
胸の奥が
波立つ音を聞いた
■全国の女子の憧れNo.1のカリスマモデル・新里唯。今やモデル業界に限らず、芸能界ひっくるめて世間が注目する存在。そんな彼女の毎日は、華やかな表舞台と、ストイックな舞台裏。誘惑の絶えない中、ひたすらにモデルとしての道を極める唯の見つめる先には、一人の女性の姿があった。そんなある日、突如社長から言い渡された、新人との共同生活。ド田舎からスカウトされてやってきた、モデルの卵・柳田亜希は、唯とは全くの正反対の性格だけど、いつしか2人は…
小説家・田中渉先生の小説が原作となっている、モデルの2人を描いたお話。ヒロインは、既にモデルとして高い人気と評価を得ている人気者・唯。誘惑の多い世界に生きながら、それらに全く目を向けることなく、ただひたすらに努力を重ねる彼女の行動の裏には、ある一つの思いがありました。それは、トップモデルでありながら、自分を生んだことでその道を諦めてしまった、事務所の社長である母親の存在。彼女の代わりにパリコレを目指す、それがモデルとしての彼女を形作っている全てでした。そんな彼女にある日突然言い渡されたのは、デビュー前の新人モデル・柳田亜希との共同生活。ド田舎出身で、元気一杯だけど何もわかっちゃいない。いきなりうんざりの唯でしたが、彼女の中に眠るモデルとしての才能に気づいた唯は…というお話です。

努力でのし上がってきた。それだけが彼女のモデルとしての自信を形成する全てと言っても過言ではない。だからこそ、努力をしない人間には厳しくあたってしまう。それが彼女の強さでもあり、弱さでもある。
「Walk'in Butterfly」(→レビュー)をはじめとして、モデルの世界を描いた作品というのはいつも一定数見受けられるのですが、ベツコミで、しかも原作付きで来ましたか。個人的にモデルの世界を描いた作品というのは、美しさと同時に、女性たちのガテン系仕事にも通じるような熱いスピリッツ、そして高い志というものが感じられて好きなジャンルだったりします。表紙は結構目をひくものになっていますが、エロティックな要素は皆無。それどころか、恋愛要素すら10代向け少女漫画としては比較的薄めの内容。それでもストイックに、一つの事に向かって考え、努力するというのは、ベツコミが得意としているマインド。結構フィットしていると思うし、意外と人気取れるんじゃないかな…というのは安易な考えですか、そうですか。
帯には「モデルの舞台裏見せます」との文字がありますが、お仕事系マンガとしての側面は今のところ薄め。小説ベースですので、基本的には人と人の繋がりを描いた、ストーリー軸のお話が展開されます。しばの結花先生の絵は、モデルを描くのに決して向いているとはいえない絵柄だと思うのですが、ストーリーメインであれば大丈夫。むしろそのキャッチーな絵柄は、親しみやすさを持って物語に読者を引き込む要素となり得ます。イメージ的には、これまた小説原作ですが、「武士道シックスティーン」(→レビュー)が近いかも。こちらの方がより華やかで、かつ大人っぽいですし、恋愛の要素ありますが、文法は一緒のような。努力で成り上がったヒロインと、磨けば光存在、そしてその才能を見抜いた元カレと、いつまでも厳しい母。その4人の組み合わせが、これからどんな物語を見せてくれるのか、楽しみですね。
ちなみに単行本では3話分くらいしか収録されていません。巻数調整の影響かと思われるのですが、そのため現時点では期待度高くともオススメにはしづらい感じでございます。
【男性へのガイド】
→女同士の骨太な友情は、どの程度受け入れられるのか。プラスにもなり、マイナスにもなり得る、諸刃の剣という感じが致します。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→これはひょっとしたらひょっとするかも。期待度高いのですが、まだ収録数が少なく、如何ともしがたいという。次も買います。
■作者他作品レビュー
*新作レビュー* しばの結花「1/3ロマンチカ」
作品DATA
■著者:しばの結花
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsucomi(連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→Amazon