
この左巻きつむじが発する
こんなひょんな推理で
ずっと笑い合いたいから
■会社員・坂木司の友人・鳥居真一は、自称「ひきこもり」の変わり者。真一の唯一の友人とも言って良い坂木は、鳥井を外の世界に連れ出そうと、時間を見つけては彼の部屋を訪れる。そして鳥井の作ったこだわりの料理を食べながら、坂木は身近に起こった様々な謎を問いかける。人一倍鋭い観察眼と、子どものような純粋さから語られる、鳥井の推理は、坂木の心をいつも動かし...
坂木司先生原作の人気小説を、藤たまき先生がコミカライズ。すみません、坂木司先生って全然知らない…と思ったら、この作品の表紙は書店でなんどか目にしたような。自称ひきこもりの男と、そんな彼のほぼ唯一の友人である坂木司(作者さんと同じ名前)が織り成す、癒し系ミステリー。お人好しでごくごく普通の社会人である主人公・坂木は、学生時代からの友人であり、とにかく変わっているひきこもり(職業は在宅プログラマ)の鳥井の部屋へ顔を出すのが日課となっており、そのたびに身の回りで起こった不思議なことやちょっとしたことを話します。それをきっかけに、鳥井の推理がスタート。。。ブレることのない視点から、次々と真実が語られて行きます。

人嫌いで人当たりもかなりキツい鳥井だが、主人公にはこのように心を許し、彼のために行動する。
ひきこもりの男の家に、働き盛りの社会人の男が通い詰める…もう完全にBLのソレを狙っているような組み合わせのお話。主人公はとにかくお人好しであるため、何かと厄介に巻き込まれがち。それでも彼にとってはそれは好都合で、人間嫌いでひきこもりの友人・鳥井を、推理きっかけで外に連れ出す口実となるのです。鳥井にとっては、外との唯一の接点である坂木が、この上なく大切な存在で、その愛情はあからさまな程に外に溢れてきます。そんな彼に対し、放っておくことの出来ない坂木は、何かと気にかけ相手をするという。もうこれ友達とかやない、カップルや、カップル。だってもう表紙からして…ねぇ?
起こる出来事は、殺人とか盗みとか、そういう刑事事件を匂わせるようなものは少なめ。日常の中に潜む、ちょっとした不可解な出来事や、困りごとなどがメインとなります。推理がメインではなく、推理で繫がれる、人と人の想いこそが柱であり、この作品を形容するのに「癒し系」という言葉があてがわれているのも納得です。
元々小説が原作であり、またミステリー作品に多く見られる傾向として、1ページあたりの文字数がとにかく多いというものがあるのですが、この作品も他聞に漏れず。1話1話を読むのに、結構な時間がかかります。ただ幸いなのが、さほど難しい事件でないので、沢山読んだからといって疲れることがないこと。しっかりと「癒し」を残して、物語は締められます。
【男性へのガイド】
→たぎるBL感をどれだけ許容できるのか。いや、性的な匂いがしないので微笑ましくはあるのですが。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→どうみてもカップルですが、それほどの嫌らしさはなく、むしろ「癒し系」の言葉そのままのイメージ。好きな人は好きな組み合わせかと。
作品DATA
■著者:坂木司
■出版社:新書館
■レーベル:ウィングスコミックス
■掲載誌:ウィングス(連載中)
■既刊1巻
■価格:590円+税
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