
おまえらの根性
叩き直す
■地味で目立たない鈴木花子とくうきのように存在感のない鈴木太郎。校訓に憧れ入学したこの学校で、誰かの役に立ちたいと、強く願ったその結果、変身したのは金髪美少女と眼光鋭きイケメン。そのきっかけになったのは、偶然遭遇した、許せない非道な行為。。。生徒騒然!教師蒼白!学校を揺るがす大闘争が、今始まった…!!
講談社にて新創刊された雑誌「ARIA」のコミックスでございます。相応に豪華な描き手のラインナップから見て、一番の目玉となっていたのが、こちらの先生方。そう、主にりぼんで活躍されている、実姉妹・持田あき×槙ようこのタッグです。ネームを持田あき先生、そして作画を槙ようこ先生が担当しております。
それでは内容のご紹介を。主人公はふたり、名門進学校に通う、鈴木花子と鈴木太郎。その名前から想像できる通り、あまりに平凡すぎて、一緒に過ごしていても一切クラスメイトに認識してもらえない二人は、人一倍この高校(の校訓)に憧れて入学してきたクチ。清く正しくを信念とし、校訓を体現するような素敵な人間になりたいと、恒日頃思いながら行動しています(けれど気づかれない)。そんなある日二人が目にしたのは、成績上位者が成績下位者をリンチしている現場。どうやら深く根付いているらしいこの“ゲーム”を目の当たりにし、許せないと息巻いた二人は、金髪の美少女と眼光鋭きイケメンに大変身して…というストーリー。

変身前はこんな感じ。どちらも同じ素養を持った、似たもの同士。
ストーリーは、ファンタジックないし腐向けが揃うと思われるARIAの中にあって、そういった要素は一切出てこない、ハチャメチャ学園ドラマとなっています。正義に燃える目立たぬ二人が、目の前で繰り広げられる非道な行為に怒りを爆発させ、大変身し討伐へと向かう…。もちろん悪が散在しているわけではなくて、その先にはフィクサー的存在がおり、そいつを倒してやっと大願成就…という流れになります。物語的にはどこにでもありがちなストーリーなのですが、違うところは異色の主人公が二人いるというところ。こういう特殊な存在(しかも同じような方向性)が二人いるとぶつかりあって、お互いの魅力を消し合ってしまいそうなのですが、それを上手く共存させているのは実績のある作者さんだからこそ成せる業といったところでしょうか。
進学校という舞台であるため、生徒たちはストレスを溜め、目の前で非道な行為が繰り広げられていても見て見ぬ振り、参加するか無視するかという二択といった状況。そんな中、突如現れ反旗を翻す二人に、最初は奇異の目を向けるのですが、やがて成績下位者を中心に感化され仲間に加わる面々が増えて行きます。文法的には少年漫画・ヤンキー漫画的なそれ?きっと今いる敵を倒しても、その先にはさらに強大な…ってパターンが往々にしてありえそうで、長期連載にも対応可能に思えます。内容的に、舞台が中学ではなく高校というところに違和感を覚えるも、これは掲載誌的に狙う読者層がこの辺ということからでしょうか。普通にりぼんやなかよしなどで連載していても、違和感を覚えない…というか、むしろそちらでやっていた方が自然な感じすら覚える内容で、そういう意味では新雑誌の中にあって、作家さん本来のテイストをしっかりと受け継いだ安心の出来と言えるのかもしれません。
【男性へのガイド】
→バトル系かと言われるとそうでもなく、むしろ説教臭く諭す場面が多し。そういう部分含めて女性向けテイストであり、敢えてこれを手に取るという感じでもないのかと。作者さんのファンの方は既に購入されているでしょうし。
【感想まとめ】
→ファンの方は買いそうですが、そうでない方が敢えてこの作品を手に取って、旨味があるのかと言われるとどうだろうという気も。展開としてはわかりやすく、かつ動きのある作品ですので、読み応えはあります。
■作者他作品レビュー
持田あき先生
時空にたたずむ誰かの想いが、君を呼んでる…:持田あき「おもいで金平糖」
持田あき「君は坂道の途中で」
槙ようこ先生
槙ようこ「山本善次朗と申します」
槙ようこ「勝利の悪魔」
作品DATA
■著者:持田あき/槙ようこ
■出版社:講談社
■レーベル:ARIA
■掲載誌:ARIA(連載中)
■既刊1巻
■価格:562円+税
■購入する→Amazon