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Tag [新作レビュー] 2011.04.06
1106005255.jpgもこやま仁「月光蝶」


愚かで滑稽だが
見ていて飽きぬ



■月夜を谺するは少女をバイクで轢き逃げした少年の声。常に比較される、優秀な姉への呪いの言葉・・・。汝が月に強き願いをかけしとき、蝶の神降り其の想い聞き届けん。蝶の望む犠と代えて・・・。仁、改めもこやま仁が贈る、蒼く美しき神が舞う、ファンタジックホラーシリーズ登場!!

 別フレ版「となりの801ちゃん」(→レビュー)を描いた仁先生が描く、ファンタジックホラーシリーズ。“仁”という名前から“もこやま仁”という名前に変えての再出発になるわけですが、どうしてこのタイミングで?と少々の疑問が。その答えは、別フレ半公認ブログ(という触込み)の方に、書いてありました。こちら、イラスト付きで可愛らしく描かれていますので、気になる方は直接そちらのサイトに移って理由を見てみてください。理由自体は他愛もないものではありますけれど、個人的にこのブログは好きだったりするので。(ちなみにサイトのキャラデザインも仁先生のよるものです)。
 
ふれ ふれっ! 仁さん改名!その裏に何が!?「しばよん」KC情報も!!


 というわけで、改名後の二発目は801ちゃんとは全く別ものの、ファンタジー作品でございました(一発目は「しばよん」と思われる)。日々の生活の中で積み重なる、自分以外の相手への恨みつらみ。そんな気持ちを嗅ぎ分けてか、彼・彼女の前に現れるのは、神となのる蝶の羽根を持った少女。彼女が告げるのは、対価を払えばあなたの願いを叶えてあげるということ。それを聞いた彼らは…というストーリー。


月光蝶
儂と書いて「わたし」。デフォルトはこういった神々しいというか、荘厳とした喋りですが、見ために応じたフランクな話し方もすることが可能。


 物語の流れとしては、逆恨み的な願いを叶えてもらおうとするも、自分が間違っていたことに気づき、絶望に浸るというもので、講談社ではなかよしで連載されている人気シリーズ「地獄少女」的なテイストを含んだ内容になっています。とはいえ恨みが短絡的で救いようがなく、けれども対価はそれほどクリティカルなものでなく、間違いに気がつけば意外なほど簡単にやりなおせる余地を残すという展開で、「地獄少女」よりは生ぬるめの展開。こっちが別フレで、より低年齢層がターゲットの「なかよし」で「地獄少女」というのは不思議な感じがするわけですが、元々終着点として狙っているところが異なるので、こういった比較は無意味なのかもしれません。こちらが主軸としているのは、徹底した「救い」と「贖罪」で、最終的には必ず良き兆しが見えるようになっています。そういう意味では非常に読後感が良く、子供に読ませるならこっちの方がいいなぁ、と。いや、もちろん私子供いないですけど。
 
 恋愛含みのお話は少なめで、持ち出される関係性は、姉妹や友情など多岐に渡ります。ペットまで持ち出したのはビックリしましたが、純粋さの限りを尽くすとしたら、この上ない存在なわけで、個人的にはこのお話が好きでした。それ以外では、男の子が主人公であった、1話目とか。



【男性へのガイド】
→とくに嫌う要素もないかと。ただそこまでエグくないので、期待の仕方によっては生温さを感じるやもしれませんが、それはもう男性女性とか関係なくですね…
【感想まとめ】
→読んでいて安心感のある内容。もこやま先生(とか早速使ってる)がこういったお話を書こうとしたのは少々意外でしたが、その想いの強さを感じる内容だったと思います。


作品DATA
■著者:もこやま仁
■出版社:講談社
■レーベル:KC 別フレ
■掲載誌:別冊フレンド
■全1巻
■価格:429円+税


■購入する→Amazon

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