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Tag [続刊レビュー] 2011.03.04
作品紹介→「花より男子」神尾葉子の新作は、またしても力技の連続で目が離せない!:神尾葉子「虎と狼」1巻
2巻レビュー→過去の神尾作品に照らし合わせ、作品を読む:神尾葉子「虎と狼」2巻



1103025616.jpg神尾葉子「虎と狼」(3)


あたしの恋心は不慮の事故に…


■3巻発売です。
 定食屋の娘の美以は、BL大好きな女子高生。読むだけでは飽き足らず、最近はブログで小説を書いたりしている。そんな物語のモデルであり、定食屋の常連客であり、そして美以の学校の先生でもある、トラとオオカミ。彼らが現れてから、美以の日々は一変、輝きだしたけど、同時に一気に波瀾万丈に!?友達は出来たけれど、今度はトラとギクシャク。そしてまた今回も、トラブルに巻き込まれてしまったようですが…!?


~知人にブログ閲覧者がいたらどうしましょう~
 もう3巻ですが、ヒロインの進むべき道はなかなか決まらず。なんてなかなか相手役が定まらないのは、神尾先生のお得意パターン。それでもイライラさせずに、むしろ面白いと感じさせるのが、神尾先生のすごいところです。寄り道してるように見えて、しっかりとヒロインは前に進んでいるという。そういえば今回、ちょっと他人事とは思えないエピソードが登場し、自分がこの場面に遭遇したらどうなるんだろうと、色々と思いめぐらせたりしました。それが、林間学校での夜、いわゆる楽しい楽しいおしゃべりの時間でのこと…
 
 
虎と狼3-1
自分のサイト見てる人がいたー!!


 もはや神尾先生すらぶん投げてるんじゃないかと思っていた、設美以は腐女子でサイトでBL小説を書いているという設定。改めてトラに手が届かないことを美以に自覚させるためのシーンとして、この設定が再登場したのですが、むしろ自分的にはリアル知人がサイト閲覧者という出来事の方が重大であったわけで。
 
 そもそも「サイトを知られる」というのと、「サイトの管理人が自分であることを知られる」の間には大きな溝があるわけですが、目の前で「面白い」とか「すっごく人気」とか言われてたら、ぽろっと自分がやってることを明かしてしまいそうで怖いです。実際サイト持ちの人って、その辺どんな感覚なんでしょうね。自分などは、例えば会社の人間に、本名とは全く異なるハンドルネームであることや、熱心に少女漫画の感想(特にこの子かわいくて死ねる的な発言)を積み重ねていることを知られたら、すぐ辞めるくらいの勢いではあります。さすがに私のサイトを知人が見ているとは思えないのですが、文章を書かせて頂いた某ムック本を友人の家で見かけたときはちょっとドキドキした覚えが。意外と近くにいたりするのかもしれませんね。あのサイトの管理人が。。。
 

~安心の展開~
 だいぶ話が逸れてしまいましたが、物語の方は至って順調(楽しむという観点で)。先にも書きましたが、毛色は作品毎で異なるも、お得意のパターンで攻めるという安心の展開でございます。今回もまた、強さのあるヒロインに、敵の懐柔からの味方化、そして次々と投入される新キャラと、怒濤の展開を見せています。

 とにかく神尾先生の作品に出てくるヒロインは、強い。何かしら、大きなトラウマであったりハンデを背負っているのですが、それに負けずに気がつけば自分の足でしっかりと立ってるという。しかも、相手役に助けられるのではなく、せいぜい感化される程度で、自分の力で、というところが、強さを通り越して逞しさすら感じさせてくれます。美以も逞しい。このシーンなんか、まさに…という感じで、カッコいいなぁ、と。
 

虎と狼3-2
考えなしに、ビシッと突っ込む!そして都合の悪いことは無視!


 そしてそれをかまされた敵ポジションの彼は、最終的には仲間に。これもまた、神尾作品でよく見る光景。彼は一体どういったポジションに落ち着くんでしょうね。どう考えても小物臭のする河田くん。ガヤ要員という気がしなくもないですが、独特の性格で自分のいるべき位置というのを、しっかりと獲得していきそうな気がします。
 
 そして最後には、怪しげな新キャラが登場。これもまた、ワクワクせざるをえません。予告で早々に「俺の女になんない?」って。どう考えてもありえないこの展開。神尾節ですよ、神尾節。期待値上昇の3巻でした!
  
 
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