたのか気になるところですね。「フってくれて=自分にチャンスをくれてありがとう」なのか、「なに仁菜子ムカつく」なのか。
~同じシチュでも違う風景~
さて、そんな形で救いが用意されている間、仁菜子は駅へ、蓮を追います。そしてついに告白へ。このシチュエーションは実にわかりやすいですよね。初めてのときも、二度目も、駅のホームで、「あのねっ」から。ただこの時もまた、ちょっとした違いが。

二度目の告白も「あのね」から。また前回は「ただ 伝えたい」が二度繰り返されたのに対し、今回は「今 伝えたい」に変わりました。付き合うという段階まで考えていなかった前回は、伝えてそれでおしまい。だからこその「ただ 伝えたい」。けれども今回は、前とは違います。「どんなふうに好きか」「どうなりたいか」そのことを蓮くんに今伝えるために、駆けつけたのです。
はじめての告白のときは、電車から降りる蓮くんを追いかける形で一緒に下車。これはそのまま、仁菜子の気持ちが一方通行であることを表しているわけですが、二度目の告白の時は違います。仁菜子は蓮くんを追いかけて駅へ。そして当の蓮くんもまた、仁菜子に会うために電車から降りているのでした。もはやこれは説明不要。お互いの気持ちの現れということでしょう。
また当然のことながら、告白している駅は別の駅です。初めての告白は、乗車を経ての、蓮くんの家の最寄り駅。そして二度目の告白の時は、学校からの最寄り駅。これがまた粋なところ。フラれた後、一緒に帰るのはこの上ない気まずさをもたらし、逆に、お付き合いが成立してから、一緒に乗る電車は、格別の幸福感とドキドキ感をもたらしてくれます。フラれたあとは一人で帰り、成立すれば一緒に帰る。余計な気まずさを残さず、幸福感のみを増幅させてくれる、告白の場所。本編では描かれてはいませんが、きっと楽しい帰りの電車だったんだろうなぁ。。。
~キスだけはしっくり来ず~
こんなにキレイに決まった告白だったのですが、直前の一件のため、実はちょっとだけもやもやとした気持ちを残していたものまた事実。あのキスですよ、キス。本編では、「めでたしめでたし」みたいな感じになっていましたが、かませ犬のキスだけあって、本命とのキスがないとはどういうことだ!!と。やっぱりねぇ、初恋を丁寧に描くのであれば、初めてのキスも丁寧に描いて欲しいわけですよ。例えあれが、仁菜子の背中を押すための行動であったとしても、やっぱり蓮くんとしてこそが…。この件は特別編でちゃんと回収しましたが、一旦あそこで「本編終了」とされたら、「ええっ」となる読者は少なからずいそうで。とファーストキス云々を20代も半ばの男が語ってもキモイだけなので、この辺で自重しておきます。あ、全然関係ないですけど、仁菜子は制服の短いスカートよりも、ショートパンツで足出している方が断然可愛く見えますよね。
~新連載「アオハライド」~
早くも新連載の告知がありました。タイトルは「アオハライド」。今月発売の別冊マーガレットにて連載開始ということで、こちらも期待大です。さてさてお次は、どんなキラキラした恋模様を見せてくれるのか。今から楽しみです。
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