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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.01.24
1103001177.jpg壱村仁「coda」(1)


あんな風に
踊れたらな…



■高校の舞踏科に通う国定春一は、日本舞踊の名家に生まれた、日舞専攻の高校生。家柄的に日舞を専攻している春一だけど、実はバレエに興味があり、幼なじみの通うバレエ教室にちょくちょく顔を出している。そんなある日、短期留学で有名なバレエダンサー・ユーリ=アルバトフがやってきた。その彼に、誰もいない舞踏場で、密かにステップを踏んでいた所を目撃されてしまい、何故かパートナーとしてのご指名が…!!なんで俺が女装でプリマに…!?困惑のまま、舞台に立つ約束をさせられてしまったけれど…

 壱村仁先生のオリジナル新作でございます。主人公は日舞の国定流という型を受け継ぐ高校一年生・国定春一。全国でも珍しい舞踏科のある高校に通い、日舞を専攻している彼ですが、ある日やって来たバレエの王子・ユーリ=アルバトフにその才を見出され(?)、あろうことかパートナーに選ばれてしまうというお話。王子のパートナーというからにはもちろんプリマとして。あの手この手で断ろうとする春一でしたが、表向きの優しい顔とは異なる、ユーリの強引で傍若無人なやり口に、結局丸め込まれ…というストーリー。



coda.jpg
日本舞踊が、女装化のときに活きる。本人にとっては不本意であるが、頑張らざるを得ないという。


 なんで男でしかも日舞専攻の主人公がプリマとして見初められるのか、という話ですが、実は主人公の春一は幼なじみの影響で、密かにバレエを練習していたという経緯があります。また日舞の家元に育っているということもあり、俄然女形の動きの方が得意…というか女性パートしか踊れないという、実に上手な設定。不本意ながらも、女装や女としての動きもそれなりに心得ているのです。ここ最近「男の娘」なんて持ち上げられ方をして女装男子が登場する作品が俄然増えて来た中、やや食傷気味に感じていたのですが、こちらは女装が不本意かつ、そこに至るまでの経緯があまりに理にかなっているので、すんなり受け入れて読むことができました。
 
 基本的には軽いノリで繰り広げられる、コメディベースのお話。真剣になったり、ガチンコで努力したりするシーンもありますが、ハチャメチャでテンション高めなので、それに引っぱられてシリアスシーンもアップテンポに進行していきます。アヴァルスなので、キャラクターはみなみな立っており、かつ恋愛色は薄め。それでも王子に過去のパートナーとの暗い関係というものを残しており、人間関係で魅せる要素は十分にあります。ひとまず1回だけの舞台という約束ですが、人気次第ではそれ以降も続けるという形になりそう。男の子がメインで出てくるので、基本的には女性向きかと思われますが、女装に脇役で多数女子も登場するので、男の人が読んでも楽しめる部分は多いかと思います。
 

【男性へのガイド】
→王子は裏の顔があったりと、鼻につく男子キャラはそこまで出ず。全体的に親しみやすい作品になっているかと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→読みやすくて、素直に面白かったです。目的としての女装は個人的にお腹いっぱい、手段としての女装であれば、がぶがぶおかわりできます(琴奨菊的表現



作品DATA
■著者:壱村仁
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックアヴァルス
■掲載誌:アヴァルス(連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税


■購入する→Amazon


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