作品紹介→*新作レビュー*藤間麗「黎明のアルカナ」
2巻レビュー→本領発揮しつつあります《続刊レビュー》藤間麗「黎明のアルカナ」2巻
3巻レビュー→ナカバの想いを知ってか知らずか、大きくなっていく物語:藤間麗「黎明のアルカナ」3巻
4巻レビュー→「なんかいつもと違って調子狂う(赤面)」みたいな感じがイイ!:藤間麗「黎明のアルカナ」4巻
5巻レビュー→段々と異世界ファンタジーの醍醐味が…:藤間麗「黎明のアルカナ」5巻
藤間麗「黎明のアルカナ」(6)
姫
君は
俺の良心
■6巻発売です。
ナカバは大切な仲間を守るため、アルカナの力を使うが、見えてきたのはレミリアの悲しい未来。そしてさらに知る、カインのシーザに対する憎しみ。急いで村へ引き返すナカバだったが、村はすでに火を放たれ、戦いは始まってしまっていた。そんな中、あろうことかレミリアが村へ戻ってきてしまう。アルカナで視た未来を、なんとかして食い止めなければ…そう願ったナカバの想いは…
~6巻でなお緩まず~
6巻と、Cheese!でも結構な長期連載になってきましたが、なお話は中盤にさしかかるか否かという段階。緊張感もなお保ち続けています。企画ありきの作品にありがちな、最初の勢いだけで、あとは失速というパターンも踏むことなく、しっかりと一貫した歩様で物語は進行しています。もうそれだけですごい。そして今回は、本編に絡んだ形の、サイドストーリーが秀逸でした。
~充実のサイドストーリー~
今回スポットがあたったのは、ロキの兄であるカイン王子。終始敵として描かれた彼ですが、元々その表情などを見た感じ、悪人っぽく描かれておらず、どこかその振る舞いには無理があるような印象さえありました。そして倒れた後に描かれた、彼を巡る物語。それが本当に涙を誘う、良いお話だったのですよ。
彼は根っからの悪人というわけではなく、むしろ「良い人」を絵に描いたような人間でした。王族でありながら、血は完全な王族のものではなく、その髪の色もまた王族とは異なるブロンドでした。当然王室内での扱いも良いものではなく、居づらさを常に抱えていたはずです。髪色が異なるという意味では、ナカバも同じ。彼はナカバのことを見たときに、密かに自分へとその存在を重ねていました。

王族かそうでないか、その格を決定付けるのは髪の色。そのコンプレックスは計り知れないものがあったはず。結婚相手にすら、そのコンプレックスは抱いていた。
そういう意味では、半人であるロキなどよりも、余程ナカバに近い位置にいたカイン。お互いの立場がもう少し違ったものであれば、王族の中でも良き理解者になってくれたのかもしれません。
そんなカインの人柄の良さを表すエピソードもまたありました。それは、カインの結婚相手であったルイスの回想。ルイスは元々シーザを想っており、カインとの結婚は不本意なものでした。それでもカインは、その力で押さえつけることなく、「すまない」とあやまし、さらには「それでも構わないから、俺の側にいてくれないか」と頼みます。またルイスの意地悪なワガママにも、しっかりと誠意を持って応える。もうね、ここだけ見たら、彼の人柄は「誠実」の一言に尽きます。こんなにも素敵な人が、あんな形で死んでしまうというのは、残念でなりません。とはいえ、こういった展開があるからこそ、この物語は緊張感を保ち続けることができているとも言えるわけで。なんとも複雑な気持ちです。
というか、先のルイスの回想の部分は反則です。なんですかこの悲恋を描ききったラブロマンスは。もうここだけで6巻買って良かったってレベルです。ベタなんですが、徹底して敵役の良いお話を、しかも死んだ後に描くというのがあざとい。
~RPGっぽい感じに~
さて、物語は完全にロードムービー調に。俄然RPG然としてきて、もしアルカナのゲーム化とかがあったとして、RPGじゃなかったら抗議するレベルですよ、はい。この後どのような展開を辿るのかはわかりませんが、あまりに城を離れ続けてもいられないはず。追われる立場にはなりましたが、事件は現場よりも会議室…ではなく王室で解決した方がより迅速で効果的。さてさて、どうなるのやら、楽しみに7巻を待ちたいと思います。
■購入する→Amazon
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2巻レビュー→本領発揮しつつあります《続刊レビュー》藤間麗「黎明のアルカナ」2巻
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5巻レビュー→段々と異世界ファンタジーの醍醐味が…:藤間麗「黎明のアルカナ」5巻

