
ならば咲かせよう
この花が消えるまで
■小学4年生の野上まりもは、花や植物が大好きな、心優しくほんわかとした女の子。けれどもある日、不良の争いごとに巻き込まれ、大事な花壇が荒らされてしまう。加えてクラスメイトにも危害が。。。なんとか止めないと…そう願ったまりもの左手が、突如疼き、気がつけば別人のような喋り方、そして身のこなしに。そして、ばったばったと不良たちをなぎ倒していた。可愛いけれど、超武闘派。野上まりもの伝説が、今始まった。。。
またりぼんですごいマンガが登場しました。タイトルからも分かる通り、描かれるのは戦う女子小学生。しかも普段は花を愛でる心優しい天然系の女の子で、ピンチだったり感情が高ぶったりしたときにだけ、その能力が発揮されるという設定です。ついでに能力発動の時は、左手の痣が浮かび上がり疼くという、中二病のテンプレにありがちな「くっ!鎮まれ…俺の左手…」みたいな設定を地で行くという素晴らしさ。そしてそして、何といっても原案者には、かのAKB48で乗りに乗っている、秋元康氏ですよ。彼が少女漫画の原作を手がけるというと、思い出すのはNHKでもアニメ化された「あずきちゃん」ですが、今回は全く違ったテイストの作品に仕上げてきました(ちなみに「あずきちゃん」はりぼんではなく、なかよし連載でした)。

小4女子がリアルファイト。そのありえなさだけで十分笑えるというか、面白いというか。ちなみにふだんはもっとほんわか。目つきも可愛らしいです。
小4女子が戦わなくてはいけない状況ってどんな状況やねんって話なのですが、まず彼女の通っている小学校がかなり荒れている状況にあり、小4、小5、小6各学年にたいそうガラの悪い不良集団がいるという。しかもちゃんと軍団だったりチームを組んでいるものだから、お前ら中学生か!みたいな。さらに物語が進行してくると、中学生やインターナショナルスクールなども参戦し、一大派閥争いが繰り広げられていくという状況です。ヒロインは、一度喧嘩で実績を上げてしまったものだから、臨んでもいないのに巻き込まれて行くという感じ。この植物を愛でる主人公が、勢力争いに巻き込まれながら、戦って行くという状況は、サンデー連載の「地上最強の弟子 ケンイチ」を思い出します。あちらは高校生で、かつ主人公が話を追う毎に成長を遂げて行くわけですが、こちらは最初からチート級の能力の持ち主であり、いかに戦い、いかに場を鎮めるかという所が焦点となってきます。
なんでこんな能力を持っているのかというと、ヒロインの父親がかつて伝説の不良であり、その能力を知らずか受け継いでしまったという。能力発現時は、口調が関西弁に変化し、極道の女的なイメージをかき立てます。全体的にありえない設定であり、また戦う美少女や派閥争いというモチーフは、昭和に置き忘れて来たイメージすらある古いもの。けれども一度読み出せば、テンポは良いし、アクションシーンは迫力があり、また平常時のヒロインがかなり可愛いなど、グイっと引き寄せられる面白さがあります。そこは、原作者である秋元康の力でもあるでしょうし、画的に魅せる方法を心得ている漫画家さんのの能力でもあるのでしょう。これはちょっと色々な意味で続きが気になる作品であります。
【男性へのガイド】
→安心の秋元クオリティ。ヒロインが可愛らしく、またヒーローがちょっと抜けすぎているあたり、意図しているか否かはわかりませんが、男性でも読みやすいようになっております。ただ少年漫画でありがちな、バトルで能力成長というベクトルではなく、友情の醸成であるとか、人間的成長を描くのがメインとなりますので、その辺はしっかりとご承知を。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→この先どうなるのかわからないし、最後尻すぼみで終わる感もあるのですが、現時点では続きがきになっており、2巻も買ってみたいかな、と。全てがネタというのも、面白いと思うんです。
作品DATA
■著者:秋元康/香純裕子
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼんn(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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