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Tag [新作レビュー] 2011.01.16
1102992457.jpg渡辺祥智「docca」(1)


ここじゃない
どっかに
行きたいんだ



■七ツ橋高校に入学するため虹が丘町にやって来た円山まひるは、幼い頃にいた頃とは全く違う町の雰囲気に、戸惑いを覚える。どう見てもこの世界のものではない、人、もの、生物が、町を自然に闊歩。そんな中、ひと際目を引いたのは、銀色に水色マント、おまけに超美形という王子様っぽい青年。どうにもおかしなこの町は、5年前に「ここではないどこか」である「どっか」と繋がってしまったというのだった。まひるの高校生活は、いったいどうなる!?

 ここではないどこか=“どっか”に通じる空間を持つ、不思議な町を舞台にした、アクションコメディ。“どっか”を通ってやってくる、人、もの…この町に住む人にとってみれば、日常茶飯事。しかしながら、ヒロインからすればドびっくりな世界なわけで。そんな彼女が、あろうことか迎え入れられたのは、高校のdocca管理委員会。どっかからきたこの世にあってはいけないものを、管理・回収するのがその役目。そんな非日常が繰り返される毎日を描いた、ゆるーいコメディです。


docca.jpg
結構地味な仕事も多い。例えばどっかから来た草抜きとか。


 「どっか」というネーミングからもわかるように、かなり緩いです。全体的に。もうなんでもありのフリースタイル。一応の軸となるのは、王子様がどこから来たのか突き止め、元に戻す…とか、どうして「どっか」が生まれたのかと探るなどあるのですが、度々脱線。というか、脱線がメインで、たまに本線に戻るみたいな感じです。ファンタジー込みのゆるゆるコメディということで、統一感のなさは甚だしいですが、その分気楽に読めるので、狙いは成功しているのかもしれません。どっかに着地するはずなのですが、今のところは見当つかず。それでもこの緩さがあれば、どこに着地しても正解という感じで、ある意味安心感のある作品なのかも。
 
 あとがきに作者さん自身も「なんとなくできた、曖昧な物語です」と言っているのがまた(笑)「曖昧」、「なんとなく」ガチ風味な作品でそれをやったら大けがですが、それをベースに作り上げてしまえば、途端に魅力に変わる。物語設定と同じく、作品自身もdocca感のある、不思議な作品です。
 

【男性へのガイド】
→アヴァルス作品は男性でも読みやすいかと。王子とか出てきますが、先輩は愛されそうなかわいらしいキャラですし、ロマンス要素も薄め。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→良い意味で脱力系な作品。読み応えはないですが、そのぶん気楽に読めるお手軽さは圧倒的。そういう気楽な作品がお好きな方は。


作品DATA
■著者:渡辺祥智
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックアヴァルス
■掲載誌:アヴァルス(連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon

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