
街のみんな
きっと喜ぶよ!
私たちで夕日ヶ丘を再生しよう!
■町工場がひしめく「夕日ヶ丘市」で生まれ育ったよりこは最近、いつもアルパカを抱いているクラスメイトの峰くんと急激大接近。なにを考えているのかわからない峰くんと、自分をなぜかくっつけようとするアルパカに、よりこは困惑。軍需産業で発達した夕日ヶ丘は、戦争終結により不況になり、町工場を営むよりこの家も、経済的に厳しい状態。今はそんなことに気をとられている場合じゃないのに…。そんなおり、町工場仲間の秘密の作戦に、よりこが強力することに。その内容とは…!?
夏目ココロ先生のARIA連載作でございます。表紙がつやつやしていて、どこかSFっぽさを漂わせる印象。その印象に違わず、内容も女性向けマンガとしては異色の内容となっておりました。物語の舞台となるのは、某所にある町工場の集まった夕日ヶ丘という市。軍需産業によって発達したこの街は、大きな兵器メーカーと、その下請けの町工場の人間が多数を占めており、終戦直後の現在は受注の激減により、経済的に非常に苦しい状況に立たされています。そしてその煽りを受けるのは、いつだって町工場の方。そんな町工場の娘であるヒロイン・よりこは、となりの席で兵器メーカーの御曹司である峰くんがアルパカを拾ってきたその日から、急激に大接近。アルパカの暴走に巻き込まれるようにして、なんでか対立しているメーカー側の人間と、付き合っているかのように思われ、クラスメイトたちから孤立。そんな中、工場も苦境に立たされ、明日にも無くなるという勢い。そんなある日、町工場仲間の打ち出したとある打開策に、よりこは乗ることにするのですが、その内容とは、工場で作っている兵器でメーカーの兵器を壊すというもの…その兵器というのが、なんとロボットなのです。

ロボット操縦する少女漫画のヒロインってのも珍しいですが、その性格も相まって、なかなか様になっているという。
どうも帯・表紙ではアルパカ推しな感じが強いのですが、ヒロインはロボット操縦者ということで、こちらの方がインパクト抜群。しかも相当な手練で、誰よりも上手く操縦することができます。町工場で作っているのは、ロボットの部品。よりこの工場では、最終調整的なポジションを担っているらしく、完全体のロボットが格納されているのでした。このロボットによってメーカーのロボットを破壊することで、修理費がかかり、町工場が再び潤うという作戦。
物語の軸となるのは、ロボットもそうですが、どちらかというと兵器メーカーの息子で、世間知らずというよりは不思議ちゃんなイケメン・峰くんとの関係。とにかく常識が通用しない彼は、空気も読めず、アルパカと共に場を引っ掻き回すばかり。それでも根気よく向き合って行くと、彼の奥底にある陰の部分が見え隠れし、ヒロインとしても放っておけなくなって行くという形になります。しかしそもそもちゃんとした会話が成立しない時点で、前途は多難そうです(笑)
ロボットとアルパカがやがて、一つのラインに乗ってくることになるのですが、一見スムーズな流れに見えて、途中の設定はしばしば無理のあるものも散見。襲撃するロボットに関しては、一応所有者が特定されるような部品は使用しておらず、また捕まりそうになっても自爆すれば大丈夫ということで、バレることはないとのことなのですが、ロボットまでが登場する中で特定されないのは少々無理があるような気もしたり。またロボットがかなり特殊な形状をしている上、引きの絵で描かれることがないので、戦闘シーンは正直何やってるのか良くわからないです(笑)そういった粗さはあるものの、とはいえかなりのインパクトがあることは間違いなく、個人的には追いかけてみたい作品だと思いました。ロボットとアルパカって、やっぱりすごいですもの。
【男性へのガイド】
→ロボットものという括りで見ると、粗さが目立つものの、女子向けマンガでこの試みという部分をちょっと評価してほしいかな、と。ロボットと快活な少女というのも、また良いではないですか。
【感想まとめ】
→粗い。けれどもこの試みは前向きに捉えたいところです。ごちゃついているものの、しっかり整理できれば面白くなりそうで、とりあえず様子見で2巻も買いたいです。
作品DATA
■著者:夏目ココロ
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA(連載中)
■既刊1巻
■価格:562円+税
■購入する→Amazon