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Tag [続刊レビュー] 2011.02.13
作品紹介→かのこ様が、女子高生になって帰ってきた!:辻田りり子「恋だの愛だの」1巻
関連作品紹介→「笑うかのこ様」



koidanoaidano.jpg辻田りり子「恋だの愛だの」(2)


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■2巻発売しました。
 今までの傍観者ライフを捨て、爽やかガールになるべく高校生活をスタートさせたかのこ。紆余曲折あって、新聞部に入部、巻き込まれるようにして取材に回るも、権力のある放送部の根回しで、全く相手にされず。そこへ突然、放送部から同盟の申し入れが入るのだが、その裏にある放送部のブレーン・城蘭の思惑とは…。一方椿は、自分の思いに全く気づかないかのこに…
 

~2巻入っても面白い~
 1巻読んで「こんなに面白かったのかー」と印象ガラリ一変だった本作なのですが、2巻入っても面白いです。とはいえ放送部と新聞部で「同盟」とか今日日中学生でも言わなそうな単語を用いて力関係を調整しようとするあたり、このどこか痛さを感じさせるテイストは、しっかりと残しているなぁ、と。今回はもっぱら、放送部のキレ頭メガネ・城蘭との対決と、椿の不憫さが前面に押し出された形で話は進んでいたのですが、椿くんってこんなに報われない感じの子でしたっけ?もうかのこの鈍感さがヒドいです。
 

~自分に興味がないかのこ様~
 他人同士の人間関係については、フライデーの記者もびっくりの把握力を見せている彼女ですが、自分と他人との関係についてはこと非常に鈍感です。椿の度重なるアプローチも尽くスルー。お前ここまで鈍感で行くか!?と思わず突っ込みを入れたくなることすら。一見椿に興味がないように見受けられる行動の数々ですが、自分の中ではどちらかというと、かのこ様は椿に興味がないのではなく、他人と関係を持つ自分という感覚がかのこ様の中にまだあまりないのだろうな、という思いが強いです。元々「完全なる傍観者」を目指していた彼女。傍観者を極めるということは、他人と関係を持たないことであり、椿たちと出会うまではそういった関係が一切育まれていない状況でした。もちろん椿たちと出会い、他人との関係性を作り出していく方向にかのこ様自身が動きだしてはいますが、今まではどちらかというと、集団の中での立ち位置的な印象。一対一で向き合って…という部分に関しては、まだまだリハビリ中という感覚が強いです。


~かのこ様に変化あり~
 そんなかのこ様ですが、段々と変化が。本人は自覚していないながらも、椿と一対一で向き合おうという姿勢が垣間見えてきました。普段はスタンダードに生意気たっぷりで小憎たらしい彼女ですが、その瞬間だけはういういしくて別人と見紛うほどに可愛らしい。例えば思わず椿の家に行ってしまったときとか…
 

恋だの愛だの
この「なんで自分がこんな行動してるのかわからない」とでもいうような、戸惑った表情がなんとも。普段絶対こんな表情見せないわけで、椿は現状ご不満なようですが、こんな表情見れるのあなただけなんですからね!この後「好きほーだいやらせてもらう」宣言だ出ましたし、椿のアプローチでかのこがますます変わっていくこと必至。いやいや、楽しみです。



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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
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かみのすまうところ。
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レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。