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Tag [新作レビュー] 2009.03.02
恋するコンビニKaren/山口奈々「恋するコンビニ」


あなたと出会ったのも
淡いピンクの桜咲く春だったよね
出会えたことは偶然だったかもしれないけど
奇跡のような恋だった…



■今日から高校生の紅葉。2年間付き合っている初恋のカレ・翔と同じ高校。友達も出来た。全てが順風満帆、幸せな学園生活のスタート。そんな幸せいっぱいの紅葉だったが、ある日偶然イケメンの先輩・誠に出会う。親切で優しい誠と、すぐに仲良くなる紅葉だったが、バイト先が同じになったことで、二人は一気に急接近!翔と誠の間で揺れる、紅葉の想いとは!?

 これケータイ小説が原作なんですね。基本的にケータイ小説が原作の作品はスルーしようと思ってたのですが(今月は奇しくも「恋空」の発売月だった)、買っちゃったのでレビューしていきます。典型的な三角関係ものですが、話ごとに人物の視点を変えながら進めるというスタイルをとっています。これも原作準拠なのかな?
 
 なにやら色々言われてるケータイ小説だからこそ、穿った見方をしないようにと臨んだのですが、それでもこれは…。全体として心情描写が極端に少なく、出来事だけがただ並べられているという印象。そのせいかやけに展開が早く感じました。出来事はカバーしているのに、そこで語られるべき部分はごっそり抜け落ちているというか。
 
 ケータイ小説の特徴として、脊髄反射的に反応できる出来事(Ex.レイプ、妊娠、恋人の死etc...)を並べ、心情描写、特に関係を育んでいく部分を極力カット(というか書けないのか?)するということが挙げられますが、これは、関係を育むという経験を持ったことがない読者が、それが描かれることにより疎外感を感じてしまうため。そのかわりに記号的でわかりやすい前述のような出来事を組み込んでいく結果生まれるのだそうです。価値観は人それぞれですし、別にそれで感動している人をバカにする気は全くありません。ただ個人的には合わないよ、というだけで。


【オトコ向け度:☆    】
→ケータイ小説ですよ、とだけ言っておきます。
【私的お薦め度:☆    】
→読むのしんどかったです。なんだかジャンクフード食ってるような気分でした。


作品DATA
■著者:Karen/山口奈々
■出版社:ゴマブックス
■レーベル:おりおんCOMICS
■掲載誌:不明
■既刊1巻
■定価:400円+税

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かくかくしかじか
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