姫
君は
俺の良心
■6巻発売です。
ナカバは大切な仲間を守るため、アルカナの力を使うが、見えてきたのはレミリアの悲しい未来。そしてさらに知る、カインのシーザに対する憎しみ。急いで村へ引き返すナカバだったが、村はすでに火を放たれ、戦いは始まってしまっていた。そんな中、あろうことかレミリアが村へ戻ってきてしまう。アルカナで視た未来を、なんとかして食い止めなければ…そう願ったナカバの想いは…
~6巻でなお緩まず~
6巻と、Cheese!でも結構な長期連載になってきましたが、なお話は中盤にさしかかるか否かという段階。緊張感もなお保ち続けています。企画ありきの作品にありがちな、最初の勢いだけで、あとは失速というパターンも踏むことなく、しっかりと一貫した歩様で物語は進行しています。もうそれだけですごい。そして今回は、本編に絡んだ形の、サイドストーリーが秀逸でした。
~充実のサイドストーリー~
今回スポットがあたったのは、ロキの兄であるカイン王子。終始敵として描かれた彼ですが、元々その表情などを見た感じ、悪人っぽく描かれておらず、どこかその振る舞いには無理があるような印象さえありました。そして倒れた後に描かれた、彼を巡る物語。それが本当に涙を誘う、良いお話だったのですよ。
彼は根っからの悪人というわけではなく、むしろ「良い人」を絵に描いたような人間でした。王族でありながら、血は完全な王族のものではなく、その髪の色もまた王族とは異なるブロンドでした。当然王室内での扱いも良いものではなく、居づらさを常に抱えていたはずです。髪色が異なるという意味では、ナカバも同じ。彼はナカバのことを見たときに、密かに自分へとその存在を重ねていました。

王族かそうでないか、その格を決定付けるのは髪の色。そのコンプレックスは計り知れないものがあったはず。結婚相手にすら、そのコンプレックスは抱いていた。
そういう意味では、半人であるロキなどよりも、余程ナカバに近い位置にいたカイン。お互いの立場がもう少し違ったものであれば、王族の中でも良き理解者になってくれたのかもしれません。
そんなカインの人柄の良さを表すエピソードもまたありました。それは、カインの結婚相手であったルイスの回想。ルイスは元々シーザを想っており、カインとの結婚は不本意なものでした。それでもカインは、その力で押さえつけることなく、「すまない」とあやまし、さらには「それでも構わないから、俺の側にいてくれないか」と頼みます。またルイスの意地悪なワガママにも、しっかりと誠意を持って応える。もうね、ここだけ見たら、彼の人柄は「誠実」の一言に尽きます。こんなにも素敵な人が、あんな形で死んでしまうというのは、残念でなりません。とはいえ、こういった展開があるからこそ、この物語は緊張感を保ち続けることができているとも言えるわけで。なんとも複雑な気持ちです。
というか、先のルイスの回想の部分は反則です。なんですかこの悲恋を描ききったラブロマンスは。もうここだけで6巻買って良かったってレベルです。ベタなんですが、徹底して敵役の良いお話を、しかも死んだ後に描くというのがあざとい。
~RPGっぽい感じに~
さて、物語は完全にロードムービー調に。俄然RPG然としてきて、もしアルカナのゲーム化とかがあったとして、RPGじゃなかったら抗議するレベルですよ、はい。この後どのような展開を辿るのかはわかりませんが、あまりに城を離れ続けてもいられないはず。追われる立場にはなりましたが、事件は現場よりも会議室…ではなく王室で解決した方がより迅速で効果的。さてさて、どうなるのやら、楽しみに7巻を待ちたいと思います。
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