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Tag [続刊レビュー] 2011.01.15
作品紹介→もう一度、この家で、一緒に笑おう。:タアモ「たいようのいえ」1巻



1102992430.jpgタアモ「たいようのいえ」(2)


基はどうして
いつも
欲しい言葉を
くれるの



■2巻発売です。
 子どもの頃、むかいの中村家に入り浸っていた真魚。両親の離婚でその地を離れ、父と暮らしていたけれど、父の再婚で自分の居場所をなくした真魚は、両親亡き後、一人で中村家を守る基の家に住まわせてもらうことに。変わらず優しい基への恋心を自覚した真魚は、思わず基に「好きだ」と伝えてしまうけれど。。。
 
 
~正体が明らかに~
 読んでいてニヤニヤするのは相変わらず。しかし同時に、前回のレビューで言ってたことが丸ハズレで「どうしよう…」と思ったのも事実。何が丸ハズレかと言うと、ケータイ小説での「ラジカルさん」の正体と、真魚のP.N.「空海」の読み方。両方とも本名が関連したハンドルネームになっているので、その正体は絶対に基だと思っていたら、
 

たいようのいえ
あなたですかー!!

 
 待ち合わせのくだりで、「おお、ここで衝撃の出会いを…」とかワクワクしていたのですが、まったくそんな展開にはならなかったぜ。。。なんて、話を聞けば、好きな人=基の名前からとったとのこと。まんまと騙されました。そんな展開に驚くと同時に、もう一つ衝撃の事実が。基が「そらみ」と読んでいた、真魚のペンネーム、どうやら「くうかい」が正しい呼び名のようです。まんまじゃないですか!てか女の子で「くうかい」てどんなセンスだ…!とか思いながらも、Tシャツや傘選びでフリーダム過ぎるセンスを見せつける真魚からしたら、そらみよりもくうかいの方が俄然しっくり来るのかもしれません。
 


~直接生活費を持って来る父親の意図とは?~
 さて、今回は基の弟が家を尋ねて来たり、姿こそ描かれなかったものの、生活費を渡しに父親が来たりと、まだまだ不安定な真魚の居場所問題が描かれました。そこでひとつ気になったのは、姿の描かれない、真魚の父親について。彼、生活費を直接渡しに訪れているのですよね。普通であれば、こういったことをさせている手前、なるべく当人たちには会いたくないものです。したらば振込や現金書留で済ませればよいものの、それでも彼はわざわざ手渡しに来るという。この行動に、どういった思いがあるのか。


たいようのいえ2-2
 罪悪感ないし、真魚を呼び戻したいという思いの現れなのか、逆に後ろめたさなど全く感じていないからこそできる行動なのか。1巻での基の、真魚の父親に対する発言を見ると、どうやら後者が有力そうですが、それでも前者の可能性を信じる真魚の姿を見ると、なんとも切ないです。



~鈍感だからこそ、与えようと必死で、そしてすれ違う~
 最終話とオマケ漫画にて、基と真魚が好きだと相手から明かされるも、当人たちは全く自覚していなかったというくだりがあります。真魚はなんとなく納得なのですが、基もとは、ちょっと意外。基も案外、他人の気持ちの揺れ動きには鈍感なタイプなのですね。元も真魚も、鈍感である分、相手に与えようという気持ちが強く、そしてときにそれがこぼれる。真魚よりも基の方がうまく立ち回れているのは、単に彼の方が少しだけ器用で、そして責任感が強いからかもしれません。元々は似たもの同士という感じが、物語が進行する度に強く感じられるようになってきました。


作者他作品レビュー
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タアモ「恋月夜のひめごと」
タアモ「いっしょにおふろ」
タアモ/野島伸司「スヌスムムリクの恋人」


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