作品紹介→*新作レビュー* 鳥野しの「オハナホロホロ」
鳥野しの「オハナホロホロ」(2)
みちるさんは
同じリングに
上がろうとしているよ
■2巻発売です。
翻訳家の麻耶の同居人は、シングルマザーのみちると、その息子のゆうた。かつての同棲関係を一度解消し、3人で暮らしはじめて早1年。ある日、麻耶は信頼している元同級生・桑原に呼び出され、自分のところへ来てほしいと、プロポーズされる。翌日、“何があったか”を聞けないみちるは不安になりーーー。あたたかに胸を打つ、同居生活グラフィティ第2巻。
~2巻発売ですか~
まさかの2巻発売です。1巻発売時点では、2巻告知がなかったので、1巻完結ものだと思っていたのですが驚きでした。とはいえなにか大きなストーリー性を持った作品ではないので、2巻としてこの日常を続けても、特に問題はなし。そしてそんな中、鳥野先生が2巻の軸に据えてきたのは、「この“日常”が終わること」を徹底してメインの二人に意識させること。それによって物語を動かしてきたのでした。
いわゆる社会的マイノリティや、弱者的な位置にいるキャラがメインを構成しているわけですが、そういった作品に於いて、一番の危機となるのは彼らがその関係のまま存在し得る環境が壊れてしまうこと。物語の世界に於いては、この環境が無条件で続く世界が用意されていたり、その環境が壊れてしまうことを直視しないというパターンが多い気がするのですが、この作品は逆にそれを目の前に置くことで、変化を要求してきました。特殊な関係性が形成されている中で、変化を促すというのはかなりチャレンジングというか、難しい話になりそうなのですが、その方向に果敢にも持って行ったという。優しくない、本当に優しくないお話です。けれどもそれを乗り越えて手に入れた関係というのは、今まで以上に愛おしく、頼もしい関係だといえるでしょう。まだ2巻ではありますが、どんな結末が待っているのか、2巻という続刊が発売されて、なお楽しみになりました。
~桑原さんの揺さぶり方~
さて、そんな麻耶とみちるの関係に、現実を突きつけたのは、麻耶の元同級生で元サッカー選手の桑原。彼は麻耶との恋人関係、果ては結婚までを描き、様々アプローチするのですが、その揺さぶり方が大人らしく実に嫌らしかった(笑)もちろん正攻法でも行くのですが、同時にダーティーなやり方で、一件脆そうに見えてその実堅固な麻耶とみちるの関係にジャブを。

麻耶に対しては、
「もし彼女たちと離れることになったら?」と話し、麻耶に「みちるに必要とされなくなったらどうしよう」と不安にさせ…

みちるに対しては「南雲は君たちを捨てたりしないよ」と伝え、これまたお互いの関係に於いて、みちるが捨てられる側であることをさらりと伝える。うーん、この語り方。またこういう人に言われると、殊更不安になるのですよね。
それでも桑原さんがカッコいいと思えるのは、ウソはつかないし、ちゃんと「色々と手を回すし画策もする」と明言しているところ。そして何より、自分の手に入れたいものに対して、全力でぶつかっているというところ。何も暑苦しく相手にぶつかることが全力ではないのです。気持ちとしてしっかりブレない想いを持って、それに対して行動する、それだけで十分。多分彼は、この結果みちると麻耶の関係がより強固なものになったとしても、爽やかに手を引き納得するはず。芯が通っている気持ち良さが、彼からは感じられるのですよね。
~食べ物が美味しそう~
鳥野先生がアシスタントを務めていた「ハチクロ」の羽海野先生もそうなのですが、とにかく物語に登場する食べ物がみなみな美味しそうなのですよ。「ハチクロ」などでは、ゲテモノ料理的に扱われていた、山田さん&はぐ作の、カボミントやグレープフルーツご飯、イチゴの炊き込みご飯ですら、美味しく見えたものです(笑)この作品も、子どもと食卓を通じて関係性が描かれるシーンが多いのですが、何かと美味しそうで。しかも当然、こちらは正攻法のお料理ですよ!特に美味しそうだったのが、仙台麩とたまご入りのおうどん。

