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Tag [続刊レビュー] 2011.03.26
作品紹介→高尾滋「いっしょにねようよ」
3巻レビュー→重さは残しつつも、次第に救いが見えてきた:高尾滋「いっしょにねようよ」3巻



issyonineyouyo4.jpg高尾滋「いっしょにねようよ」(4)


こわいけど
どこにもいかない
一緒にいようよ



■4巻発売です。
 古白によって七つ星学園に転入させられていた一子!今日から新しい学校での新しい生活がスタート!不安と期待いっぱいで学校に向かった一子は、古白が「木戸様」と呼ばれて怖れられていることを知る。さらに教師・九鬼から陰湿な嫌がらせを受けている古白。彼の不器用な愛情を知る一子は、彼を守ろうと頑張るけれど、逆に古白の怖い部分をしってしまい…


~未だわかんないこといっぱいです~
 4巻発売しましたが、未だにわからない部分が多く、非常にレビューに困ります(笑)とにかく深いとも思えるし、それに引っぱられてなんでもない描写すら何か特別な意味があるんじゃなかろうかって気にさえなります。4巻で主に描かれたのは、古白の「怖い部分」。これまで古白のその能力や、その能力が引き寄せた事件などが描かれることはあったものの、一子の目の前で古白の怖い部分が出ることはありませんでした。それが目の前で、完全なる憎悪という形で、それが発露。笑いながら「死ねばいい」とまで、相手に言い放つその姿を見せつけられたら、そりゃあ一子ちゃんどこまでも「怖い」と思うわけで。悪いことではないのですが、古白の場合はやり方が特殊であり、そしてそれが時に度を過ぎてしまう。不思議な力と、コントロールできない感情という二つの恐ろしさを目の当たりにし、一子は心に芽生えた恐怖と向き合わなくてはいけなくなります。


~怖いと思った相手に対して~
 この作品で「怖い」というワードは結構重要な言葉として用いられていて、例えば1巻では一子自身が、かつて想いを寄せていた、姉の結婚相手から「少し怖い」という言葉をかけられ、心に多少の傷を作っています。またトムが帰還した際も、一子に向かって「怖くなかったの?」なんていう問いかけをし、受け入れてくれたことの喜びを表現していたりしました。特殊な子にまとわりつく、奇異の目と、「怖い」という感情。その上で、自分が受け入れられるかというのは、居場所がなく結果この家に辿り着いた彼らにとっては、非常に重要なファクターとなります。そしてついに訪れた、最大の惑星・古白の「怖さ」が表に出る時。そんな恐怖を目の当たりにした一子に対して、アドバイスをくれたのは、意外にも古白を捨てた母でした。
 

怖いとハッキリ拒絶して
あいつから去るか
怖くないと嘘をついて
あいつを受け入れるか


 古白の母は、一子にこんな言葉を残します。今までほぼ全ての人は、怖いと拒絶して、古白の側を離れていきました。ちなみに母は、怖くはないけど面倒だから捨てたとのこと。過去に出てきた回想では、むしろその能力に恐怖を感じて、風呂に沈めようとしていたような描写があった気がするのですが、そうじゃなかったみたいです(あくまで本人談ですが)。「怖い」と感じる以前なので、捨てはするけど、拒絶はしない。なんとも不思議な関係です。そしてその言葉を投げられた一子は、こんな選択肢を取りました。
 

いっしょにねようよ4-1
怖いと正直に伝え、受け入れる


 まさかの折衷案。離してと言われる毎に、むしろ強く「怖い」と叫び、そして腕の力を強くする。パッと見すごく滑稽なこの光景ですが、計り知れない恐怖と戦う一子の、決死の行動であるわけで、簡単に笑うことはできません。彼女がここまでした理由は、そりゃもう探せば沢山あるのだとは思いますが、すごいことですよ、これ。ショック療法という言葉もそう的外れでない気がします。時に勢いのまますごいことをしてしまう一子ちゃん。こんな行動をする子だっただなんて、古白も想像をしていなかったようで、ポロっとそんなことを口にしたらですね…
 
 

いっしょにねようよ4-2
踏まれた


 その前に「踏め!」とけしかけた春香も春香ですが、そのまま踏んじゃう一子も一子です。後日この行為について、トムから話を振られた一子は、「恥ずかしさで死にそう」という感想を述べるのですが、あれ「古白に申し訳ないことをした」的なニュアンスはゼロ。正直に、まっすぐにぶつかった結果としてのあの行為ということであるので、古白に対する後ろめたさはない方が良いですよね。勢いにのってあんな行為をしてしまう一子も素敵ですが、その後のこの筋の通った考え方もまた素敵。

 というわけで、古白の怖さを克服…というか受け入れることのできた一子ですが、物語はまだまだお終いになるわけではありません。ここからいよいよラブ展開…?と期待はするものの、今までこれだけチグハグなやりとりを見せつけてきた彼らが、恋愛展開でちゃんとした形になれるのかというと、正直不安しか残りません(笑)そもそも一子はかつて、年上の男性に憧れていた女の子。そんな子が、盛りのついたバカのトムや、子供のように感情を発露することしかできない古白を相手にするようにも思えないわけで、前途は多難のようでございます。それよりも、春香の過去とかやってくれないですかね。初めてこの作品を読んだときから、春香推しなのですが、ここまで春香の生い立ちについて語られたことは殆どなく。古白の幼なじみらしいということぐらいしかわかっていません。そろそろ出てきてもいい頃だと思うんだけどなぁ…


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