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Tag [新作レビュー] 2011.02.14
1103025003.jpg小沢真理「銀のスプーン」(1)


弟と妹の「美味しい顔」にハマったのが
僕が料理を好きになった最大の理由



■律は受験を控える高校3年生。3年前に父親を亡くし、母が女で一つで、自分とヤンチャ盛りの弟・調、そしてアイドル志望の妹・奏を育ててくれている。ところがある日、母の病気が発覚し、長期入院を余儀なくされてしまう。保護者のいなくなった家では、自分が母の代わりにと、お腹をすかせた弟と妹のために、はじめて台所に立つことに。。。はじめは勝手の分からない料理だったけど、元クラスメイトの女の子の助けを借りて少しずつ料理ができるように…そして…?

 「苺田さんの話」の連載を終え、小沢先生が新たに連載をはじめたのが、こちら。家族の食卓を描いた、料理で繫ぐ家族ものになっております。お話の舞台となるのは、早川家。父親を亡くし、高校3年生の長男・律に、育ち盛りの中学生・調に、アイドル志望の末っ子妹・奏、そして子供たちを女手一つで育てる母という家族構成。主人公となるのは、長男でとびきりのイケメン、早川家の期待を一身に集める律。そんな家族に、ある日突然訪れたのは、母の病気。検査のため長期入院を余儀なくされた母にかわり、長男として律は、弟と妹のために台所に立つのですが…というお話。


銀のスプーン
家計が苦しいのなら、自分がアイドルになって食べさせてあげればいいんだ!その発想から、スカウトされるために原宿へ。けれども誰にも声をかけられず、迎えにきた兄に手を引かれて帰る。6年生の女の子が、健気ではないですか。そしてそんな妹に優しく声をかける兄がまた素敵。


 心や優しき長男が、慣れないながらも家族を支えるため、料理をはじめる。そんなお話です。はじめは料理の「り」の字も知らない律。それでも、元クラスメイトで、彼に憧れる女の子の一人にアドバイスを受ける形で、料理をするきっかけを掴みます。それからは、積極的に料理をするように。途中からは、母親のレシピも発見し、「家庭の味」というものを再現するようになっていきます。料理軸ですが、描き出すのは「家庭」に「人間関係」。決して明るいことばかりでない今の状況を、想いをこめて作った料理で、ほんの少し紛らわし、前向きな気分にさせてくれます。
 
 とにかく出来過ぎと言ってもいいような、主人公の律。そんな彼にも、どうやらちょっとした後ろ暗いところがあるようで、これからの物語に影を落としてきそう。強く触れれば壊れてしまいそうな、儚さを感じさせる家族の繋がりだからこそ、より大切にしたいという気持ちは強くなるわけで。使っている手法としては、ありがちではあるのですが、このパターンを嫌いだという人は、殆どいないはず。特になんだかんだで兄や妹、そして母を気遣う弟と、まだまだ甘えたい年頃なのに我慢して家族のために行動する妹が健気で健気で泣けてくるんです。食卓から作り出す、暖かい家族の絆。そんな物語がお好きな方に、オススメです。


【男性へのガイド】
→これはこれで読みやすいような気もしますですよ。妹可愛いとかいうとあれに聞こえるかもしれないですが、可愛いのです、はい。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→ありがちな内容ですが、こういった話は定番だからこそ心が温かくなります。


作品DATA
■著者:小沢真理
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS(連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税


■購入する→Amazon

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