もうこれ夜中に見て思わず夜中にうどんを…(笑)食べ物が美味しそうな作品って、無条件に親しみが持てて良いんですよ。ああ、またお腹が減ってきた。。。
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みちるさんは
同じリングに
上がろうとしているよ
■2巻発売です。
翻訳家の麻耶の同居人は、シングルマザーのみちると、その息子のゆうた。かつての同棲関係を一度解消し、3人で暮らしはじめて早1年。ある日、麻耶は信頼している元同級生・桑原に呼び出され、自分のところへ来てほしいと、プロポーズされる。翌日、“何があったか”を聞けないみちるは不安になりーーー。あたたかに胸を打つ、同居生活グラフィティ第2巻。
~2巻発売ですか~
まさかの2巻発売です。1巻発売時点では、2巻告知がなかったので、1巻完結ものだと思っていたのですが驚きでした。とはいえなにか大きなストーリー性を持った作品ではないので、2巻としてこの日常を続けても、特に問題はなし。そしてそんな中、鳥野先生が2巻の軸に据えてきたのは、「この“日常”が終わること」を徹底してメインの二人に意識させること。それによって物語を動かしてきたのでした。
いわゆる社会的マイノリティや、弱者的な位置にいるキャラがメインを構成しているわけですが、そういった作品に於いて、一番の危機となるのは彼らがその関係のまま存在し得る環境が壊れてしまうこと。物語の世界に於いては、この環境が無条件で続く世界が用意されていたり、その環境が壊れてしまうことを直視しないというパターンが多い気がするのですが、この作品は逆にそれを目の前に置くことで、変化を要求してきました。特殊な関係性が形成されている中で、変化を促すというのはかなりチャレンジングというか、難しい話になりそうなのですが、その方向に果敢にも持って行ったという。優しくない、本当に優しくないお話です。けれどもそれを乗り越えて手に入れた関係というのは、今まで以上に愛おしく、頼もしい関係だといえるでしょう。まだ2巻ではありますが、どんな結末が待っているのか、2巻という続刊が発売されて、なお楽しみになりました。
~桑原さんの揺さぶり方~
さて、そんな麻耶とみちるの関係に、現実を突きつけたのは、麻耶の元同級生で元サッカー選手の桑原。彼は麻耶との恋人関係、果ては結婚までを描き、様々アプローチするのですが、その揺さぶり方が大人らしく実に嫌らしかった(笑)もちろん正攻法でも行くのですが、同時にダーティーなやり方で、一件脆そうに見えてその実堅固な麻耶とみちるの関係にジャブを。

麻耶に対しては、
「もし彼女たちと離れることになったら?」と話し、麻耶に「みちるに必要とされなくなったらどうしよう」と不安にさせ…

みちるに対しては「南雲は君たちを捨てたりしないよ」と伝え、これまたお互いの関係に於いて、みちるが捨てられる側であることをさらりと伝える。うーん、この語り方。またこういう人に言われると、殊更不安になるのですよね。
それでも桑原さんがカッコいいと思えるのは、ウソはつかないし、ちゃんと「色々と手を回すし画策もする」と明言しているところ。そして何より、自分の手に入れたいものに対して、全力でぶつかっているというところ。何も暑苦しく相手にぶつかることが全力ではないのです。気持ちとしてしっかりブレない想いを持って、それに対して行動する、それだけで十分。多分彼は、この結果みちると麻耶の関係がより強固なものになったとしても、爽やかに手を引き納得するはず。芯が通っている気持ち良さが、彼からは感じられるのですよね。
~食べ物が美味しそう~
鳥野先生がアシスタントを務めていた「ハチクロ」の羽海野先生もそうなのですが、とにかく物語に登場する食べ物がみなみな美味しそうなのですよ。「ハチクロ」などでは、ゲテモノ料理的に扱われていた、山田さん&はぐ作の、カボミントやグレープフルーツご飯、イチゴの炊き込みご飯ですら、美味しく見えたものです(笑)この作品も、子どもと食卓を通じて関係性が描かれるシーンが多いのですが、何かと美味しそうで。しかも当然、こちらは正攻法のお料理ですよ!特に美味しそうだったのが、仙台麩とたまご入りのおうどん。

もうこれ夜中に見て思わず夜中にうどんを…(笑)食べ物が美味しそうな作品って、無条件に親しみが持てて良いんですよ。ああ、またお腹が減ってきた。。。
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