
してやる
結婚を!
■30歳を目前に彼氏にふられたけれど、夢は専業主婦・ロストジェネレーションのさやか(もちろん未婚)。仕事一筋猫とマンションとバブルの匂いを感じさせるブランドものだけが手元に残り、がん検診におびえ、ひとり遺言書を書くもうすぐ40歳の多恵(やっぱり未婚)。三十路と四十路、いまだ婚活スタートラインの二人が、運命的に出会って目指すは理想の結婚相手!世間や家族の「結婚しないの?」に疲れた人に贈る、泣くより笑え!な婚活ファイターズ戦記!
コーラス連載の、三十路&四十路コンビがおくる婚活コメディ。婚活をテーマにした作品は様々ありますが、こちらはお二人でのご活躍。一人目のヒロインは、三十路間近も、結婚間近と期待していたにも関わらず、ある日突然フラレてしまったさやか。もう一人は、バブルの匂いを未だ引きずり、ハードルは高いままに気がつけばがん検診に怯えるような歳になってしまった多恵。お互いが、30と40を迎え、自分の人生に絶望し、大酒をくらい道端で寝てしまったことをきっかけに、二人は出会います。起きてみれば、ヒドい有様で側溝で倒れる自分。そしてその横には、あれもう一人の女の人が。なんとなく同じ境遇であると悟った二人は、意気投合してそれからも度々会うようになるのですが…

ニートの弟に心配されるレベル。え、30でそんななんですか…。
30歳で結婚に焦るというのは、ある程度話にも笑いが生まれ良さそうですが、40歳という大御所投入。これは本気の現れか。一人ではなかなか婚活に踏み切れないものの、二人いれば怖くない。面倒見のよい四十路は、情けない年下を見てしっかりしなくてはと思い、逆に三十路は四十路を見て自分もまだまだいけるんじゃないかと思ったり…けど一番底にあるのは、お互いがんばって幸せになろうということ。基本的にはお馬鹿というか、単純で乗せられるとどんどん進んでしまう二人なので、物語は婚活にシフトした時点で驚くほど軽快に転がって行きます。お見合いパーティーに出席したり、婚活のためのセミナーに通ったり、ネタは尽きることはありません。NHKの深夜とかにドラマでやってたら不思議と見ちゃいそうな、そんなテイストのストーリーとなっています。
幸せとは決して言えない女性二人が、それでも楽しく文句を言いつつ日々逞しく生きて行くというところで、なんとなく、直木賞にも選ばれた、唯川恵先生の「肩ごしの恋人」を思い出しました。あそこまで痛快ではなくとも、負のエネルギーを笑いに変える、見えないパワフルさというのが、なんとも。また物語を見ている感じ、婚活に力を入れれば入れる程、結婚から遠ざかっているように映るのが、なんとも面白く、そして悲しい。二人である以上、抜け駆けしづらい雰囲気ではありますが、その辺をどう描くのかも注目といったところでしょうか。自分はまだ20代の前半ということで、アラサーにも足を踏み入れていないのですが、気がついたら自分も…とかなっていそうで怖いところです。
【男性へのガイド】
→婚活コメディということで、男性は結構ダメ出しされるパターン多し。単純なコメディとして楽しむのであれば、面白いかと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→婚活ストーリーはさほど珍しくもないものの、二人組で結構必死という様は失礼ながら面白いです。
作品DATA
■著者:宇野亜由美
■出版社:集英社
■レーベル:クイーンズコミックスコーラス
■掲載誌:コーラス(連載中)
■既刊1巻
■価格:457円+税
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