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何をそんな人に媚び売って
なにを怖がってんの?■6巻発売です。
身分不相応な組み合わせ、けれども優しく誠実な大和に、次第に心惹かれはじめ、付き合って以降も徐々に恋心に目覚めていく。けれど、大和狙いの読者モデル・めぐみが転校してきて、あれこれと大和に近づくために画策。さらに、密かにめいに惹かれている、大和の中学時代の同級生・海も動き始めて。。。俄に慌ただしくなる、二人の周りに、めいと大和は…?
~6巻発売です~ 「好きって言いなよ。」のカレンダー目当てで、デザート買ってしまいました。もう年明けてるのですが、全く開いていないです。買ったは良いけど、飾るのには勇気がいるんですよね。とりあえず手元に置いて眺めつつ楽しんでおります。というわけで、6巻発売です。5巻から結構なスパンが空いた印象の6巻。5巻では海とめぐみという途中加入のキャラ達が、それぞれの内面を出す形になりましたが、6巻ではよりその色が強く。5巻では、自分自身の物語というイメージが強かったですが、6巻では他人との関わりの中で見えてくるそれぞれの考え方というものが、浮き彫りとなりました。要するに、今回もまためぐみちゃんが頑張ったというわけです。
~めぐみの行動について~ さて、5巻から不穏な空気を漂わせていためぐみですが、ついにそれが外に。きっかけは、愛子とあさみとのやりとりからでしたが、思わず「うざっ」と発言。その時の、愛子さんの返しがすごかった。
なにをそんな人に媚び売って
なにをこわがってんの
この
「なにをこわがってんの」って返し。このときめぐみは、どちらかというと上から言葉を放つ感じで、まったく怖がっているような素振りは見せていませんでした。けれども愛子は、この言葉を投げる。当然これは的外れな言葉などではなく、むしろ核心を突いた一言であったことが、読み進めるうちに明らかになってきます。てか愛子さんマジかっけーっす。
「こわい」「こわくない」。このワードがその後登場するのは、次の話の過去回想でのこと。彼女がどうやってコンプレックスを克服したかが語られる場面。彼女は変わった後の世界を、
「こわくない」という言葉で表しています。つまりそれは、変わる以前は少なからず怖さがある世界であった。一体めぐみは、何に対して恐れを抱いていたのか。それはその後の展開から考えるに、恐らく、
「否定」という行為。

彼女は先の一件の後、親友に自分の不満をぶちまけるのですが、それを諭されてしまいます。それを「自分への否定」と受け取っためぐみは、親友と絶縁状態に。ほんの些細な行き違いにも関わらず、「否定された」ということから、関係を絶ってしまう。これは、彼女の「否定」への過敏さの現れに他なりません。
貧乏で、ブスで、とその存在を否定された彼女は、生まれ変わるにあたって最も意識したのは「否定されない」ということ。彼女の回想シーンからもわかるのですが、
ブスはブスで人一倍の努力と
人への気遣いをしなきゃ
人として同等に扱ってもらえない
自分の意志なんて人前で持っちゃいけないんだから。
みんなが好きなめぐたんは…
自分の意志を持たないことで、意見の衝突を回避、またみんなが好きなめぐたんを演じることで、「友達」ではなく「味方」を増やす。今回かなり性格の悪い存在として描かれているめぐみですが、めいへの揺さぶりは置いておいて、友達と不仲になってしまったというのは、どちらかというと可哀想なことだったのではないかな、と思います。一番怖れていることを、一番信用していた人にされてしまった。普通の感覚では、些細なことなのかもしれませんが、彼女にとってはダメージが大きかったのかもしれません。
~大和ってのはことこの作品に於いては最高の存在~ そんなめぐみにお似合いの男子は誰なんだって話ですけど、多分大和じゃないですかね。大和と出会うのが遅かった彼女は、現在彼のスペックに惚れているようですが、多分もっと前から出会っていたとしたら、多分もっと惚れ込んでいたのだろうなぁ、と思います。そして立ち位置的に、「君に届け」(→レビュー)のくるみちゃんのようになっていたに違いない。前述した通り、彼女はこと「否定」に敏感。だから、付き合うとしたら、全く否定をせず、全てを肯定してくれるような人物が良いということになります。その中で、人事をするとしたら、やっぱり大和が残るんですよねー。海が物語中で言っていたように、大和は争い好まず静観し、側にいてやるタイプなわけで。てかこの手の女の子にとって、大和のような存在って本当に最高のヒーローなんじゃなかろうかとも思えたり。しかし彼、器大きすぎるので見習うとか無理です。当方ペットボトルのフタぐらいの器しか持ち合わせていないので。。。せめて健志ぐらいには…!
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